記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

キネマ愚考録04「ゴジラ −1.0」 一番ゴジラが「神」に見えた一作

令和5年11月3日に公開された「ゴジラ −1.0」を、公開初日にイオンモール各務原のIMAXシアターで鑑賞。

ゴジラのシリーズは「シン・ゴジラ」とハリウッドシリーズ、そして長編アニメシリーズ、といった最近の作品はほとんど見ているが特に思い入れがあるというわけではない。
あ、あと「キングオブモンスターズ」と「ゴジラVSコング」も見たかな。

ゴジラシリーズの印象的には「シン・ゴジラ」がかなりよかった覚えがある。
ゴジラの見どころは圧倒的な絶望感とそれに対する軍略、そして兵器のかっこよさにあると思っている。

そして忘れてはならないのが、日本の特撮全盛期の作品に特徴的な重厚感のあるサウンドトラックである。
リズミカルなティンパニと張りのある金管に心が弾む。

これをIMAXシアターで楽しめることを楽しみに鑑賞した。


キネマ愚考録では、僕が鑑賞した映画についてネタバレを恐れず思ったことや考えたことを書き綴ります。
あらすじの紹介や物語の解説はあえてしませんが、どうかネタバレにはご注意ください。



映画概要


(C)2023 TOHO CO.,LTD.

評価点数

「ゴジラ −1.0」の僕的評価は、50点満点中31点。
世界観_★★★★★★☆☆☆☆
脚 本_★★★★☆☆☆☆☆☆
演 出_★★★★★☆☆☆☆☆
キャラ_★★★☆☆☆☆☆☆☆
満足度_★★★★★★★★☆☆
軍略・戦闘シーン加点_★★★★★
サントラ加点_★★★★★

ざっくり感想

特攻隊として離陸するも機体の故障を装い戦争から逃げた敷島、東京大空襲後の焼け野原で血も繋がらない赤子を抱えて男たちから逃げるノリコ、戦争で子どもを亡くしたスミコ、そして海上の機雷処理を請け負う新生丸の乗組員ら。

彼らのバックボーンが何ひとつ提示されなかったのと、敗戦直後の人間がそんな「善」なもんかとかなり気になったので、共感できなかった。
思う、感じる、判断するそれぞれの思考には必ず背景があるはずで、これが見えないドラマパートにはいまいちピンとこなかった。

なぜ特攻隊から逃げた敷島はボコられなかったのか。ノリコは赤子を振り切らなかったのか。スミコは白米を渡してしまったのか。
敗戦直後を描くには、悪夢を描きたいにしては、とても軽く感じてしまい拍子抜けだった。

敷島がノリコに思いを吐露するシーンで、初めて怪獣について聞いたノリコがあまりにもそれに触れなさすぎるたのは不自然だった。
会話の流れとか、展開とか、説明できないシーンが多く、シーン移り変わりにもいちいち疑問が生じて、あまり物語に集中できなかった。
それぞれのシーンが始まる、その前段階が想定されていないのではないかというシーンがあまりにも多かった。
そんな説明のできないシーンがノイズになってしまい、ちょっと評価は低めかなと思ってしまった。

ただ、ゴジラシリーズの醍醐味である絶望感、軍略・戦闘シーンとサウンドトラックの高揚感は抜群。
そんなこんなで、自分の中では賛否両論という本作だった。

ベストキャラ

あえて言えば整備部の橘さんかな。彼の言動が一番腑に落ちた気がする。
正直、他の皆さんには言動のバックボーンが感じられず、ちょっと共感できなかった。


愚考01 ゴジラの描き方は絵画的

(C)2023 TOHO CO.,LTD.

