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バトル物の最高峰!?『さよならの言い方なんて知らない』を読みました。

バトル物は好きで、マンガでよく読んできました。「さよならの言い方なんて知らない」は小説ですが、マンガ作品以上に引き込まれました。
誰かにおすすめしたくなったので、感想を綴ります。

あらすじ
あなたは架見崎の住民になる権利を得ました――。高校二年生の香屋歩の元に届いた奇妙な手紙。そこには初めて聞く街の名前が書かれていた。内容を訝しむ香屋だが、封筒には二年前に親友が最後に残したものと同じマークが。トーマが生きている? 手がかりを求め、指定されたマンションを訪れると……。戦争。領土。能力者。死と涙と隣り合わせの青春を描く「架見崎」シリーズ、開幕。

①戦略性のある展開が面白い

招待され、おもむいた不思議な世界───架見崎では、まず能力の選定を行います。後天的に能力を取得するタイプですね。

強化(ブースト)
射撃(シュート)
検索(サーチ)
補助(サポート)
道具(アイテム)
その他(オリジナル)

何を選ぶか自由で、のちに拡張したり、追加することも可能である。どんな能力を選ぶかによって、戦い方がほぼ決定するので、架見崎におけるアイデンティティがほぼ決まります。

能力の拡大は「ポイント」によって、できることが変わります。初期値は1000であり、譲渡されるか、奪取するかで増やすことができます。ポイントが多いと、強力な能力を取得できるので、ポイントと強さがほぼ比例します。ポイントが世界観をわかりやすくしていますし、物語のキーになります。

ただ、能力を使える範囲が限定されます。自領土か、交戦中の相手領土でのみ能力を使用できます。交戦にも時間制限があります。

*

全領土を掌握すると、願い事が叶う。
死ぬと、元の世界に戻る。
緻密な設定は何かしらの伏線になっていて、最後まで読むと回収されます。バトル物ですが、ミステリ的な要素もあります。

大きな野望を達成するには、団結が必要。
大きな利益を望むには、裏切りが有効。

このような設定になっていて、プレーヤ同士、チーム同士の駆け引きが大きな意味を持ちます。面白いのは、チームによって団結の仕方が違うところです。

①チーム「平穏」:リーダーを崇める宗教的団結
②チーム「PORT」:合議体で意思決定する政治的団結
③チーム「ミケ帝国」:強さに惹かれるカリスマ的団結

これを書き分けているから、おもしろい!
相手を倒すだけではなく、戦略で切り開いていく感じが斬新です。

②能力の使い方が類をみない

戦わない能力はたまにあります。治癒とか、高速移動とか。この作品で、世界観を管理する運営と交渉する能力は初めて見ました。
オリジナルに分類される能力は、みな奇想天外な能力が多く、特に架見崎最強プレーヤーの「月生」との闘いでは、強さではなく、オリジナルを使いこなす戦略がものをいいました。

今まで、様々なバトル漫画を読んできました。

ここまで戦略がキーになるものはなかったです。主人公は運営と渡り歩く能力を選びました。これがこの作品を最高におもしろくしてます。腕っぷし的な強さではなく、知的な強さが垣間見れる作品です。

戦わない能力は1人も倒せないが、
1国と駆け引きできます。

また、能力の使い手の人間性も随所に見られます。
憧れ、恐怖、プライド、友情、、
能力のあるコマではなく、能力のある「ひと」の姿が架見崎にはあります。
強さの源がそれぞれ違って、マンガに通ずるキャラが多いです。

交戦の中で芽生えた友情が実はあって、無味乾燥ではなかったのは
救い
に思えました。

*

5巻まであり、少し長いですが、
戦略性のある物語を読みたい方
ひと味違うバトル物を読みたい方は読んでみると、ハマるかもです!!

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます



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