平日の午前9時、周りに誰一人いない会社でパソコンのキーボードを叩いていた。普段なら、平日の早い時間帯から会社にいることなどまずない。だが、南極大陸を使い捨てカ…
スタジアム内の小さな一室でパイプ椅子に腰掛けて待っていると、ふいに背後のドアノブが回る音がして、プロ野球選手が入ってきた。 私は瞬時に身が固くなるような圧迫…
はじめまして。菊地高弘と申します。 ライターとして生計を立てています。 仕事の9割5分は野球です。 高校野球を引退して21年目という節目の今年。 なんとなく、「今な…
菊地高弘
2020年8月28日 22:53
平日の午前9時、周りに誰一人いない会社でパソコンのキーボードを叩いていた。普段なら、平日の早い時間帯から会社にいることなどまずない。だが、南極大陸を使い捨てカイロで溶かすような絶望的な編集作業に、身がどんどん粉状へと変化していく中、昨夜は会社で夜を明かした。新しい一日が始まったばかりの時間なのに、私は昨日の延長線上を生きていた。「ボーッ」 押さえつけられた太い低音が外線電話から鳴ったのは
2020年8月23日 22:18
スタジアム内の小さな一室でパイプ椅子に腰掛けて待っていると、ふいに背後のドアノブが回る音がして、プロ野球選手が入ってきた。 私は瞬時に身が固くなるような圧迫感を覚えつつ、深くお辞儀をした。「お忙しい中、すみません」 プロ野球選手は、「いえいえ。僕はどこに座ればいいですか?」 と、軽く首を振って、なおざりに視線を宙へ漂わせた。 私はテーブルを挟んで奥にあるパイプ椅子の方向に手の
2020年7月13日 22:41
はじめまして。菊地高弘と申します。ライターとして生計を立てています。仕事の9割5分は野球です。高校野球を引退して21年目という節目の今年。なんとなく、「今なんじゃないか?」という使命感にかられ、衝動的にnoteを始めることにしました。このnoteでは、訳あって世には出せなかった原稿をひっそりと公開させていただこうと考えています。のんびりとお付き合いいただけますとありがたいです。