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FXをはじめてみた

僕は自他共に認める怠け者だ。
働きたくない。意に沿わぬやりたくないことを我慢して続けるのが難しい。
言いたいことを言えずに押し黙ることも、気持ちを押し殺して望まぬ選択をすることも、それが美徳だという価値観がないのだと思う。

ああ、働かずに飯が食いたい。

***

父は公務員だった。
家で仕事の愚痴は一切こぼさず毎日仕事をしていた。夜遅くに帰ってきては少し晩酌をして、夜更かしもせずに早く寝て朝早く起きてはまた仕事に出ていた。

親の心子知らずというが、子供の頃は気づかなかったが大人になって自分で仕事をして得た給料で生活をするようになると、働くことの大変さが身に染みて父が家族の分まで働いて一家を養ってきたことに頭が下がる。
そして、立派にはなれなかったがここまで大きく育ててくれたことに感謝している。

そんな父の口から仕事の話は聞いたことがない。
普段どんな業務をしているのか、今日はどんなことをしたのか、交友関係は、職場環境は、そもそもどこで働いているのか、そんな会話をほとんどした記憶がない。
いつも疲れた顔をして夜遅くに帰ってきてはテレビを見ながら晩酌する姿を見て、これが父の1日の楽しみなのかと思った。

なんだか子供心に、父は自分達家族のために働いているのだと思った。
仕事とは楽しくないもので、嫌でも嫌だと言わずに黙々とこなす、お金を得るための手段なのだと薄々感じていた。

「俺は勉強やりたくないから高校行かないし、大人になったらずっとゲームしてたい!」
義務教育は中学生までだと知り、そんなことを友達に言っていたのを憶えてる。
あ、小学校低学年くらいまでね。

話が逸れるが、小学生の頃は高校生からはもう実質大人だと思っていた。それはきっと名探偵コナンの影響だと思う。
高校生探偵という謎の(?)存在である新一や服部が活躍し、小五郎のおっちゃんより断然カッコいいし頭もいいもんだから、高校生こそ人間の全盛期であり、30も過ぎれば多くの人は衰えて無能なおっさんにしかならないのだと思っていた。
幼い頃は早く大人になりたかった。
その大人というのは名探偵コナン世界の高校生のような若くて賢くてスポーツもできてカッコいい、本当はまだまだ子供で親の庇護のもとに高校に通っている17歳くらいのただの少年のことを指していた。

***

それから少し経ち、テレビで格闘技を見た。
1997年の暮れに行われたK-1グランプリ97。僕は小学3年生だった。
ちなみにこの年の優勝者はアーネスト・ホースト。のちのフォータイムチャンピオンの初優勝の年である。
準々決勝、準決勝と判定で勝ち上がり決勝進出を決めたホーストよりも、唯一の日本人出場者である佐竹を秒殺KOして決勝まで駒を進めたアンディ・フグの方が絶対強いと思って決勝を見ていたのを憶えてる。
格闘技を知れば知るほど判定勝ちでも楽しめるし技術や奥深さを理解するようにはなるが、やはり素人が格闘技にハマる原体験としてKOを狙うのはプロ格闘技の本質だと思う。

判定? ダメだよ、KOじゃなきゃ!
by五味隆典

選手のプロフィールにある身長体重は、今まで出会ったこともないサイズだった。
父や学校の先生の中でも身長180を超える人はいなかったのに、テレビの中のムキムキでギラギラした外国人達は190センチ以上あると書いてあるではないか。体重も、30キロかそこらの僕より遥かに重くて大きくて少しお腹の出てる父が75キロくらいなのに、それを優に超える奇跡の3桁の大台、100キロに到達していた。

化け物じゃん……

いつ見ても大きな背中の、僕が何度腕相撲で勝負してもビクともしなかった力強い父に聞いてみた。
「ねえ、お父とこの人戦ったらどっちが強い!?」
平気で人を傷つけるかもしれない、子供の無邪気な質問に父は素直に答えた。

「一発でやられちゃうよ」

お父でも……!?

