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季語哀楽

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季語をテーマにした投稿まとめ。 365日が目標。
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#俳句

薪能

薪能

薪能(たきぎのう)の起源は、奈良興福寺の神事能と言われ、夕暮れから夜間に、野外で篝火を焚いて催されることから来ている。

能は、歌舞を中心に発達した古典芸能「猿楽の能」の略で、面をつけ、謡や囃子に合わせて演じられる。室町時代、世阿弥によって大成された。

世阿弥「風姿花伝」による名言、
秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず。

秘する花を知ること。
俳句で花と言えば桜と以前言ったが、さて、ここで

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白牡丹

白牡丹といふといへども紅ほのか
高浜虚子

「花の王」とも呼ばれる牡丹。

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。

美女を形容したと言われているが、
漢方とその効能を意味している説もあるそうで面白い。

そのスキボタンは、私を癒してくれる?

白牡丹(はくぼたん)

余花

余花

平安時代以降の詩歌の中で、「花」と言えば「桜の花」のことを指す。
「余花」とは、山間部や北国で見られる遅咲きの桜のことで、「若葉の花」と同様に夏の季語になるのだ。

こんな時期に、こんなところで再び会えるとは。

余花に逢ふ再び逢ひし人のごと
高浜虚子

余花(よか)

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立夏前、四月の写真になるのですが、桜リバイバル。こちら岐阜の飛騨の方に出かけましたら、富山よりも1、2週ばかり桜

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菖蒲葺く

菖蒲葺く

東京や菖蒲葺いたる家古し
正岡子規

この菖蒲(しょうぶ)とは、豪華な花をイメージする「花菖蒲」ではなく、細長い剣形の葉が主となる多年草を指し、こちらは区別のために「葉菖蒲」とも呼ばれる。蒲のような黄色い花穂をつけ、菖蒲湯となるのも後者の「菖蒲」の方である。

菖蒲葺く。
瓦葺き、茅葺きという屋根材を示すのとは別に、「葺く」には軒端に草木などを差しかざすという意味がある。
正岡子規が見た東京では、

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春愁

花が咲き、小鳥は囀り、心はずむ季節なのに、何となく気持ちがふさいで、物思いにふける。それは憂鬱というほどではなく、訳もなくふと感じる憂愁の気分。

春の物思いが「春愁(しゅんしゅう)」とすると、
秋の物思いを表す季語は「秋思(しゅうし)」という。

秋の憂いは、木々が落葉し草木が枯れる物悲しい季節感から来るとして、春の物思いは何だかつかみどころがないものである。

春愁やくらりと海月(くらげ)くつ

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