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銀河鉄道の夜

 これまで幾度となく宇宙を旅した銀河鉄道。ジョバンニの淡い心情、あどけない鉄郎の成長は言うまでもなく、もしかしたら他にも機関車を飛ばした作品があったかもしれない。
 どうも、銀河を駆けるKHであります。


 幼少の頃、僕が初めて触れた「銀河鉄道」はアニメ版「銀河鉄道の夜」でした。勿論、主役は戦士の銃を粋に構える星野鉄郎......ではなく何故か猫っぽい耳を生やしたジョバンニ少年。猫っぽい、と言うより猫ですね。可愛いなぁ。

☟青い身体で独特な服を着こなすジョバンニ

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 1985年公開とのことで、僕が生まれる7年前の映画です。原作に忠実なストーリーには違いないんですが、独特な絵柄と奥深い劇伴が相まって唯一無二の世界観を味わえる本作品。音楽監督が細野晴臣というのも納得の雰囲気。静かな場面も多いなかで、急に牧歌的な、それでいて怪しげな音楽が流れるというのは、正直かなり怖いものがあります。まぁ、その謎めく世界観こそが本作の魅力なんでしょうけど。

 猫耳の生えたジョバンニ少年は、父のあらぬ噂を流され、猫耳のザネリに馬鹿にされます。少年の憤りを癒やしてくれるのは、やはり猫耳をもつ優等生カムパネルラです。心なしか彼の毛肌は他の子(猫)より上品に描かれていて、落ち着いた声がより世界を濃く感じさせます。

☟おどけてみせる猫耳ザネリ

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 そして、そんな旅の案内人カムパネルラ少年に声をあてたのは声優の坂本千夏さん。本作の3年後には「それいけ!アンパンマン」にて、天丼マン 及びカバオ君のお母さんを担当された偉い人らしいです。

☟上天丼定食

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 なるほど、宇宙なのか脆い精神世界なのか、銀河鉄道に乗って旅をする経験というものが、後の偉大な国民的アニメを生み出したと言っても過言ではない......。

 しかし、あの優等生声のカムパネルラから、「てんてんどんどん てんどんどん!」なわけですから、やはり声優さんって凄いですねぇ。因みに彼女は天丼マンと同時期に「某となりのトトロ的ジブリ映画」の、メイ役をされているようで、これは確かに天丼と通ずる物がある。
 まぁ、カムパネルラに関わらず、主役の心細そうなジョバンニ少年を演じる田中真弓さんについても、数年後に気円斬を放り投げたり、又ゴム人間になったりで、凄く忙しそうな日々を現役で送られています。声優さんって凄いや。

 と、話が脱線しましたが、取り敢えず作中に溢れている幻想的な情景は、ある種の退廃的な感覚を生み出すこともあり、適当に切り取った効果音一つ思い出しても......
・めちゃくちゃ怖い学校のチャイム音
・星屑が横を流れてゆく音
・鷺取りのおじさんが地表に溶ける音(?)
・ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ

 など、耳に残るものばかり! 幼少期の僕はトラウマになるほどの奥深さを感じたのです。本当に怖かった。

 最後に、僕が大好きなエンディングテーマを流してお別れしましょう。

 暗い部屋の中で、夜の公園で、などの環境。上司に怒られた、仕事なんてどうでもいいや。好きな人に振られた、クリスマスが憂鬱だな。なんのやる気も出ないなぁ、寝ていたいなぁ。という方にもおすすめ。
 これを聴いて、皆で銀河鉄道に乗り込もう!
 ......言うまでもなく、そんなハイテンションな映画ではないんですけどね。


 追記:そういえば、昔の「ドラえもん」映画でも銀河鉄道系の話がある。あの猫型ロボットの声が、まだ大山のぶ代さんだった頃の話だ。銀河鉄道と猫の相性は、思いの外良いらしい。

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