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奇縁堂だより14【本の紹介 : 森見登美彦の作品】
前回紹介した万城目学とファンタジー・ノベル界の双璧をなすのが森見登美彦です。1976年生まれの万城目とは同時代の京大同窓生です。ファンタジー・ノベル界においては「京大恐るべし!」と言われているとか?いないとか?
著者略歴
森見は1979年1月6日奈良県生れ。京都大学農学部大学院修士課程修了後,国立国会図書館に勤務していた経歴を持っています。
京都大学在学中に執筆した『太陽の塔』で,2003年に日本ファンタジーノベル大賞を受賞し,同作で作家デビューしました。
その後,2007年に『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を,2010年に『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を,2014年に『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞を受賞しました。
また,『夜は短し歩けよ乙女』, 2017年の『夜行』,2019年の『熱帯』は直木賞候補となっています。これだけの経歴を見ても,森見の評価がいかに高いかがお分かりいただけるでしょう。
上記以外にも『四畳半神話大系』,『きつねのはなし』,『新釈 走れメロス 他四篇』,『有頂天家族』,『美女と竹林』,『恋文の技術』,『宵山万華鏡』,『四畳半王国見聞録』,『有頂天家族 二代目の帰朝』,『太陽と乙女』など,「森見ワールド」と評される話題に事欠かない著作を数多く上梓しています。
紹介作品一覧
次に,書肆奇縁堂の在庫の中から森見登美彦の作品をピックアップして紹介します。京都,森,狸,天狗を中心に展開するファンタジーの世界をご堪能ください。
○『太陽の塔』
○『宵山万華鏡』
○『きつねのはなし』
○『美女と竹林』
○『新訳 走れメロス』
○『四畳半王国見聞録』
○『聖なる怠け者の冒険』
○『夜行』
○『熱帯』
作品紹介
・『太陽の塔』 文庫,¥ 200(税込)
主人公の私は京都大学の学生であるが,その生活には全くと言っていいほど華がない。
特に女性とはことさらに縁が無かった。だが,何と!三回生の時に水尾さんという恋人ができた。華がなかった大学生活が,愉快な毎日に。
しかし,振られた…
水尾さんに未練が残る私は,観察と研究という名目で彼女を観察してレポートを作成することに。
そんなとき,水尾さんを追いかける男・遠藤と出会う。遠藤とは何者なのか?
クリスマスの嵐が吹き荒れる京都で,妄想力だけに生きる男が無闇に疾走する…
デビュー作にして,日本ファンタジーノベル大賞受賞作!
・『宵山万華鏡』 文庫,¥ 250(税込)
熱気溢れる祇園祭の宵山。姉妹の神隠し,学生達の青春群像劇など,現実と幻想が入り乱れた様々な事件が交錯し,そして全てが繋がってゆく…。
あたかも,万華鏡を覗いたような多彩な宵山の姿を描いた連作中篇集。
一年中観光客の多い京都でも,祇園祭の時はその数が桁違い。あれだけの人と熱気,この作品のような不思議な体験をしている人がいてもおかしくないかも!?
森見登美彦の不思議な世界へ誘われます。
・『きつねのはなし』 文庫,¥ 250(税込)
楽しい妄想が爆発する,いわゆる「森見ワールド」とは一線を画する作品集です。
舞台は京都。ただ,桜や紅葉,舞妓・芸妓で知られる華やかな京都ではなく,歴史があり,それゆえ底知れぬ謎を秘めた古都・京都をイメージさせる本書。この作品集はファンタジーか?はたまたホラーか?
表題作の『きつねのはなし』のほか,『果実の中の龍』,『魔』,『水神』の3編が収録されています。
・『美女と竹林』(森見登美彦:著) 文庫,¥ 250(税込)
「これからは竹林の時代であるな!」と閃いた森見は,実家が竹林を所有している先輩・鍵屋さんを訪ねるために,JRと阪急(京都線と嵐山線)の駅があり,京都の西の起点?ともいえる桂へと向かう…
竹林の整備をとっかかりにして,ゆくゆくは竹林事業で財産を築きたい!目指すは竹林成金!つくるぞMBC(モリミ・バンブー・カンパニー)!
