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夢 −17歳の私−

私の基礎をつくっている、17歳の私の話。

何度か話したことがあるけれど、14歳で脳の病気になりました。
当時の生活は一変してしまい、私は淡々と、死んだような毎日を過ごしていました。

そんな私が夢を持って、夢に向かって生きるようになった。能力の芽が出始めるまで約10年はかかった。そんな私の17歳の思い出です。

生きる勇気をくれた子猫

病気になって、高校を辞めて、暇になった私は愛犬と早朝から河原をお散歩をしていました。(愛犬が我が家にきた経緯は、またいつか。)

カラスたちが普段とは違う泣き声をしていて、小さな声でにゃーにゃー聞こえます。その声たちを聞いて、生まれてはじめて、カラスたちがこわいと思いました。

見えないけど、この草むらに子猫がいるんだ…と感じ。
愛犬と目を合わせて、カラスたちを蹴散らして、子猫を探しました。
やっとの思いで見つけた子猫たちは、猫というよりネズミのような見た目をしていました。

家に連れて帰り、介抱がはじまります。
生まれたばかりらしく、1匹あたり約50g。目も開いていない、歩けない、自分でトイレもできない状態でした。
それでも、1週間くらいして耳が立ち上がり、這いつくばるように歩くことができるようになりました。

ある日、ミルクをあげていたら、子猫の目が開き、初めて目があいました。
まだ見えていなかったと思うけど、すごく綺麗な紺色の目をしていて、"あー生きてるんだ"と感動しました。

猫や犬の寿命は10-15年。
この子たちが無事に寿命を迎えたら、30-40年くらい、人間の半分くらい?すごいな。私が早く死んでしまっても、この子たちを生かしてあげられたら生きている意味はあるのかな。

それなら…
この子たちに恥じないように、精一杯自分の人生を生きてみよう。

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地獄をみて変わった価値観

子猫を拾った約1ヵ月後、我が家に事件が起きます。
母は私が生まれた頃からひどい鬱の持ち主で、私がやる気を出したことに影響を受けて、鬱が悪化。数々の問題を起こして、精神病棟に入院しました。

子供の頃から多くの問題を起こされてきたので、母のことは大嫌いな私。
でも、この病棟は普通ではありません。

生きているけど、自我を失った人々。
病院というよりも、刑務所のような空間を目の当たりにして、ここにいることを嫌がる母に同情を覚えました。

これまで本当に嫌いだったのに、この人が幸せに生きれたらいいのに。本気で願った瞬間でした。

17歳が目の当たりにした現実

子猫と母の話は、17歳の夏休みの出来事でした。
これまでの私は自分が病気になって日常や夢を手放さないといけないことの絶望感から抜け出せずにいました。

でも、自分にだって出来ることはあるし、今が嫌なら自分の力で変えよう、と考え方が変化していることに気が付きました。
そして、人生において3つの目標をつくります。

・ 自分の得意を活かして、ものづくりに関するコンサルタントになる
・ 自分や母のように立場の弱い人を救える施設をつくる
・ かわいいおばあちゃんになる

誰がどうなってほしいのか、言葉の裏に意味を含めて、考えに考え抜いた。
そのせいか、10年以上経った今でも目標に変化はなく、叶えるために自分なりの努力を続けていたりします。

夢や目標を持つ意味

夢や目標ができても結果なんてすぐに出るわけもなく、一般的な生活を送るための体力がすぐに回復するわけもなく、大学受験はできても志望校は落ちてしまったりと、思うようにいかない日々が続きました。
それでも、少しずつ勉強を続け、運動を続けていたら、恩師と思える教授に出会えたり、大学院の進学で上京したり、国内外の学会に参加して賞をもらったり、外コンにインターンからの内定…と徐々に成果が出ていきました。

私はコツコツと努力ができるタイプではないけど、目標に対してやるべきことがわかってからは集中できていたような気がします。
また、目標があると公言しているわけではないけど、ひたむきに頑張っていると応援やサポートをしてくれる人が増えたような気がします。

人生に夢や目標が必要かと言われたら、様々な意見があるけど、私はあった方がいいと思います。
希望が叶う保障はないけど、精一杯がんばることって財産になると思う。

まわりから何かを言われても、集中してると気にならなかったり。
ほしいものが自分一人の努力だけでは叶いにくいことを知ったとき、助けてくれる人たちに感謝して、優しくなりました。
自分とは違う夢を持った人を応援できるようになった、…気がします。

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1つ目の目標

自分の得意を活かして、ものづくりに関するコンサルタントになる

1.自分が得意・好きなことで自分を表現する
工学部の専攻一覧みたいな本を全部読んで、興味ある・なしに振り分けていったら、オペレーションズ・リサーチに興味を持ちました。
オペレーションズ・リサーチは数学的・統計的モデルやアルゴリズムを利用して、最も効率的な計画を決める科学的技法です。
理数科目や物事を効率的に進めることが好きな私には、向いているかも?将来はコンサルタントとして独立もできないかな?
数学や統計を元にしたら、言葉でアドバイスするだけではなくて、現実的な可能性を示すことができないかなーと考えました。

