冬の旅、を読んだ。
角幡唯介さんの極夜行前の後に読みたくなり手にしたのはこちら。
あらすじはこのような感じだ。
今回が2回目となるが、前回読後に自分が何を感じていたのか確認をしてみる。
なるほど、自分は著者が選択したアプローチ(手段)に反応していた。これは本多勝一が提唱し、角幡唯介さんが本多氏から被爆したというパイオニアワークの理論に著しく影響を受けてのことだろう。
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今回自分が感じたのは、舞台となったザンスカールという寒冷地と、移動行程となった凍結した川、すなわち氷の存在だった。この二つの要素は人間の営為をより崇高かつ神秘的なものに昇華させるのではないだろうか。
極度の低温は当然のことながら生命の危険をもたらし、日常生活で死を意識する頻度は都市に比べて格段に高い。そして極地で暮らす人々の生活は自ずと簡素化され精神も物質もよりプリミティヴなものとなってゆく。
氷は物質の活動を停止させることで、時空の停止性をもたらす。停止することはすなわち生命の駆動と対局に位置することから、通常は実現できない永遠性を投影することができるのではないだろうか。
これら二つの要素が相まることで人智を超越した何かの存在を想像/創造させるのかもしれない。
なかなか面白そうなテーマなので、もう少し時間をかけて考察してきたい。
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