いっぱい努力してスキルを身につけたひとが勝つとは限らない、という人生哲学をヤマメとサクラマスは教えてくれる
ぼくは、大学で心理学を専攻している。
今学期は、履修している授業のひとつに「比較心理学」があるのだけど、そこで観たビデオが、人生哲学的な観点から、すこぶる興味深かった。
観たビデオは、こちら↓
ちなみに、『ヤマメ』と『サクラマス』の違いは、みなさんわかるだろうか。
ぼくもこの番組ではじめて知ったのだけど、実は生物学的には、全く同じカテゴリらしい。
では、いったいなにが違うのか。
それは、生まれた川で一生を過ごすものは『ヤマメ』と呼び、川から海に出て大きくなり、再び川に戻ってくるものを『サクラマス』を呼ぶそう。
じゃあ次に、海に出るのか出ないのかの違いは、「稚魚時代に摂取した食べ物の量」。
そしてここは個人的に意外なところだったのだけど、海に出るのは、稚魚時代の食料争奪戦に敗れて、小さいサイズのまま月日を重ねてしまったほうなのだ。
いわゆる負け組。
つまり、海に「出られる」のではなく、彼ら彼女らは海に「出ざるを得ない」のだ。川に流れている食べ物は、稚魚時代にいっぱい食べて大きな体躯のものに占領されてしまうから。
ただ、数ヶ月後、事情はガラッと変わる。
海での生存競争に勝ち残って、生まれた川に帰ってきたサクラマスは、川にずっととどまっていたヤマメと比にならないくらい、大きくなっている。
つまり、負け組として海に放り出されたサクラマスは、数カ月後、ヤマメなんか相手にならないくらいたくましくなって、帰還するのだ。
つまり、人生の勝者はサクラマスか!?
なんか、すごくドラマチックでいいな。
最初は才能や運に恵まれず、様々な困難に遭遇するが、それを乗り越えてしばらくの時を経たときには、過去の宿敵に勝つ。
なんて美しいストーリーなんだ!!!!!
.........なんてうまくおさまらないのが、自然界のリアル。
この話には、まだ続きがある。
たくましくなってサクラマスが故郷に帰ってきた理由はそう、産卵のため。
その大きな体でメスに近づいて、自分の子孫を残すのだ。
ただ、ここから一筋縄ではいかない。
サクラマスがメスの体を震わせて、なんとか卵子を排出してもらうように働きかける。
そして、出てきた卵子に自分の精子をかけるというものだ。
ところがこのとき、サクラマスの周囲には、何匹もの小さなヤマメが張り付いてる。
棚ぼた子孫を狙っているのだ。
ビデオでは、サクラマスがやっとのおもいでメスに卵子を輩出させた瞬間、近くにいたヤマメがさっとその卵子へ自分の精子をかけることに成功する。
つまり、ここで人生の逆転に次ぐ逆転劇が起きてしまったのだ!!!!!!
苦難を乗り越えたサクラマスが勝ち組へと転じるサクセスストーリーかと思いきや、最後は川でぬくぬく?と過ごしたヤマメが子孫を残すことに成功するリアル。
人生哲学的な観点から、ものすごく考えさせられた。
あと、こうやってきれいなストーリーでまとめない自然のリアルっぷりが最高だなとも思った。
★生物学や歴史は、普遍性が高い。。
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