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大人になった卒業生のみなさんへ

卒業式シーズンですね。
公立の学校は昨日か今日が卒業式だったのではないでしょうか。

毎年、この時期になると卒業して行った生徒を思い出します。
特に担任として卒業式を迎えた時は、人生の中で上位に入る経験でした。
 
今日は、その子たちに送った最後の学級通信を、今の私だったらどう伝えるか考えてみます。あれから数年、色々な経験を通して私も考え方が変わってきたなぁと思います。
 
長い文章です。
その分自分の教員人生で紡いできた気持ちをのせられたと思います。
オープン学級通信として、ぜひ読んでみてください。

卒業によせて

ついに本当の本当に最後です。
ですので、思う存分コテコテの長文を書かせていただきます(笑)

 
突然ですが、何シーズンか前の連続ドラマに、「先に生まれただけの僕」というドラマがありました。嵐の櫻井さんが主演をされていたドラマでしたね。ご覧になった方、いらっしゃいますか?
 

実はこのドラマの「タイトル」こそが今の担任としてのわたしを示しています。

 
私自身、教員になってまだ数年目です。みなさんよりも学校歴が少ない人間なのです。
自分の中で「教える」ということに、どこかまだしっくりとこないまま、初めて担任を持たせていただきました。
 
そこで感じたことこそが、
皆さんより数年だけ「先」に「生」まれただけ=先生という存在としての私です。
 
みなさんにとって、教員とはどんな存在でしたか?

教え導き、引っ張る存在?
口うるさく説教する存在…?

私自身は、少しだけ先に生まれただけのみなさんと根本的に平等な人間として、経験したこと、考えたことを共有する。それを知恵として自分なりに解釈してもらい、みんなの行動に変えてもらい、共に気づき合い、対話していくための存在でありたかったのです。
 
もちろん、人としてしてはいけないこと、伝えなければいけないことはしっかりと話してきたつもりでいます。
 
しかしそれは、聖なる存在・みなさんよりも高いところにいる存在としてではない時間でした。
 
今、振り返って気づくことができました。とてもシンプルなことですが、これこそが、今の私の教員としての自分軸であり、信念です。みんなに出会えて磨くことができたものです。本当にありがとう。
 
こういうわけですので、この最終号も、私が経験し、一番知っていてほしいなあと思うことを共有します。それぞれが置かれた立場に置き換えて消化してみてほしいです。

1、インサイドアウトという発想

これは、「人は自分の見たいように世界を見ている」という事を大前提にしている発想です。
 
人の言動を見て「正しい」「間違っている」と批判したくなる時がありますが、実は相手のほうが総合的に正しい可能性もあります。
 
どれだけ「自分は客観的だ」と考えている人も、過去の経験や学んだ知識という自分のフィルターを通して、その事象を見ているのです。
 
このような前提をもとに、自分の内面(インサイド)の考え方や物の見方、人格や動機に問題がないかと考え、律することを「インサイド・アウト」と言います。
 
何か問題にぶち当たったり、他者との関係で悩んだ時、この発想を原則の一つにすると何が起こるでしょうか?
 
それは、必ず何か事に変化が起こるということです。
もう少し具体的に言うと、「変えられるものだけ」に集中して力を注ぐことができるようになるということです。
 
多くの場合、自分をモヤモヤさせている「相手」や「出来事」が変わらないだろうか(アウトサイドイン)と悩むものですが、結局それは変えられないものに対してぐるぐると想いを巡らせているに過ぎず、精神的に参ってしまうだけです。
 
ここで、視点を変え、「自分をどう変えるか」を考えることではじめて解決の糸口が見出せ、はじめて「行動」に変えることができるのです。
結果、それは古い自分を変化させ、成長にも繋がるよ、という話なのです。
  
もし皆さんがこの学校をでて色々な困難にぶつかった時、この発想をお守りに、どうか乗り越えていってください。

2、自分軸は、道しるべ

自分がこうありたい、と言う信念としての「自分軸」は、死ぬまで不変なものというわけではないと思っています。
 
むしろ徐々に、時代の変化へ合わせ環境に刺激を受けながら更新していくものなのではないでしょうか。
 
私自身、みなさんと過ごした三年間で更新してきた自分軸があるわけです。
 
自分の大切にしたいものが明確だと、肝心な時に判断がブレません。
自分自身で迷った時、その信念に立ち返って考え直すことができるからです。
 
人生の節目である大学進学・就職・結婚・出産、毎日の些細な出来事での判断で、必ずあなたの道しるべとなります。
 
この自分軸を大切にするためのヒントを2つ、教えます。

「じぶんをかえるために うごく」
「じぶんをかえないために うごく」

これは、ヨシタケシンスケさんという絵本作家の「にげて さがして」という作品にある一節です。
 
もっと良い考え方はないか?と探すために動くこともできる。

逆に、せっかく大切な自分軸を見つけたのに、その軸が大事にできない環境だったら、その軸を通すことのできる新しい環境に動くこともできるのです。

3、幸せになる勇気を持つ

言い換えると、「自分の人生に嘘はつかない」です。
 
もし、「幸せになりたいですか?」と聞かれた時、「いいえなりたくないです」と答える人はあまり多くないのではと思います。多くの人が、自分の身の丈にあった幸せを噛み締めたいと思うでしょう。
 
しかし、頭ではそう分かっていても、ついつい「幸せだなあ」ではなく「めんどくさくない、楽だから」という理由で選択することがあります。

私の持論ですが、「楽である」ということと「幸せである」ということは、ぴったりイコールではないと考えています。(自然体でいられるという意味で幸せに感じる方もいるとは思いますが)
 
もしその瞬間の選択が、止むを得ずどうしようもなく「楽」な選択だったとしても、いつかどこかで「このままでいいのかな」と思う瞬間がやってきます。
その時に、自分に嘘をついて(自分に言い聞かせて)なんとなくモヤモヤしたまま過ごすこと。
 
これが「自分の人生に嘘をつく」状態です。
 
自分がやりたいと思うこと、本当はこうなっていることが一番幸せなんだけどなと思うことを、できない理由を探してあきらめないでください。
 
その選択をすることがたとえ苦しい瞬間があるものだったとしても、そこに踏み出す「勇気」を持ってください。
 
踏み出した結果、例えばうまくいかなかったとしても、うまくいかないという経験があなたを強くし、違ったチャレンジにつなげてくれます。
 
だから、幸せになるには時に勇気が必要なものなのだと、私は思います。
 
本当に、他人思いで、優しく育ってきた皆さんだからこそ伝えたいと思います。

他人軸に溺れて自分を見失わないこと。
自分の幸せにまっすぐ向き合い、その勇気を持つこと。

もし、勇気が持てなくなった時、わたしはいつでも皆さんの力になります。いつでもお待ちしています。どうぞ、背中を押されにきてくださいね。

最後になりましたが改めて、卒業おめでとう!!!!!!!

🖋あとがき

ここまで記事を読んでくださった方、ありがとうございました😊
よかったら、ほかのエッセイや読書ノートも目を通してもらえたら嬉しいです!

< 自己紹介 「7つの習慣と教師とわたし」>


<2021年3月現在、特にスキをしてもらった記事たち>
✅ゲームで人は救えるという話


✅休職したことで「働く」が見えた話

✅教員が学校教育で悩んでいること、アレコレ


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