CO2を90%回収しつつ世界最高効率 “究極”石炭火力発電の実証試験が最終段階に【橋本幸治の理系通信】(2022年5月13日)

大崎クールジェンのIGFC=石炭ガス化燃料電池複合発電の凄さが簡潔にまとまっていて分かりやすい動画です!とても勉強になったのでメモしておきます。

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石炭をそのまま燃やすのではなく、ガス化してタービンを回す。
ガスタービン、蒸気タービン、燃料電池のトリプル発電で効率を究極まで高める。
CO2を90%回収して、発電効率は世界最高の47%!

さらに燃料電池を複数台並列に設置してさらなる拡張性にも挑戦している。

調整力=負荷変化率=1分間で出力を変化できる%。
太陽光や風力など自然条件に左右される不安定電源のバックアップとして発電量を変化させられる幅のこと。
石炭火力:3%/分
LNG火力:6%/分
IGFC:16%/分

従来、火力発電で石炭よりもLNGが優先されていたのはCO2の排出係数だけでなく調整力が大きくて再エネと親和性が高いと言われていた。これを大きく上回る調整力が期待できる。

さらに、幅広い石炭を使える。従来は炭素含有量の多い無煙炭が火力発電に使われてきたが、IGFCではこれまで使えなかった安価で炭素が少ない褐炭が使える。

天然ガスはロシア依存になる。ウクライナ戦争は脱炭素政策の不幸な副作用とも言われる。
石炭は産地の偏在がなくエネルギー安全保障の観点からも有効。
石炭を脱炭素させながら上手く使う。非常に安定している資源。

ただし、課題もある。

残念ながらこの究極の技術が脱炭素政策で使えないリスクがあり、新たな投資に踏み切りづらい。

そしてCCSの課題。埋める場所。

さらにCCSのコスト低減。回収したCO2の利用=CCUによる利益創出が必要。
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ド素人ですが補足をすると、なぜこんなに調整力が向上するかというと、石炭をガス化するので、細かい制御が可能になる点がすごい!
暖炉や五右衛門風呂のように薪をくべるより、プロパンガスや都市ガスの方がコンロで鍋料理をするときに火加減や強弱を調整できるような感じかなと。

こんなにすごい石炭火力発電技術こそもっと世界中に輸出するべき。太陽光発電は中国を儲けさせるだけで、晴天の日中しか発電できず不安定で経済活動のベースとはなり得ない。もちろん製造過程の環境負荷や新疆ウイグル自治区でのジェノサイドの問題もあります。


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