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勉強が原因で自己肯定感を失う子どもを減らしたい!

takeforest株式会社 代表取締役 竹森 洸征さん

《原体験》勉強への疑問と不登校、そして先生の救い

私が通っていた高校は大学受験に熱心な校風で、勉強にとても力を入れていました。受験を意識し始める2年生の後半になると、周りの友達も「勉強が命」という空気感になり、私はだんだんストレスに感じるようになっていました。

そして、徐々に学校へ行く気力もなくなり、2年生の終わりから3年生の夏頃にかけて不登校ぎみに。不登校といっても深刻なものではなく、たまに登校はするけど休みがち、という感じでした。ただ、休んでしまうと授業についていけなくなり、さらに意欲が下がるという悪循環でした。

そんなある日、私は中学時代の塾の先生に会いにいきました。そして、勉強の悩みや不登校のことを相談すると、先生は「これ1枚だけ、やってみ」と言って物理のプリントを渡してくれました。

不思議なことに、このプリントを解き終わると達成感が湧いてくるのを感じました。分厚い問題集の「p○○~p○○」という形だと、おそらくこの達成感はなかったでしょう。「プリント1枚」というゴールが明確に見える形と無理のないボリュームが僕に合っていたのか、それまで勉強に対して感じていた壁が取り払われていくような気がしました。

この出来事がきっかけで少しずつ意欲を取り戻していった僕は、学校へも休まずに行くようになりました。そして、いつしか僕も勉強を教える仕事に憧れるようになりました。あの時、僕を救ってくれた塾の先生のように。

そんな僕が大学生になって始めたアルバイトは、もちろん家庭教師や塾の講師。勉強で悩む子どもたちの力になりたいと意気込んでいましたが、そこで出会ったのは、昔の自分のように勉強につまづいて自信も意欲もなくしてしまった子たちでした。

以前はがんばっていたのに、ある単元でつまづいてから勉強しなくなった子もいます。1つの教科への苦手意識が、他の教科に波及する子もいます。彼らの多くは、ていねいに教えながら問題を解けば、それなりに解くことができます。つまりやらず嫌いなんです。

「自分は勉強が苦手」と思い込んでしまうと、がんばればできるのに、やろうともしなくなる。ひどい場合は、勉強だけでなく自分という人間に対しても否定的になり、「自分はダメだ」と思うようになってしまう。そんな子どもたちを見ながら、「何とかしてあげたい」という気持ちと、「何ができるんだろう?」という葛藤が僕の中で渦巻いていました。

そんな時、たまたま大学でビジネス系のイベントがありました。すごく興味があったわけではないのですが、コロナ禍で時間もあったので軽い気持ちで参加しました。そこには講師として起業家の方が来られていたのですが、これが僕にとって大きな転機となりました。

それまで「起業」という選択肢について考えたこともなかったのですが、実際に起業した人を目の前にしてみると、急に身近なものに感じられたのです。「なるほど、自分で会社を起こしてビジネスをする選択肢もあるのか」と。

これを機に、以前から抱いていた「勉強が苦手な子どもを救いたい」という夢を「起業」によって叶えるという目標ができました。そして今、実際に会社も設立して、サービスの提供開始に向けた試行錯誤を続けています。


《現在の事業》1回10分のオンライン学習

1回たった10分のオンライン学習指導サービス「ぷち勉」を提供しています。

「自分は勉強が苦手」と思い込んでいる子どもに、まずは「ちょっとやってみる」、そして「無理なく続ける」という機会を提供することで、学習の習慣化を促します。そして、1対1のマンツーマン指導で丁寧に寄り添い、小さな成功体験を積み重ねることで勉強への自信と意欲を取り戻してもらうのが狙いです。

その結果、勉強への苦手意識を克服し、自己肯定感の高い子どもたちを増やしたいと思っています。


《10代の皆さんへメッセージ》

サービスの「ぷち勉」にも通じることですが、何でも「ちょっとやってみる」ことをおすすめします。頭であれこれ考えると、どうしてもマイナスの方向に考えが傾いてしまうと思います。勉強でいうと「できないんじゃないか?」「間違ったらどうしよう」と悩むより、1問だけでもいいから解いてみると、何らかの発見がありますよね?

起業に関しても「失敗したらどうしよう」などと考えるより、セミナーに参加してみるとか、ビジネスアイデアを誰かに話してみるとか、少しの行動で多くの発見があります。

皆さんの中には「自分が何をしたいのか、わからない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。僕も大学に入った頃は同じでした。でもビジネス系のイベントに参加する、というちょっとの行動で「起業」という夢ができました。

皆さんも興味のあること、気になっていることがあれば、無理のないレベルでちょっと動いてみてください。きっと、意外な自分の一面を知るきっかけになって、将来の夢や目標につながると思います。

(取材日:2024年1月5日)

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