【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
39. 令嬢、捌く ②
二人キリになるとストラスに対して、親し気にエマが言ったのである。
「今日は剣を投げて倒したんですの? 昨日は槍でしたわよね? 」
ストラスが答える。
「ん、ああ、昨日は小ぶりなヴァイパーだったからな、ピルムで十分だと思ったんだが、今日みたいにベアとかディアの大型になるとな、重量のある武器の方が確実なんだよ」
「そうでしたのね、それに致しましてもお見事ですわ、投げた槍や剣を思い通りにコントロールするなんて、本当に素晴らしい能力でしてよ、何て仰いましたっけ? 」
「『鉄の支配者』だ、まあ一族に伝わっている個別スキルだからな、俺は家族の中じゃ下手な方なんだが…… 武器だけじゃなく鍋とか釘とか時計の針とかな、訳分かんない物まで動かしちまうんだよ、困ったもんだ、はははは」
「それでも私を守って下さるのでは無くて? 頼もしいですわ! ふふふ」
恥ずかしかったのか、顔を赤らめてそっぽを向くストラスの大きな姿に頼もしさを感じるエマであった。
ガタガタガタ
シュバルツとヴァイスが牽くキャリッジと、グラオが装着したキャリーが到着し、御者台から勢いよく飛び降りたマリアがエマの元へと駆け寄って来る。
「お嬢様、事情はデビットから聞きました、大丈夫ですの? 」
「ええ、危なかったのですが、いつものようにステハムが守ってくれたのですわ! 安心してね、マリア」
「まあ、ストラス様ありがとうございます、毎日毎日…… それにしましても、お嬢様!
そろそろストラス様をステハムと間違えるのをお直しくださいませ! 失礼では無いですか! 」
ストラスが笑顔でマリアに言った。
「あー、良いんだよマリア! もう慣れちまったしな、あれだ、その、エマだけが呼ぶニックネーム? みたいなもんだと思ってるからよ、このままで良いんじゃねーか? 」
エマも同じような笑顔で言う。
「そうでしてよ! あの日賭場ですった日から私とステハムの間には特別な絆が出来たのですわ! んですわよね? ステハム? 」
「まあそうだな、それでいいぜ、我がお姫様? 」
「むふぅ♪ 」
「まあ、お二人とも、いつもいつもふざけてばかり! うふふ! 参りましょうか? 」
「おう! 」
「ええ、参りましょう」
話をしている間に倒したモンスターの遺体をキャリッジとキャリーに積み込み、乗り切れなかった分は馬車の屋根に乗せ終えたイーサンとデビットの労をねぎらいつつ、一行は森を出て草原を進み、程なく農奴たちの暮らす林の中、小川の辺に辿り着くのであった。
「エマ様! 今日も来ていただいてありがとうございます! 」
「とんでもないのですわ、ごきげんよう! 」
「見て下さいよ、エマ様! 俺割り算も出来るようになったんですよ! 」
「んまあ、凄いじゃないですの! ごきげんよう」
「エマ様! 水生成の魔法を成功させました、これでお腹を痛めないお水を飲んでいただけますぅ! 」
「頑張りましたわね、立派でしてよ、ごきげんよう」
そんな会話を農奴たちと交わしながら到着した場所は、集落の中心を流れる小川の下流であった。
自然に繁茂している大樹をうまく加工して、血抜きの為の吊り上げ場所、いわゆるリフトが設えられた一角であった。
周囲に居た十数人がエマ達の姿を見て集まって来る。
モンスタ─の遺体を降ろす前に整列をして一行に丁寧な礼を向ける。
ごきげんようの合唱が止むと同時に、逆さ吊りでリフトに引き上げられ、首筋を切られたモンスターの遺骸からはドバッと体内に残された血液が流れ出るのであった。
血液は川に注がれそのまま流れを下っていく。
血抜きの後は腹部を割いて臓物を抜き取り、古めかしい解体道具を手にした数人が手際よく素材と肉を選り分けていく。
肉が切り出されると待機していた農奴たちが素早く一軒の大きめの小屋へと運び込む、ここで毒消し草の粉末を万遍無く塗しているのである。
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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