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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
125.slow

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 戦いが開始されて居るにもかかわらず、疑問の言葉を思わず声に出してしまったコユキ。
 それほどゆっくりっと、それはもうノロノロと陸に上がったウミウシみたいに動き始めたパズスとラマシュトゥであった。

 もそもそ動き終わると、更に前に出たパズスが振り返り、逆に後ろに下がったラマシュトゥの立ち位置を、もう少し左、逆逆! とか言いながら修正を施していく。
 暫くしばらくして、それが終わると、改めてコユキを見つめながら口を開いた。

『グハハハハ、待たせたな、ガタコ、ん? ガタ…… ? せ、聖女よ! えっと、切り刻んで戻す? のだ、までよおぉぉぉ! 』

訳の分からない言葉と共にコユキを捕まえるように手を伸ばしてきたのであった、 …… ゆっくりと……

「よいしょっと」

 コユキは差し伸べられる凶悪な腕を、アヴォイダンスを発動させる事も無く、便座に座る様な気安さで、普通にしゃがみ込んで避けた。
 そのまま、低い姿勢で側面に大きく回り込みながらコユキは考えた。

────遅い、ってか遅すぎるし、オルクス君の鎌みたいな武器も無いし、モラクス君の飛び道具的な技もなさそうね…… 確かにオルモラ二人とも、硬いと治すって事しか言って無かったはず…… 丈夫なやつと、治療が上手なやつ、まさか、それだけって事? いや、在り得るか、確か越えられない試練は無いとか、なんとか言ってた気もするし…… よしっ! なら一気に決めに行って見るか! 最初に狙うのは、こっち!

「加速(アクセル)」

 決めるや否や、コユキは後方でサポートに徹するつもりだったであろう、淡いピンクのオーラをまとったラマシュトゥの目の前に現れた。
 ラマシュトゥの持つチート能力、『改癒』は使用されれば非常に手強い物であるし、パズスと比べて、見るからに防御力が低そうに見える外皮が、こちらを選んだ理由であった。

「散弾(ショット)」 『鉄盾アスピーダ

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガンッ!!

 コユキが攻撃を出した瞬間、パズスの発した言葉に合わせて、オレンジの光りがラマシュトゥを包みこみ、コユキの拳、その全てを防いだのである。

────バフみたいに仲間に盾を展開させることも出来るのか! ならっ!

「アクセル」

 呟いた瞬間、コユキの姿は一転してパズスの背面に移動し、間を置かず攻撃を繰り出していた。

「散弾連撃(コンティショット)」

『ググゥ』

 一瞬で数十発を打ち込む『ショット』の無呼吸連撃は、見る見る間に千発を越える打撃をパズスの体に着弾させ続けた。

「ふぅっ! やったか? 」

 一旦距離を取ったコユキが、フラグ的な事を口にしてしまったのも無理は無かった。
 パズスは背中一面から血をボタボタと流し、遠目にも破られた皮から、力尽くで叩き潰され崩壊した肉の残骸が見て取れたからだ。
 注意深くみれば、周囲に飛び散った肉や皮も少なくは無い事が分かってもいた。
 力無くコユキの方へ顔を向けたパズスの瞳は虚ろうつろで、口からは低い嗚咽おえつが漏れ出しており、到底無事だとは思えなかった。

 やはり効いていたのであろう、パズスが一歩よろめくと同時に、先程ラマシュトゥを包んだ光の盾が、音も無く消失したのだった。

「好機! アクセル」 『強靭治癒(エニシァシ)』

 移動を開始したコユキの事を、一切意に介さずにパズスに治癒を施したラマシュトゥを、コユキの拳による容赦無い攻撃が襲った。

「ショット」

『ギャアァァァ』

 コユキの超高速のパンチを、上半身全体に受けたラマシュトゥは叫びを残して、その場にドチャッという音と共に崩れ落ちた。
 ピクピク痙攣している顔面は、半分ほどが千切れ飛んでしまっていて、その他の着弾点も漏れなく肉がえぐれ骨も見え隠れしていた。

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拙作をお読みいただきありがとうございました!


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