見出し画像

特殊な設定の青春小説!『いなくなれ群青』を読みました。

映画にもなったので、タイトルを知っている人もいるのではないでしょうか。特殊な設定の小説は好きなので、読んでみたいと思っていました。また、作者・河野裕さんの別作品「さよならの言い方は知らない」を読んでいたので、楽しみでした!

あらすじ
11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凜々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎……。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。

Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B00SWJLEAQ/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

セリフが面白くて好き

セリフが秀逸ですね。ところどころに言葉遊びがあり、淡々としがちな地の文のアクセントになってます。どのキャラクターもだいぶ大人びているセリフをいうのですが、内容が凝ってます。キャラの個性がわかるようなセリフに度々出会うので、「この作家さん、セリフがうまいなぁ」と思って読んでいます。

例えばこれ↓

~略~
「暇なのは、わりと好きです。」
「それはお前が本物の暇を知らないからだ。暇と休息の違いを知っているか?」~略~
田中さんはいった。
「それらは共に束縛のない時間だ。まっしろで、自由だ。でも人間は本質的に自由を求めているわけじゃない。不自由の中に、息継ぎみたいに自由が混じるからいいんだ。~略~休息は愛せても、暇は愛せない」

『いなくなれ、群青』p147~148

階段島に住む大人には職業が与えられています。その職業とキャラのアイデンティティが表現されているセリフです。職業感を通して個性を出すという方法があるんですね。引用した田中さんはあまり重要なキャラクターではないようですが、ここまでセリフで魅せられるのはプロの技を感じます。

言葉の選び方や言い回しにこだわりを感じます。
語彙を増やすとか、言葉使いがよくなるのは、プロの作家さんの言葉のこだわりに触れるからですよね!

設定が類を見ない

階段島は不思議な島です。魔女が登場するし、どうやってこの島に来たのかも明かされません。そして、脱出することもできません。脱出するには、「失くしたもの」を見つける必要があるようです。

なんだこれ?って感じです。

現状を受け入れてなんとなく生活する人、魔女に遭おうとする人様々です。人口2000人の小さな島に、多すぎる謎が存在ます。
本作は段階島シリーズの第1弾ですが、少しだけ秘密が明かされます。

主人公・七草が真辺に振り回されるだけでなく、特殊な設定が明かされる楽しみがあります。青春とミステリの要素が詰まっていて、読んでいて飽きない作品でした。第6弾までシリーズは続くので、また読んだら感想をアップします!

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。



この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?