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『見直しができない子供』

見直しの仕方が分からない?

子供がこういうことを言うケースは間々あります。
ケアレスミスを起こしてしまう子供を咎めて注意したら、この手の言葉で応戦してきたりします。


誤答した計算問題の検算をさせてたら、いつまで経っても答が直らない子供がいます

たいがいの場合、自分のやった計算を思い込んでしまい同じ間違いを繰り返すことになりますが、それを含めてどこに問題があるかというと、答から問題へ遡ることが出来ずに常に問題を最初からやり直すのです。最初からやり直すから思い込みが解消できず、間違いに気付きにくいのです。当然ながら、最初からやり直すなんて非効率です。

思考を遡ることが出来ないのです。

思考が単一指向性で一方通行なのです。特定の子供にとって、単純な計算問題のように決められた手順で進められる思考であっても、一度ゴールしてしまえばそのゴールからスタートに戻るのは思ったほど簡単ではないのです。来た道を忘れているってわけです。

単純な一例を挙げると、

《8割は何割引?→2割引》
これを教えて本人が認識をしていることを確認した上で、逆を問います。
「2割引は何割?→???(答えられない)」
ということになる。


しかし、
「7割は何割引?」
「5割は何割引?」
こういう質問なら、
「3割」、「5割」と即座に答えます。

もう少し実感が湧くような例を挙げるなら

《英文→和文》
なら分かるが
《和文→英文???》


全く同じ文章の変換でも少し腕を組んでしまうでしょう。これは母国語が日本語である多くの人にとってそうでしょう。あの何か頭が痛くなる感覚ですね。

ついつい"→"の方向で思考がすすめば"←"の遡上が出来ると考えがちですが、それはある程度人生経験を積み、脳の使い方が分かっている大人の考え方なのです。
単純に一対一の対応ですら逆向きの思考が出来なければ、多くの検算の繰り返し作業を強いられるテストの見直しは出来ないということになります。
そもそも、こうした子供の精神特性として、テストも解答を終えた時点でゴールですからいったんゴールをした後に逆走したりしないのです。


"遡りの訓練"

こうした問題をすぐに解決する方法はありません。遡上できない思考を徐々に変えていかなければなりません。
遡上できるかどうかは現実と同じです。道に迷いやすければ跡を辿れるように道標を置くことなんです。
道標とは意味です。
計算をする時の意味をしっかり持たせること。

「何故、足すか?」
「何故、かけるか?」
「何と何を足してるのか?」
「何から何を引いてるのか?」


たまに横について子供が作る式に質問をしてあげて下さい。子供は「知らん」とか「分からん」とかと言葉にしたがらないでしょうが、そこを辛抱強く子供の言葉を待ってあげて下さい。
意味が付けばそれは道標が付いてるのと同じことになり遡上性が格段上がります。
意味以前の場合はやはり単純な可逆の訓練をします。

「分数なら逆数を言わせる」
「仮分数⇆帯分数」
「百分率⇆小数」


こうした正と逆の交換をさせることです。もちろん単純な計算の逆算も効果的です。


"俯瞰する力"

上記では主に算数を引き合いに出しましたが他の教科でも同様な事が起こります。国語も本文を一旦読み終わった時点ですべてが終わりで、読み返す作業無しに頭の中で答を作ってしまいながら解答欄を埋める子供がいます。国語の問題を解く時には、「本文を読む前に設問から読んでみろ!」なんてことをよく言ったりするのですが、ほとんど耳には届かないです。手順に関して、何らこだわりなく前から後ろへと進めていくだけです。残念ながら、多くみられる例です。
また、試験の取り組み方の指南をしたりします。「最初の問題から解かずに得意問題から解け!」みたいなやつです。やはり、見直しができないタイプの子供はそれが出来ない。問題番号の順にしか解こうとしない。いや、できないのです。
道標という言葉を使ってきましたが、
道の上に立っていて迷子になるのですから、地図的俯瞰など到底できない
ということなのです。

「好きな問題だけ選んでやってみろ!」

もちろん、「全部好かん!」って返ってきそうですが、好きな問題だけでいいから選んでやらせてみることは意外と有効です。
選択という作業は俯瞰無くしてできません
ただし、ここでは選択させることが目的なので、序列させるのはまた別の訓練です。ここでさせるのは、りんご味みかん味ぶどう味の飴の中から好きな飴を選ばせるのと同じ作業だということを認識しておいてください。

道標はミクロ、俯瞰はマクロ、どちらも必要な視点です。
バランスよく培われことは理想ですが、とりあえず先ずは片方の視点を養う。どちらかと言えば道標の方が先ですね。それができれば全体を見渡す力を養う、といったところでしょうか。

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