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人間の土地へ、を読んだ。

特に意識はしていないが、再びノンフィクション熱がたかまっている。

世界で数えるほどしか存在しない女性のK2登頂生還者。生還者と書いたのは、K2がその頂きを踏むだけでなく「生きて帰る」ことが非常に難しい山だからだ。4人に1人は生きて帰れない。服部文祥氏もK2登頂生還者である。

そんな彼女の目線が、ヒマラヤの山嶺からシリアの砂漠に移ることから本編は始まる。ラクダの遊牧を生活の糧とする大家族との出会い、イスラムの文化慣習、理解に苦しむ独特の価値観、そして理不尽な内戦などなど。

狭い島国日本、しかもリモートワークで外部との接触が極限まで削ぎ落とされてしまった今、遠く離れたアラブの国々の出来事、ものの考え方をリアルに伝えてくれる本著のような存在は実に貴重である。

2019日本冒険フォーラムのパネリストで登壇されていた小松さん、我らの角幡唯介さんも絶賛していた傑作ノンフィクションである。文字も大きめで読みやすく老眼諸氏に大推薦の1冊。

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