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JW248 物部の新星

【崇神即位編】エピソード6 物部の新星


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

ここは磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。

紀元前94年、皇紀567年(崇神天皇4)2月4日。

崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)の元に、大臣(おおおみ)がやって来た。

すなわち、物部伊香色雄(もののべ・の・いかがしこお)(以下、ガーシー)である。

系図(物部氏・伊香色雄)

ガーシー「大王(おおきみ)! 今日は、わてら物部一族にとって、特別な日やで。」

ミマキ「特別? 何が特別なのじゃ?」

ガーシー「わての三人の息子が、役職に就いたんですよ。」

ミマキ「そうか・・・。ならば、任命せねばならぬな。」

ガーシー「ほな、順番に紹介しますぅ。一人目は、建肝心(たけいごこころ)やで。『けいご』と呼んでやっ!」

けいご「お初にお目にかかりますぅ。『けいご』ですぅ。」

系図(物部氏・建肝心)

ミマキ「して、どの役職に任命すれば良いのじゃ?」

ガーシー「ええっと・・・。『けいご』はですねぇ。大禰(おおね)に任命されてますねぇ。」

ミマキ「大禰? 昼間の警護を司(つかさど)る役職じゃな?」

ガーシー「その通りです。わての叔父上、大峯(おおみね)も、もう歳ですから、ここで世代交代しておこうと思ったんですわ。」

ミマキ「世代交代か・・・。たしかに、大峯の兄たちは、皆、既に引退しておるからのう。」

するとそこに、物部大峯(もののべ・の・おおみね)がやって来た。

系図(物部氏・大峯)

大峯「エピソード225以来の登場やで! そして、全く活躍がなかったんやで!」

ガーシー「すんまへん。わての『おとん』と伯父上のキャラが強すぎて、登場の機会を見失ってたんですわ。」

大峯「悔しいです!」

ミマキ「では、大峯は、これにて引退というわけじゃな?」

大峯「そうなりますねぇ。」

ガーシー「ほな、叔父上の引退を記念して、もう一人、大禰に任命するでっ!」

大峯「記念って、どういうことやねん!?」

ガーシー「では、紹介しますぅ。もう一人の息子、多弁(たべ)やで。『ター』と呼んでやっ!」

ター「お初にお目にかかりますぅ。『ター』ですぅ。」

系図(物部氏・多弁)

ミマキ「以上か?」

ガーシー「まあ、そうなんですけど、あと一人、側近として採用してほしいんですわ。」

ミマキ「側近?」

ガーシー「わてらの時代は、侍臣(まえつきみ)と呼ばれてたみたいですねぇ。」

ミマキ「ん? 読み方が違うのではないか? エピソード92において、三代目様が、物部大禰(もののべ・の・おおね)を侍臣(おおまちぎみ)に任命したと書かれておるぞ?」

系図(物部氏・大禰)

ガーシー「きっと、時代が移り変わっていくうちに、読み方が変わったんとちゃいますか?」

ミマキ「そんな適当なことで良いのか?」

ガーシー「まあ、ええやないですか。そう書かれてるんやし・・・。」

ミマキ「そ・・・そういうモノなのか?」

ガーシー「ほな、紹介しまっせ! 息子の安毛建美(やすけたけみ)やで! 『ヤス』と呼んでやっ!」

ヤス「お初にお目にかかりますぅ。わてが『ヤス』ですぅ。」

系図(物部氏・安毛建美)

ガーシー「以上やがなっ!」

ミマキ「そうか・・・。皆、気張るのじゃぞ!」

けいご・ター・ヤス「御意!」×3

大峯「ほな、大王。わては、これにて引退しますぅ。」

ミマキ「うむ。大峯・・・。全く活躍できなかったと申しておったが、わしは、汝(いまし)が懸命に警護をおこなっていたこと、存じておるぞ。これまで大儀であった。」

大峯「か・・・かたじけのうございますぅ・・・(´;ω;`)ウッ…」

こうして、作者によって忘れ去られていた大峯が引退し、ガーシーの息子たちが、新たに登場したのであった。

そして、八か月の時が流れた。

紀元前94年、皇紀567年(崇神天皇4)10月23日。

この日、ミマキは重大発表をおこなった。

詔(みことのり)を発表したのである。

ガーシー「大王! 詔って、何でっか?」

ミマキ「詔とは、国の目標のようなものじゃ。では、聞いてくれ。」

臣下一同「御意!」×多数

ミマキ「そもそも、我(わ)が皇祖の大王たちが、位に就いてきたのは、ただ一身のためではない。人と神を治め、天下を整えるためである。それゆえ、代々、奥深い功業(こうぎょう)をあらわし、徳を施(ほどこ)してきたのである。」

ガーシー「なるほど。なるほど。わてらの御先祖様も、それに貢献してきたんやなぁ。」

ミマキ「今、わしは、天運を承(うけたまわ)り、民(おおみたから)を恵み養うことになった。どのように皇祖の御跡(みあと)に従い、長く無窮(むきゅう)の大王の位を保ったら良いのであろうか・・・。」

ガーシー「そないなこと言われても・・・。どうすんでっか?」

ミマキ「それには、汝(いまし)ら、群卿百僚(ぐんきょうひゃくりょう)が、忠貞(ちゅうてい)を尽くし、共に天下を安く平(たい)らかに治めることが、大切であろう・・・。」

臣下一同「・・・・・・。」×多数

ミマキ「以上!」

ガーシー「わてらも頑張れっちゅうことやね?」

ミマキ「まあ、簡単に言うと、そんな感じじゃ。」

ガーシー「ちなみに、無窮(むきゅう)って、何でっか?」

ミマキ「無限とか、永遠という意味じゃ。」

ガーシー「忠貞(ちゅうてい)は?」

ミマキ「忠義と貞節という意味じゃ。よく仕え、反逆などしてはならぬという意味じゃ。」

こうして、崇神天皇による、初の詔が発表されたのであった。 

つづく

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