smashing! あんたはむてきじょうたいで

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人。伊達は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己とも恋人同士だ。

春先は不思議と忙しくなることが多い。ウチの伊達助教の力を持ってしても「俺いるとヒマなるねえ」マジックが通用しない始末。アンプル折りすぎて細身のボールペンまで折りそうになった。患畜の子たちも待ち時間が長くて大変な日だった。

伊達さんの平屋に着いたのはいつもの2時間押し。明日は休みもらってるから問題ないとして、とりあえず飯にしましょう、買い出しがまだだったんで冷蔵庫には目ぼしい食材が入ってない。伊達さんに食べたいもの聞こうと居間を覗いたら、珍しくコタツ入ったまま寝てた。この人今日休憩時間も碌に取ってなかったから、自分でも知らないうちに疲れていたんだろうな。力が湧くように卵とキムチ入れて雑炊作ろう。

雑炊とあと冷蔵庫にあった焼豚をあっためて、伊達さんを起こして一緒に食べる。うわお前これすげえ旨いなあ、口にした途端一気に元気になったようだ。よかった、空腹は満たすに限る。明日休みでよかったん、けっこうな量二人で平らげて、楽しみにしていた番組があるからと、これまたいつもの流れで一緒に風呂に。

寒うい設楽あ、お湯いっぱいになってから入ればいいじゃないですか。湯を張る時間も惜しんで、伊達さんと浴槽の中でしゃがんで戯れあう。病院出る時に少し陰っていた顔色もすっかり晴れて、いつも以上に可愛いかっこいい伊達さんに戻っている。

伊達さんを後ろ抱きにしながらようやくいっぱいになった浴槽でゆったり浸かる。オレに身を預けるように凭れかかる伊達さんが、小さな声で囁く。設楽は癒し系なんよきっと。オレのどのあたりで癒されるんですか？伊達さんはフヒッと軽く笑って、体の向きを変え向かい合わせで腕を回してくる。

お前がね俺の為に色々、考えあぐねてる姿がなんともイイんよね。

オレの思索の姿がそんなイイとは。初耳ですねもっと聞かせてください、なんて、やっぱりこの人は飄々といつも、無敵状態でいてほしいんだ。戯れるキスの合間に浮かぶのは、そんなことばかりだ。