【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
14. 令嬢、宿泊する ①
目を覚ました時、確りと開いた目の先には何も見る事が出来なかった。
未だ夜中なのだから当たり前と言えば当たり前であるが……
エマ、アメリアが完全な闇に触れるのは生まれて初めての事であったのだ。
思わず言いなれた言葉が口をついて出た。
「ま、マリア! 灯りを、灯りを持って来てちょうだい! ……………… あ! ああ、そうね、マリアも別室だったわね…… でも、でも、恐いわ! 何か灯りを灯さなければ…… ええと…… そうだ! 学園で教えて頂いたあの魔法! 周辺百メートル位にいる全ての存在を癒す究極の癒術、フルヒ─ルであれば、薄らとした灯りが二時間程度灯されるはずでしたね、過去に一回だけ成功した事がある魔法でしたけれども…… いいえ! この恐怖は耐え切れませんわ! 諦めません! 勝つまでは!
『フル・ヒール』! くっ、駄目なのね……
もう一度! 『フル・ヒールッ! 』、良いですわね! 明るくなって不安が消え去りましたわぁ! あれ、あららら? もう消えてしまったのです…… なんの諦めませんわよぉ! もう一回!
『フル・ヒイィィールゥゥ! 』、良いですわね、明るくなりましたわ! ぬぬぬっ! こなくそっ! もう一回、『フル・ヒール』! 」
朝まで魔力切れ、詠唱、魔力切れ、詠唱を繰り返し続けたエマの最大魔力量は、馬鹿みたいに跳ね上がったのであった。
余談ではあるがギルド併設宿のご近所さん達の体調が良くなったり古傷が治ったりもしていた。
翌朝、両目を3に変えながらも約束の朝食時間には食堂に降りて来たエマに声を掛けたのは、巨漢で明るいギルド併設の宿の女将さん、マチルダの呆れたような声であった。
「なんだいなんだいエマちゃんは眠れなかったようだねぇ? ベッドがお気に召さなかったのかい?それとも実家にお気に入りのぬいぐるみを忘れて来ちゃったのかねぇ? ははは、でもエマちゃんついてたよ、良かったね! なんと今日のスープは肉入りだよ! たっぷり食べて元気を出して、一日庶民の依頼に答えておくれよぉ! 冒険者様? はははは、はははははっぁ! 」
笑いながらテーブルの上に四人分のスープとパン、小さなサラダを並べたマチルダは厨房の中へと去って行った。
フラフラとテーブルに近付いたエマの為に椅子を引きながらイーサンが言う。
「全く無礼な口を聞きおって、けしからん女ですな、あのマチルダは! それにしてもお嬢様、フラフラではございませんか、今日はお休みされて冒険は明日からにされた方が宜しいのでは? 」
テーブル上のコップから水を一気飲みし、頭を振って眠気を振り払ったエマが答える。
「いいえ、大丈夫でしてよ! 予定通り今日は薬草採りを致しましょう! この町の中や周辺の地理にも明るくなりたいですし、 近くで発見されたと言うダンジョンの様子も気になりますわ!
休んでいる暇なんてありませんわよっ! さあ、みんなで食事を頂きましょう! 」
促された三人はエマと同じテーブルに着く、既に数回目という事で大分慣れてきている様だ。
宿の朝食を口に運びながらエマが三人に言った。
「やっぱり…… 不思議だけれど昨日の朝食より美味しく感じますわね、質素なのだけれど…… 何故かしら? 」
マリアが頷いた後、相槌の様に唸る。
「本当に…… 美味しいですわ」
デビットも同感のようだ。
「味付けが濃いんですよ、あれ? それだけじゃないか? 」
イーサンもスープを一口啜り空気と混ぜながら慎重に味わってから言う。
「なにか香辛料でしょうか? 不思議な香りがしますね、それに色々な調味料でしょうか? 複雑な味付けですよね」
「ええ、本当ですわ、とても緻密な味と香り、物凄く美味しいですわね」
そこに女将のマチルダがやって来た、水差しを置きに来たようだ、すかさず質問をするエマである。
「マチルダ教えて下さらなくて、こちらのお料理は不思議な香りや珍しい香辛料が使われているようですけれど、大変美味しくて私たち揃って驚いているんですの! この調理法はどなたが発明された物なのかしら? 」
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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