2.自由に暮らすためのお金を稼ぐ
私は子猫や母の一件でお金の大切さを知りました。
お金を大切にするなんて当たり前かもしれないけど、私は子猫を育てるために必要なものを揃えたり、母の問題に対応したり、医療費を目の当たりにして、お金で解決できることをサクッと解決する祖父に驚きました。
そのお金は祖父ががんばって働いてきた対価なわけで、すごいなーと素直に感じました。
すべての問題がお金で解決できるわけではないけど、考えてみるとお金で解決できることは多いです。だったら、出来る限り、解決できるように私もお金を稼ごうと思いました。

3.自由に暮らすための時間を生み出す
高校中退+中学は部活以外はお昼寝生活の私にとって、社会で働くことは恐怖な対象でした。
朝早く起きれるかな…毎日できるかな…人の言うことを聞けるかな…また体調が悪くならないかな……
この不安は実際に働くまでぬぐえないなーと思い、今できることは何だろう?と考えてみると、なるべく自分のペースで働ける環境を手に入れることでした。
それなら独立開業を視野に入れて、勉強してみよーと、自分に都合の良い環境をつくりあげることを考えるようになりました。

2つ目の目標

自分や母のように立場の弱い人を救える施設をつくる

1.行き場をなくした人たちを受け入れる場所
私のように高校を中退した子は勿論、海外から来日して住む場所を簡単に手に入れられない人とかが住めるシェアハウスとかフリースクールみたいな形のものをつくりたいと思いました。
研究者なのに、外国人だから住居を手に入れることができなかった人が、私の家に住んでいたり。母の入院や巻き込まれた事件で法律が守ってくれない世界があることに直面する機会が何度かありました。

当時、私は高校中退者予備校に通っていたけど、勉強じゃなくても学べることってあるんじゃないかなって。
でも、何を教えたら良いかが思いつかなかったので、シェアハウスとかつくってみたいなーと思っていました。

2.社会に馴染めない人の雇用機会の創出
私自身が社会で暮らしていけるのかを不安に感じているように、母も同じような感覚があるのだろうなーと気が付きました。
病気はいつ良くなるかわからないし、でも社会から隔離されて狭い世界で生きているのって、逆に病気が良くならない可能性もあるような気がして。
病気で欠勤をしてもできるような仕事とかないのかなーと考えたときに、私が雇えばいいのか!と思いました。

勿論、簡単に欠勤されたら困るだろうし、問題を起こす可能性もあるので、それでも養うための頭脳とお金はやっぱり必要だなーと。
そして、これって母だけではなくて同じような人はいるんじゃないかな?それこそ、定年退職後でもまだまだ働ける人とかも働ける環境にできないのかな?と思いました。
実現するには難しい目標だけど、自分の目標を叶えることができるようになったら、こちらも本格的に活動していけるように種まきをすることにしました。


3つ目の目標

かわいいおばあちゃんになる

最後は毛色が違います。
自分のため、まわりのための目標を考えていたら、実現できる頃にはおばあちゃんになっているんだろうなぁ…と思いました。

病気で20歳まで生きるかわからないと言われた人が、おばあちゃんまで生きたら快挙だなぁ…という想いと。
まわりのおばあちゃんを見ていると優しい顔をした人がいることに気が付いて、私もそうなりたいなと思いました。
生き様が顔にでるっていうし、良い人生を送ったらかわいいおばあちゃんになれないかなーと。

自分が大切にしてきた人たちに囲まれて死んでいけたり、死後の世界があるなら大切にしてきた人たちとまた会いたいなぁ…と思いました。
ということで、かわいいおばあちゃんになって、にこやかに死を迎える。これも目標となりました。

まとめ

長くなりましたが、17歳の私はどうでしたか?
考えて考えて出した結論なので、当時はかなりの時間がかかりました。

ただ、自分の中で違和感があったことをすべて真正面から向き合ったので、今でも内容に満足しています。

大学・大学院に進学して、外コンが存在していたり、社会的な活動をボランティアに含めている会社があることを知って、私が知らないだけで良い世界があることを知りました。
それでも、自分の描く世界と少しだけ違ったりする部分もあるので、今でも試行錯誤を繰り返していたりします。

まだまだかわいいおばあちゃんになるまでは遠いけど、少しずつでも前に進んでいる今を大切にしようと思います。

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今、目の前で泣いてる人を救えない人間がね、
明日、世界を救えるわけがないんですよ。
by 砂漠 (伊坂幸太郎)

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