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食の視点で未来を予測?!『食べることの進化史』を読みました。

タイトルに惹かれました。

未来を予想する本は多数ありますが、食の観点で語られる本は出合ったことがなかったので、新鮮に感じました。
本屋でふらふらしているときに、「!」と思ったら、「読んでみる」というフットワークの軽さも大事だなって思いました。

ということで、印象に残ったポイントを紹介します。

私たちがふだん何気なく食べているごはんには、壮大な物語が眠っている。食材を生産、入手するための技術、社会が引き継いできた加工や調理の方法、文化や宗教などによる影響…。人間は太古の昔から長期間にわたって、「食べること」の試行錯誤を重ねてきた。その食の世界が今、激変してきている。分子調理、人工培養肉、完全食のソイレント、食のビッグデータ、インスタ映えする食事…。こうした技術や社会の影響を受けて、私たちと世界はどう変わっていくのだろうか。気鋭の分子調理学者が、アウストラロピテクス属の誕生からSFが現実化する未来までを見据え、人間と食の密接なかかわりあいを描きだす。(「BOOK」データベースより)

テクノロジー普及の最後の砦

世界で人口が増えており、食料難になる懸念も増えています。
そこで、新しい食べ物の研究が進められています。
例えば、昆虫食・人工培養肉です。

昆虫食は動物性たんぱく質の代わりになり、高タンパク質です。
人工培養肉は食糧不足や環境問題を解決することに役立つことが期待されています。また、培養など「細胞農業」という分野が育つことになるかもしれません。

一方、本書で指摘されているように拒絶反応を示されることもあります。

食のテクノロジーの難しいところは単に内容が優れていれば、普及するものではなく、いかに消費者に理解され、受け入れもらえるかが肝になるということです。p82

私は、すばらしいテクノロジーが普及する際に、最後の砦になるのは
「利用者の第一印象」だと思いました。

食でいえば、「安全性」は絶対ですが、見た目も受け入れるポイントでしょう。「ぱっとみてわかる」ようにテクノロジーを説明できる機会や環境がそろうとうまくいきそうだと思いました。
宇宙食の分野で、もっとたくさんの料理が研究されて、いい印象を残してほしいです。

地産地消の新しい形!「垂直農法」

未来の食料生産は、「土地」に根付いてきたこれまでの農業から「空間的な制限」をいかに捨てられるかが、ひとつの突破口になるのではないでしょうか。植物工場での野菜の生産などを縦にして、高層ビルなどの限られた敷地や室内で農業を行う「ヴァーティカルファーミング(垂直農法)」が、都市における未来型農業として提唱されています。p268~p269

野菜を工場でつくることは現在でも進められていることなので、現実性は高そうです。私なら、米をつくるフロア・野菜を作るフロアをつくって、最上階にレストランをつくりますね。笑
「足元のフロアから最高の食材が届きます。」みたいなキャッチコピーで、食材を種から育てるからストーリーのあるレストランにします。

大きなショッピングモールのように、養殖で魚を育てるビルと豚などを家畜を育てるビルを併設して、食料工場・市場・レストラン街とすることも面白そうです。

*

「新しい技術が出てきても、過去から続く文脈の上でしか、人々は受け入れられない」と感じました。
新しすぎるもの(人々のイメージを追い越すもの)は利用されず、淘汰されていく。つまり、少しずつでしか、進まない。
多くの人が使いこなせる瞬間をイメージして、作られたものが席巻していくのかなと思えました。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。

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