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Smashing! 佐久間イヌネコ病院

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佐久間鬼丸獣医師(受)と喜多村千弦動物看護士(攻)とその友人達のお話。 どうぞお楽しみ下さい!
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2023年2月の記事一覧

佐久間イヌネコ病院 luv.83 だいすきのおきて

雲母の元後見人でフリー弁護士・白河夏己。彼の大学時代からの同業の友人達と時々イレギュラーの「白河推し」数人で構成される、表向きは楽しい仲間内の集まり。それは「白河のテーソーを護衛する」部。彼の親友と言い張る猿渡一郎を筆頭に、自称親友の二人目は虎渡二郎、そんな二人を生暖かい目で見守る馬渡三郎が主メンバー。 彼らの掟は「抜け駆けイコール追放」 「今日もカッコよかったなナッチ」 「法廷での彼は純然たる紳士のその逆をいく激しさだよしかし」 「てかお前の言ってることわかりにくいな」

smashing! むしんになれないオレの

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人。伊達は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己とも恋人同士だ。 今週に入って冷え込む日が続いている。オレら三人は今週ほぼすれ違いな時間割(?)によって、三人が揃うことはまずない。こういう場合はどっちの家を使っても可なので、オレは今週、伊達さんの平屋にいることにした。 朝から畑の枯れたやつを片付けて、畝を綺麗にしておく。そして庭全体の掃き掃除。あんまりやらなくて

佐久間イヌネコ病院 luv.82 いまいるところから

たまに二人で出かけて 家に戻ってくると すっかり馴染んだ空気に ここに溶け込める安心感に 心からほっとすることがあって どんな物にも命が宿っていて 今使ってるマグカップやリモコンや そしてきっとこの家自体も 俺たちをその大きな屋根でもって 丸ごと護ってくれてる そんな気がするんだ 隣でハルちゃんからのチョコレートケーキを 散々食って寝落ちてるウチの鬼丸も その存在自体で 自分を そして患畜たちを 俺のこともまるごと全身全霊で 護ってくれている 俺はあえて護られながら 背中を

smashing! きみのあたまのなかのうみ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。経理担当である税理士・雲母春己は、そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と付き合っている。そして伊達は後輩の設楽泰司とも恋人同士。 僕だけの誰か、僕だけの何か。そういった独占的な感覚にはあまり興味がなくて、所有したりされたり、僕の中でけっこうそんな価値観が勝手に戦っていたりもしたけど、自動思考のようなものと認識したあたりから、尊重すべきものが見えてきた気がする。 恋人の存在を「僕だけ

smashing! あんたはむてきじょうたいで

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人。伊達は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己とも恋人同士だ。 春先は不思議と忙しくなることが多い。ウチの伊達助教の力を持ってしても「俺いるとヒマなるねえ」マジックが通用しない始末。アンプル折りすぎて細身のボールペンまで折りそうになった。患畜の子たちも待ち時間が長くて大変な日だった。 伊達さんの平屋に着いたのはいつもの2時間押し。明日は休みもらってるから問題な

smashing! なかったことになればいい

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。病院の経理担当である税理士・雲母春己。その雲母の元後見人はフリー弁護士・白河夏己。 年に数回の旅行やイベントを白河と共に楽しむ、という会合。それは主に同業の大学時代からの友人達と時々イレギュラーの「白河推し」数人で構成されている。表向きは楽しい仲間内の集まり。 実は「白河のテーソーをお護りする」部なんです押忍。 自分で白河の親友と言い張る猿渡一郎を筆頭に、自称親友の二人目は虎渡二郎、そんな二人を生温かい目で見

smashing! チョコレートドリームなおれ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。 今月に入ってから飼い主さんたちやご近所さん、将棋教室の面々等からのチョコレートが山のように届いている。これ俺ら一生分頂いちゃったんじゃないだろうか、ちょっとだけ心配もしながら、佐久間はそれでも浮かれる毎日。 明日はバレンタイン。そして前日である今日は喜多村の誕生日でもある。このお話自体、主となっているのは大体が誕生日に巻き起こるイベント。何故なら(バ)カップルは年がら年中何かしらの記念日を言祝いでいるからだ

smashing! きづけばおちるあのかんじ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と経理担当である税理士・雲母春己は付き合っている。そして二人と一緒に住み始めたのは伊達の後輩で恋人、設楽泰司。 大学付属動物病院の昼休憩。伊達と設楽は近所にあるうどん屋で天ぷらうどん定食を注文、自分の大きな海老天と設楽のさつま芋天を取り替えている伊達に、設楽は相談を持ちかけた。 「俺とこの兄弟の次男なんですけど」 「…えっと…たしか造のつく、泰造

smashing! こころにあったさみしさを

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人。伊達は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己とも恋人同士だ。 兄の用事で何かとバタバタして、ペントハウスの家に戻ったのは深夜。今日は遅くなります、そう言っておいたので心配かけずにすんだと思う。暗いリビング、何故かつけっぱなしだったテレビのスイッチを切る。伊達さんがよくやるやつで、音があった方が帰って来た時嬉しくない?とか言ってたな。その気遣いは有難い。 シャ

smashing! やさしいそのうでのなか

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。経理担当である税理士・雲母春己と、そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗は付き合っている。 夜中にふと目を覚ますと、いつのまにか伊達さんが隣で寝息を立てていた。うつ伏せのまま顔だけ僕の方を向いて。小さなサイドランプのオレンジの灯にふわりと照らされ、ぐっすり眠っておられる、指先をつとその頬に滑らせても、起きる気配はない。 伊達さんの背は170センチで、僕と16センチの差がある。けれど僕

smashing! きみにとどくうたを

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。この病院の税理士・雲母春己は二人の先輩である理学療法士・伊達雅宗と付き合っていて、そして伊達の彼氏になった設楽泰司も一緒に、三人で暮らしている。 渋滞気味の車の列はさっきから遅々として進まない。こんな日もありますね。車内に流れる音楽は最近、伊達や設楽がお気に入りのアーティストの音楽配信。家でもこんなふうに車の中でも、二人と同じものをかけていたくなる。 もうすぐ日付を跨ぐ時刻、目の前に溢れる無数のブレーキやテー

佐久間イヌネコ病院 luv.81 はるうららかな

「今日はお祝いするからね!」 仲間内で一番可愛いと自他共に認める 男の娘・結城卓により 佐久間(今日)と雲母(明日)の誕生日を祝い 宴会が企画されようとしていたのだが なんと佐久間の情夫(違)である喜多村が 父の千月の仕事先の学校関係で 鬼の役で投豆を食らってくれとのお達し ちょっと遠方なので今日明日かかりそうだ うなだれる喜多村に 佐久間もそして画面内の雲母も(ビデオ通話) 【【全く問題ないから行って来て大丈夫】】 帰って来たら二人でお祝いしようか 佐久間の言葉に鼻の下を伸

smashing! のぞみかなうびしゅを

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗。彼は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己の恋人だ。 呑むとなんと!願いが叶ったりすんの♡ なんてこと言っちゃったけど、あのブラックカラント、カシスのお酒は俺がギリ大学行ってたかどうか、みたいな時期のやつで、元カレだったやつと別れたか別れないかその辺り。あんまよく覚えてないんだけど。実家で弟がやってる果樹園からもらったやつでね、そんで大事