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ユーロが導入されたクロアチアを肌で感じる

ジョージアから始まったこの旅も、トルコ、ブルガリア、ギリシャ、北マケドニア、コソボ、モンテネグロといろんな国を巡ってきました。

2週間半後イスタンブールから乗るフライトチケットを取っているため、そろそろ時期的にも、位置的にも折り返しとなります。モンテネグロはのんびりした首都のポドゴリツァ、そしてまさかの絶景に巡り会えた景勝地・コトルの2ヶ所を訪れました。

そして昨日の朝、コトルを出発し僕はバスで西に向かい、ついにアドリア海までたどり着きました。テッサロニキで感動的な夕日を見て以来となる海です。

そしてアドリア海を横目に向かったのは、ドブロブニクです。

「アドリア海の真珠」という有名すぎる異名を持つこの都市はクロアチアの南端の飛び地に位置しています。

そんな変わった場所にはあるものの、ここはれっきとしたクロアチア

ドブロブニクの感想は明日の投稿に回すとして、今回はクロアチアという国にバスで入国したこと、そして実際にクロアチアのユーロ導入について感じたことについて書いてみます。

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今回、コトルからドブロブニクまで行くのに、事前にオンラインでチケットを購入していました。

【旅程】
3月4日(土) 08:30 コトル発
3月4日(土) 10:45 ドブロブニク着

【費用】
EUR 21.80 (3138円)

【バス会社】
BOŽUR/Čazmatrans Promet

コトルが位置しているコトル湾はかなり稀有な形をしており、アドリア海から遥かに内陸に食い込んだところまで海が侵食しています。

文献によってフィヨルドだとか、違うとかありますが、とにかくこの地形が特殊なことが地図を見て読み取れます。

コトルを出発したバスは、このコトル湾沿いの道路をしばらく通ってからクロアチアに向かいます。

ドブロブニクに向かうバス

すでに慣れきっている陸路での国境越えに関しては、モンテネグロの出国もクロアチアの入国も、深く何かを確認されることもなくスムーズに通過できました。

バスの他の乗客も同様で、みんな特に問題なくクロアチアに入国できました。

EU様式のスタンプ

バルカン半島はどの国も出入国がスムーズでとてもストレスフリーです。いずれはモンテネグロや北マケドニアといった国々もEUに入るのでしょう。

パスポートこそ確認されるものの、すでに出入国のプロセスはEUに近いものがあるように感じました。

入国したクロアチアは、正真正銘のEUです。

ギリシャ以来となるEUに、どこか再びヨーロッパに来たという気持ちが強まる感覚があります。

クロアチアに入国してからは、至る所に赤い屋根の家があり、逆にどれが本物のドブロブニクなんだろう?と思ってしまいました。

実際は2時間半のバス旅となり、11時過ぎにドブロブニクに到着しました。

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クロアチアは英語表記でCroatiaと書きますが、これは英語だけの話。

クロアチア語では、Hrvatska(フルヴァツカ)と言います。

Republika Hrvatska(フルヴァツカ共和国)を省略した「HR」が略称となっています。車のナンバーなど街の看板など、クロアチアを指す際に頻繁に使われています。

これは同じヨーロッパのスイスの例に似ていると感じました。

スイスは、英語でSwitzerlandと言いますが、国内ではラテン語のHelvetia(ヘルヴェティア、あの有名フォントの由来になっている)が使われ、Confoederatio Helvetica(ヘルヴェティカ連邦)を省略した「CH」を略称としています。

パッと見て「HR」では何を指しているのか分からなかったため、改めて事前の調査が大切なことを知りました。

ただ、スイスの例を知っていたので、すんなり順応できた自分もいます。

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そんなクロアチアといえば、今年のお正月にこのニュースを見た方も多いと思います。

2013年にEUに加入していましたが、通貨は独自の「クーナ」を使用していました。しかし、今年の1月1日にクーナからユーロへの完全移行となりました。

自分が普段使っている通貨がある日を境に全く違うものになるなんて。

他のユーロ導入国も同様のことを経験して今に至りますが、日本ではなかなか考えづらいことだと思います。

僕は1年間海外生活をしていますが、やはり頭の中では日本円基準で考えることが多く、何の通貨を使っていようが、日本円が自分にとっての軸になっています。

クロアチアは自国通貨を廃止して、ユーロになる。しかも1ユーロ=7.5345クーナという計算しづらい微妙なレートで。

実際に街はどうなっているか、ドブロブニクを歩いて確かめてみることにしました。

ドブロブニクを観光した人たちのブログなどを見ている限り、観光地ゆえユーロを使えるお店も以前からちらほらあったものの、基本はクーナだったそうです。

今回、ドブロブニクの旧市街を歩いて思ったのは、ATMがやたらと多いこと。少し歩いたらすぐにATMがある。

クーナを持っていない観光客の購入機会を損なわないようにするためでしょう。

街中に山ほどあるATM

しかし、よく見ると使えなかったり、そもそも電源がついていない機械もいくつかありました。

クロアチアのユーロ導入によって打撃を受けるのは金融機関です。特に、街中の換金所は8割が閉鎖されると見立てられていたそうです。

西欧からの観光客が多いドブロブニクは、ユーロを使えるようになって換金の必要がなくなり、換金にかかる手数料等も気にしなくてよくなりました。

実際、街中には閉鎖された換金所もいくつか見られました。

システムが変わると、恩恵を受ける人も損害を被る人もいる。これが世の中の流れだと強く感じました。

閉鎖された換金所

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スーパーや飲食店に行くと、現在もユーロだけでなくクーナの価格も併記されています。

そのため情報量が多くなっていますが、それも今だけの措置でしょう。

クーナも併記されたスーパーでの価格表示

ユーロ導入というタイミングでクロアチアを訪問できたことに喜びがあると同時に、世界のニュースも自分ごととして捉える必要があるな、と思いました。

便利になっていく世の中は喜ばしいことですが、ひとつアイデンティティが喪失するような感覚もあります。

徐々に消えゆくクーナの遺産。

クロアチアでふとそんな儚さを感じてしまいました。

アドリア海の真珠・ドブロブニクでの観光の様子や感じたことなどについては、明日の投稿にてご紹介します。




旅の様子はこちらにまとめています。

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それでは、また明日お会いしましょう!

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