- 運営しているクリエイター
記事一覧
とあるアプリのお題「愛に満ちたヒューマンドラマ」でショートショート
昼下がりの鍛錬場に響く木刀のぶつかる音。空気が振動し、私の鼓膜を揺らした。私は今、父と、父の弟子の模擬戦を離れた場所から見守っている。
大きな気迫を放つ仁くん――父の弟子だ――に対して、父は冷ややかな様子であった。その有様は対極であるように見えるが、その心の裡には同種のものが宿っているのだろう。地球の中心点から見れば北極と南極は真逆に位置していて決して交わることはないが、その特性が似通ってい
とあるアプリのお題『世知辛い魔法もの』でショートショートを書く
「サクラバ君、君にはこの魔法学園から退学してもらうことになった」
急遽呼び出された学園長室で、僕は一方的にそう告げられた。
「どういうことでしょうか、学園長?」
「今、言った通りだ。非常に、ひっじょおぉぉぉぉぉぉに、残念なことだが、これは覆せない決定だ」
「つまり、学園長より上の立場にある人間の決定である、ということですね」
僕が若干尖った口調でそう言うと、学園長はうなずいた。
学園長
とあるアプリのお題「美少女が学校で一喜一憂する」でショートショートを書く
突然の出来事により、僕は自分がすっかり変わってしまったのだと自覚した。
ブカブカになってしまった制服のズボンに手を這わせ、少しずつ、少しずつ、太ももの中心へ向けて動かしていく。
そうして僕の手は自分の股間にたどりつき、「本来あるはずのものが無い」という事実を確認する。
無い。どう触っても無い。
隠れている様子も、無い。
「なんで僕、女の子になってるんだ」
耳に入り込んでくる声は、
とあるアプリのお題「男子がトイレでドキドキする」でショートショートを書く
どうしてこんな状況になってしまったんだ、と僕は自問する。
いや、答えは明白なのだ。「特大の便意に責め立てられた僕がたまたま空いていた駅の女性用トイレに駆け込んでしまった」ために、僕は今焦っているのだ。
「――でさあ、ありえないよね。三年も付き合っておいて」
「だねー、せめて対面で説明しないと。チャットで『別れよう』なんてさ。成人してる大人の男が大人の女と付き合うなら、対面で堂々と言うぐらい