炭素クレジット利用はグリーンウォッシュ
【英国】英政府、排出権取引枠を縮小 来年は12.4%減=過去最低水準
先だってガソリン車の販売禁止を先送りにした英国政府が、今度は来年度の排出権取引枠を減らすことにしたようです。排出権取引を減らすことで脱炭素を進めたい、という狙いだそうですが、これは排出権取引が拡大するとCO2削減が進まない、つまり排出権取引はグリーンウォッシングだと英政府が認めたことになります。
2026年以降、EUではカーボンオフセットが含まれる場合「カーボンニュートラル」という主張が禁止されることになったばかり。
2026年以降は「カーボンニュートラル」と言えなくなる
カーボンオフセットはグリーンウォッシングという認識が世界で広まりつつあります。
2023年はグリーンウォッシュ元年か
一方で、日本は2023年から炭素クレジット活用を拡大する方向であり、カーボンオフセットを排除しつつある世界の動きに反します。
2023年の改正省エネ法で国がクレジット利用を推奨し、2023年10月11日にカーボンクレジット市場が開設され、2025年からは東京都が中小事業者にも脱炭素条例を拡大しようとしています。クレジット利用を急拡大させた後、2026年以降に「カーボンニュートラル」という表現が使えなくなったら産業界は大混乱に陥ります。企業側も、国や都が認めているから大丈夫、どんどん利用すればよい、などと考えるのは思考停止です。
よく脱炭素の順番として、
①省エネによるエネルギー使用量削減
②再エネ導入によるCO2削減
③どうしても残ってしまうCO2排出分を炭素クレジット利用によってオフセット
と言われます(私はこの手法に賛同しませんが、あくまで一般論として)。当然ですが、カーボンオフセットなしに企業のカーボンニュートラルなど実現するはずがないのです。そして昨今では、当初最後の手段とされてきたカーボンオフセットが最優先されつつあります。排出権取引や炭素クレジット利用によるカーボンオフセットはグリーンウォッシングであることを日本企業は認識すべきです。
なお、英国のスナク首相はガソリン車の禁止時期延期だけでなく脱炭素政策の見直しについて様々なことを述べています。
冒頭の排出権取引枠の削減がこの一環なのかは分かりませんが、今後も様々な見直しが出てくるかもしれません。
日本企業の皆さま、バスから降り遅れませぬように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?