それで僕は、格闘技にのめり込んだ。
なんだか潜在意識の中に、日本人は弱いんだと擦り込まれた。佐竹選手が秒殺されたせいで(笑)
のちにその意識は、武蔵選手によって強固なものとなっていく(笑)
※今、自身も格闘技をやる身となっては、ヘビー級の世界で外国人選手達とグランプリでたった一人の日本代表として戦い抜いてきたことを尊敬してます。

武道の精神を説く空手教室の師範よりも、あの嫌味っぽくて感じ悪い横暴な先生よりも、礼儀正しくて規則に従順な大人達よりも、圧倒的に強くて快活で感じ良くてルールに縛られず自由に振る舞う底抜けに優しい笑顔の、自分の最初のアイドルであるアンディ・フグやヘビー級の外国人選手達に憧れた。
そんな欧米かぶれした影響で、いわゆる日本人的な勤勉、従順といった気質に対して美徳や正しさを感じなくなっていったんだと思う。

嫌なことを我慢する生き方より、俺は好きなことを精一杯やってカッコいいヒーローになって生きていきたい。

僕の生き方が、この時決まった気がする。

***

幼い頃の原体験が育んだ、好きなことをして生きていくという気持ちは今も変わらない。
それからというもの、社会に出て何度も跳ね返され辛酸を舐め続けて、好きなことでも芽が出ず今の時期だけだと言い聞かせてこなしてきた仕事さえクビになり、父の凄さと優しさを痛感してもなお、やっぱり僕は好きなことで生きていきたい。
むしろ望まぬ仕事をこなす嫌さが年々増していき、その意思はより強くなっている。

やりたくないこと、意に反すること、主義主張を持てないことに、貴重な人生の時間を浪費したくない。
アルバイトを始めたばっかの10代の頃に嫌になって辞めた時も、「辛いことからすぐ逃げ出してたんじゃ、人生前に進めないんだよ」と嫌味っぽい目つきの嫌らしい、まあつまり嫌いな上司に、説教めいたことを言われて「前に進んだ結果がてめえみたいな人生なら、そんなの望んでねえんだよ」と心の中で言った。
……あくまで心の中でね。

まああれは今思うといっつも人手が足りなくて困ってたから、辞められたら困ると思って諭そうとしたんだろうな。
僕は恨みっぽい人間だから嫌なことはよく憶えてる。
彼にもいつかこう言ってやりたい。
お前が見下して偉そうに人生語った相手は、お前と違うやり方でお前なんかより遥かに活躍して成功して人生楽しんでるけどな!

……早く言いたい。切実に早く言いたい。

***

とまあ前置きが長くなりましたが、言いたいことを言って仕事をクビになってから新しい仕事を探す気力が湧かないので、以前から興味があった投資に挑戦してみようと思います。
たしか4年前にはすでにFXの本を買って読んでいたりしたけれど、何かしら仕事をしながらボクシングジムに通ってっていう生活だと疲れてるし時間ないし一応生活できてるしってことで興味はあったけど結局やらなかったんですよね。言い訳ですけども(笑)

前職を辞めてからの2ヶ月、いくつか仕事を探してとんでもない経験もしたのですが(それもいつか書きたいと思ってますが)、学歴も職歴もなくていい歳の僕が今さら普通の職ってのもなぁと思ったり、そもそもやりたくないなぁと思ったり、運動経験を活かすのもスポーツ界に多い体育会系や縦社会の雰囲気が大嫌いだし気が乗らないなぁとか、まあつまり僕はダメ人間なので、人に会わずに済んで、家に閉じこもって出来て、数字に強くて計算が昔から得意だし、資金が尽きるまでの間はFXにチャレンジして生活してみようと考えています。

専業トレーダーとして生活を確保できれば自分が心からやりたい表現や創作活動をする上でも大変楽になるし、仮に投資一本で生活まではキツくても今の時期に覚えることで、仕事をまた始めても投資を続けて生活の足しにできるかと考えてます。
経済の勉強にもなりますしね。

だからやるぞ俺は!

***

8月27日。
口座開設。運用資金は30万円。
これをもし全部溶かしてしまうと、慌てて仕事を始めないと生活が厳しい。かなり厳しい。

命懸けである。必死である。
デモアプリは1ヶ月くらいやった。概ね勝っていた。毎週数万円くらい。
俺ならイケる……

そうして始めたFX。
初日は10590円の収益を得た。

よし、イケるぞ……!

とまあ、こんな調子でFXをやっています。
収支報告まで細かく書いていこうかなとも思ったのですが、なんとでも言えるし情報商材売りつけ屋とか詐欺師まがいの連中と一緒に見られたくはないのでやめときます。

でも一応結果報告だけ!
今日まで11日間取引をしてですね、今のところ11万8869円勝ってますわよ!(笑)

ビギナーズラックもよく聞きますし、一昨日は1万円近く負けましたし、甘い世界ではないので慎重に気を引き締めてやっていこうと思ってます。

FXにハマっていてnoteの更新が滞ってしまってました。
自分の本懐はボクシングをはじめ、書くことや表現することなので、そちらもまたやりたいと思います。

ここまで読んでくれた方がいらっしゃれば感謝。

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