森見の果てしなく拡がる妄想を綴った一風変わった(小説のような)エッセイ集です。
これってエッセイなの?小説なの?と読者を戸惑わせること間違いなし!
・『新訳 走れメロス』 文庫,¥ 150(税込)
人質となった無二の親友との約束を“守らない”ために,芽野史郎は全力で京都を疾走した!男たちの熱い?友情を描いた『走れメロス』ほか,『山月記』,『藪の中』,『桜の森の満開の下』,『百物語』の4編を収録。
日本の近代文学の名作を,森見が独自の解釈で,京都を舞台にした話として蘇らせる!
果たして,森見の新釈は卓見か?パロディーか?
京都の四畳半下宿で繰り広げられる,阿呆な?大学生の妄想と珍奇な行動を描いた連作短編集。『四畳半王国建国史』,『蝸牛の角』,『真夏のブリーフ』,『大日本凡人會』,『四畳半統括委員会』,『グッド・バイ』,『四畳半王国開国史』の7編を収録。
これぞ森見登美彦の世界観!と感じることができる作品です!
小和田君は社会人となって2年目。そんな小和田君のモットーは「何もしない,動かない」こと。キング・オブ・怠け者の小和田君。
そんな小和田君の生活は,仕事が終わったら寮に帰り,缶ビールを飲みながら“将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト”を改訂するといった地味なもの。
ある朝目覚めると,小学校の校庭でぐるぐる巻きにされ,隣には旧制高校のマントを羽織り,かわいい狸のお面をかぶった変な奴が立っていた。それは,一年ほど前に京都に現れ,次々と困った人を助ける“ぽんぽこ仮面”だった。
なんとぽんぽこ仮面は,怠け者の小和田君を自身の跡継ぎにしようと考えたのだ!しかし,そこは小和田君,必死に断る!のだけれども…
果たして,「何もしない,動かない」がモットーのキング・オブ・怠け者の小和田君は,困った人を助ける”ぽんぽこ仮面”になっちゃうのか!?
私たち6人は、学生時代に京都の百万遍交差点近くの英会話スクールで共に学んだ仲間だった。
10年前、私たち6人は鞍馬の火祭りを訪れた。仲間の一人であった長谷川さんが、その日の夜に突然姿を消した。なんの手掛かりもなく、長谷川さんの行方は今もわからないままである。
私たち5人は10年振りに鞍馬に集まることになった。声を掛けたのは私(大橋)だったが、5人が集まったのは、みんなもう一度長谷川さんに会いたかったからなのだろう。
夜が更け、何気なく私が昼間見た画家•岸田道生の作品の話をすると、微妙な空気になる。なんと、全が岸田道生が描いた"夜行“という絵に出会っていたのである。そして、それぞれが旅先で出会った"夜行“に関する不思議な体験を語りだす...
物語の舞台は、尾道(広島)、奥飛騨(岐阜)、津軽(青森)、天竜峡(長野)、鞍馬(京都)と日本各地を巡る。
かつて,私は京都の古書店で佐山尚一の『熱帯』と題された本を購入した。奇妙な冒険譚を描いた同書は,私が読み終える前に部屋から無くなっていた。
作家となった私は執筆に難渋している最中,都内で開催されているの“沈黙読書会”というのに参加した。
そこで『熱帯』を手にしていた白石さんという女性と出会い「この本を最後まで読んだ人はいないんです」という摩訶不思議な話を聞いた。
そして、ここから『熱帯』にまつわる長い物語が始まっていくのである。
『熱帯』の秘密を解き明かすために集まった「学団」とは?いろいろなところに現れる怪しい古本屋屋台「暴夜書房」の正体は?
果たして『熱帯』にまつわる物語に終わりはあるのか?
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