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ケロ子です。

4月からめっきり調子が落ちた旦那さん。

慢性的な疲労感。
目眩、複視に、頭痛、
何より立ち上がりもきつい。
顔面麻痺も強くなってきている。

MRI画像上では変化が無いが、症状からして、再発と見ていいでしょう。
東北大学病院の治験を今からできないか急ぎ相談します。
そうN先生のお話があってから、主治医の新田先生と、東北大学病院の斎藤先生とで激務の中迅速なやり取りをして頂き、今日、私と旦那さんは都内からはるか離れた、
治験を行なっている東北大学病院へやってきた。

新幹線でだるそうな旦那さんを何とか引っ張ってタクシーで東北大学病院に到着。

治験の詳細は2/10の日記にも書いた通りなのだけど、
今回は治験実施するのに必要な説明が行われた。
当日の付き添いには、お義母さんも来てくれた。

治験を行なっている、斎藤先生から、お話があった。

治験の内容と実績のご説明、
CDE治験は今第二フェーズで安全テストは完了している事。
治験に伴うごくわずかな記憶を失うかもしれない可能性の説明。
など。

旦那さんはスライドを見ながら斎藤先生の全ての説明を聞いてぽつっと言った。

旦那さん
「どうしていいかは、俺には分からないよ。
全部ケロ子に任せる。俺の命預ける。
疲れた。。。休みたい。」

私は、先生の説明の中でどうしても聞きたいことがあった。
治験で生還した人数が受けた数の3分の1も満たしていないことだ。
旦那さんの前で不安にさせるような質問はできない。
お義母さんに、旦那さんを連れて病室に戻ってもらうように頼んだ。

私には覚悟ができていた。
旦那さんが元気になる方法があるならどんな方法でもやる。
でもその確率は?実際どうなんだろ?
危険性の具体的なところをもっと聞きたかった。

旦那さんと、お義母さんが会議室を出てから、
先生に、治験患者の生還数について尋ねた。

斎藤先生はとても辛そうな表情だ。

斎藤先生
「この病気は、成人に発症することがまず少ないのです。国外でも希少です。
主な患者は乳児、幼児です。

治験を行なっている患者のほとんどは小さすぎて治験を受けられない、もしくは、
受けられても、治験の効果、3ヶ月を待たず、1ヶ月後くらいに亡くなってしまう。
このケースがほとんどなのです。
その中の数少ない成人のケースの人数だけで計算すると生還率は高いと言えますが、
実数自体が5人もいません。

現在生還しているのは3人。
そのうち1人は今は再発して植物人間状態です。

これが今のCED治験の実績です。」

先生はしっかりと静かに説明して下さった。

ケロ子
「このままCED治験を受けずに、テモダールの化学療法を続けた場合の
旦那さんの余命はどのくらいとお考えでしょうか。」

斎藤先生
「症状から見るに、広範囲での影響が深く出ていることから、
このまま今の治療を続けてもおそらく余命は半年以内でしょう。
やるなら今しかありません。よくお考えになってください。」

この答えを聞いて、
もう一度先生が説明してくださった、スライドを見直した。

治験を受けた患者の数と、生還数、そして、延命した患者数が棒グラフとなっている。
グラフは右に行けば行くほど、つまり延命年数が上がるほどにグラフが小さくなっていく。
悲しいほど短い。
指でプチっと潰せるほどの小さな棒グラフ。

発症時に入院した最初の大学病院の医師の言葉を思い出した。
旦那さんの命は持って一年以内、おそらく半年。。。
その半年が今、目の前に来ている。
これだけは絶対に実現させない。
私たちにはもうこれしか無いんだ。

ケロ子
「先生、ご説明ありがとうございます。
よくわかりました。
CED治験を受けたいと思います。
旦那さんをどうぞよろしくお願い致します。」

旦那さんはきっと這い上がる。
大丈夫、あの棒グラフを右に突き抜けてやるぜ。

病室に戻って休んでいる旦那さんに、CED治験の日程を伝えた。
そっか・・・とうつむく旦那さん。

ケロ子
「今日見たあの小さな短いグラフを、もっと右に、延命数を長く伸ばす。
 まだ誰も実現していないのなら、旦那さんが実現すればいい。
 皆の希望の星になろうよ、誰もやってないなら旦那さんがなれば良い。
 治験のS先生と、主治医のN先生がが学会で鼻高々に旦那さんの事を世界中に報告できるように!
 同じ気持ちで不安になっている患者さんとその家族の希望の星になろうよ。
 旦那さんならきっとできる。」

旦那さんは、静かにわかった、と一言だけ返事をして
差し入れされた牛タン弁当を黙々と食べ始めた。

CED治験は、4/26。
さぁ、踏ん張りどころだ。

記録はまだまだ続きます。

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旦那さんの病気の発症についてはこちらからどうぞ→発症時の日記 2016年12月 医師の告知

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