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物欲なき世界、を読んだ。

資本主義の原動力は欲望と消費。この二つが著しく低減しつつある今、資本主義という経済構造が終焉を迎える日がくるのか。明らかな物質的飽和を経て、何かしらの気づきを得た人々が向かう先にあるものはなにか。

Instagramで投稿した過去の書評を貼り付けておきたい。

1回目の感想

なんとなく自分が見ようとしていた景色のぼんやりとした輪郭が、本著で少しクリアになった気がする。人々の興味関心が物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさに回帰しているのは言わずもがな。モノより想い出と謳われたあのコピーは、確かに先見的だったのだろう。

エモーショナルな考察だけではなく経済原理からも、今とこれからを読み解いており非常に勉強になった。経済学者の水野和夫氏の評価が印象的なので紹介したい。

「難しい転換期において日本は新しいシステムを生み出すポテンシャルという点で、世界のなかでもっとも有意な立場になると私は考えています。その理由は逆説的に聞こえるかもしれませんが、先進国のなかでもっとも早く資本主義の限界に突き当たっているのが日本だからです」*本文より抜粋

「見えないものが見えることが人間の成熟であり、見えない価値を評価するようになることが、経済の成熟だ」*本文より抜粋

尾原和啓さんがモチベーション革命で「乾かない世代」と評していたのを即座に思い出した。平成生まれの彼らは高い生活水準のなかで、不足を感じることがない。だから、そもそも頑張る動機を持たない(持てない)という。

2回目の感想

今年は精力的に再読を実行し、思考と知恵に深みをもたせていきたい。

今向き合っている様々な課題やテーマに即しており非常に興味深く拝読する。2015年発行なので情報鮮度が気になりそうだが、非常に普遍的な考察が中心となり、今後も読み込んでいきたい名著。

ライフスタイルとは何か。モノ消費の縮小、お金(収入)と幸福度の関係、そして資本主義の未来について。さしたる不自由も見当たらない今の世の中において、上昇志向など時代遅れなのかもしれない。製造小売に従事する方々には必読の1冊。

3回目の感想

消費とはなにか、欲求とはなにか、そして幸福とは何か。極めてロジカルに迫る傑作。

今回のハイライトは、「昔は情報が少なかったから物理的な消費に盲目に走れた。今は情報が圧倒的に増えたから、関係性の中でしかモノの価値を認識できなくなっていて、物欲の質が変わった。自分がエンゲージメント(関与)したものしか欲しくない、みたいなことはある」その通り!

もっと稼ぎたい!もっと高価なモノを、もっと買いたい!これはもう時代遅れなのかもしれない?

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4回目の再読、今回も気づきが多く脳味噌に適切な肥料を蒔くことができた。


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