人間に絶望を抱かせるゴジラの描き方はかなり絵画的。
「これを見に来たんだよ」とストーリーが気にならなくなるクオリティだった。

特に銀座の街を一掃したゴジラを後ろから見上げるシーンはパソコンの壁紙にしたくなるくらい絵になっていて、これまでもゴジラが「神」と仄めかされることはあったが、今作が一番ゴジラを「神」だと感じさせられた。

バカでかい爆炎とか、青空とか、海中とかの壮大さを感じられるものとゴジラの組み合わせは本当に爽快だった。

今作ではゴジラが等身大の人間目線で描かれることが多く、これもゴジラが神的に見えた要因だったのかもしれない。

あと、序盤のシーンで出てきたゴジラがほぼギガノトサウルスだったのは笑ってしまったが、今思い返すとスリムで俊敏なゴジラもカッコよかった気もする。

愚考02 思ってもみないけどなんだか腑に落ちた作戦

(C)2023 TOHO CO.,LTD.

海軍工廠(軍需工場)の兵器開発者だったガクシャさん。
彼の立案した、本人曰く「確実性はない」という作戦が実行され、その総指揮を執っていたあたり地位のある人だったんだなと実感される。

なるべく深い海溝でなんとかっていう素材の泡でゴジラを包むと沈ませ、ゴムバルーンを起動して急浮上させることで、水圧の変化により退治するという作戦。
戦後のこの時代にゴジラに対抗する作戦が取れるのか、最悪退治できずに絶望に終わるのかと考えていたが、これは文系の僕でも腑に落ちる作戦だった。

国が動かないから民間でという中で、人々の想いが繋がる。
戦争で生き残った人たちが目標を持ってイキイキとする。
プロフェッショナルな人たちがその術を持って活躍するシーンは見ものだった。

一方で敷島が橘さんを呼び出して裏で狙っていた作戦も、実はドラマパートの物語的に唯一「おっ」と思った展開である。
それを受けた橘さんの思惑にも熱いものを感じた。

ただちょっとだけ、橘さんがゴジラに向かって飛び立つ前の敷島に「何か」を伝える伏線は、クライマックスの感想が「まぁそうね」となってしまうくらいあまりにも直接的で演出として冷めてしまった。

流れ弾だが、電報もエンディングがわかってしまい冷めてしまった。

ただ、敷島のフライトシーンはめちゃくちゃカッコよかった。

「永遠の0」を撮った山崎貴さんが監督をやっただけはある。
と思うと、山崎さんは「海賊とよばれた男」とか「アルキメデスの大戦」とかも撮ってたなと思い出して、飛行機やら船やらの演出の素晴らしさには納得をした。

愚考03 「ゴジラのテーマ」の使い道についてだけちょっと言わせて欲しい

(C)2023 TOHO CO.,LTD.

なんだか今回の記事は苦言が多くなってしまうが、最後に「ゴジラのテーマ」の使い道について触れておきたい。

「ゴジラのテーマ」は「ゴジラ、ゴジラ、ゴジラがやってきた」という歌詞があるとかないとかと言われる、伊福部昭さんが作曲したあの有名な曲で、僕はゴジラが活躍するシーンでよく流れるイメージをしている。

本作ではゴジラとの決着シーンでこの曲が使われていた。
クライマックスのシーンとはいえ、この「ゴジラのテーマ」を人間側の活躍に使うのはいかがなものかと思った。
過去のゴジラシリーズを全て見ているわけでもなく、確認をしているわけではないが、ちょっと気になったので帰りに「シン・ゴジラ」を確認したが、やはり人間が活躍するシーンにこの曲は使われていなかった気がする。

僕は人間側の活躍シーンは「宇宙大戦争」や「怪獣大戦争」と言われるマーチなんかイメージしていたが、こちらは本作では聞けなかったのかな?
少なくとも僕は気づけなくて残念に思った。

ゴジラのサウンドトラックは、ゴジラに思い入れがないにしては好きなので、ぜひ吹奏楽でやってみたいところである。


最後に

なんやかんやぐだぐだと苦言を述べてきた感じになってしまったが、
ゴジラ、本当にカッコよかった。
これに尽きる気がする。

天災的なゴジラの存在、そして人間の抗う姿が見れただけでも大変満足。
やはり、これはぜひ劇場で見たい映画だと思う。


それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
次の機会があれば、その時にまた。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?