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人の意思決定プロセスは、2種類ある

「注意を払う」とよく言うが、これはまさに当を得た表現である。
というのも、注意は限度額の決まった予算のようなものだからだ。
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?より)


『ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?』という、心理学分野の本を読みました。

全448ページ。長かったぜ...!(そしてまだ(下)がある!)


とりあえず、下を読み始める前に復習も兼ねて、上の全21章をひとつずつ振り返っていきたいと思います。

ということで、きょうは第1章!


第1章 登場するキャラクター
システム1(速い思考)とシステム2(遅い思考)

第1章では、まず本書を読み進めるにあたって、最も基盤となる概念の解説がなされます。

それが、第1章のサブタイトルにもなっている『システム1(速い思考)』『システム2(遅い思考)』


一言で言うと、人間が意思決定をする際の思考プロセスには、システム1とシステム2の2種類あるという説を提唱しています。

もう少し細かう言うと、システム1は『自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない』

一方で、システム2は『複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけられることが多い』という分け方です。


この2種類の思考プロセスを聞くと、メインで活動しているのは『システム2(遅い思考)』のほうだと、考える方もいるかもしれません。

なんてたって、人間には『意識』や『自我』のようなものがあります。


しかし実は、ぼくたちの普段の生活でメインとして活動しているのは、『システム1(速い思考)』だというのが、本著の主張の根幹にはあります。

ぼくたちは、自分たちの気づかないところで、とても多くの無意識的な判断をしているのです。


その理由のひとつは、システム2は『注意力を要する』からです。

脳の注意力は有限なので、不必要には使いたくありません。

だから、基本的には脳の注意力をほとんど削らない、システム1でものごとの判断を行います。

ただ、システム1は注意力を用いない分、まあまあ正確な判断をしますが、ときにはめっちゃ的外れな判断をしてしまいます。

そして逆に、『ここは貴重な注意力を使ってでも見極めるべき状況だ!』と脳が判断すれば、思考をシステム2に切り替えて、その複雑な状況に対応しようとするのです。


ただ、ひとつだけ気をつけなければいけないのは、これはあくまでもメタファーであって、実際に明確に脳のなかにシステム1やシステム2といったものが物理的に存在するわけではありません。

しかし、本書の著者であるダニエル・カーネマンは、脳の思考プロセスを分かりやすく解説するために、そういった比喩を用いています。


これから続く第2章以降では、きょうの『意思決定に際しての思考プロセスには、システム1と2の2種類存在する』ということと、『人は基本的にはシステム1をメインに意思決定していて、大事なときだけシステム2の比重を大きくする』ということを前提にして、人の意思決定に関するいろんな解説が行われます。

ぜひお楽しみに!



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