望月賢一

DE&I、チェンジマネジメントなど、これまでの職務を通じた経験に学術領域の知見を加えた…

望月賢一

DE&I、チェンジマネジメントなど、これまでの職務を通じた経験に学術領域の知見を加えた実践知を追求しています。様々な方々から頂いたインスピレーションを元に、日々感じ考えていることを徒然に書き残しています。 社会構想大学院大学 コミュニケーションデザイン研究科(在学中)

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多様性な自分に気づくとき

 社会の仕組みは、マジョリティという社会全体に宿っている認知バイアスを前提にして構成されているのではないか、最近考えています。  そして、そのマジョリティの属性を意識して、そこに自分を重ねて暮らしていると、世の中の不便さや自分にとっての不都合さを意識せずに暮らしていける。さらに、自分がマジョリティ側に属しているという自己認知を持っている場合、そうした社会の仕組みを是として受け入れ(しかも割と無条件に…かもしれません)、自分自身の価値観や行動を適応させていこうとする、いや適応さ

    • 『多様性の科学』からの学び

      先週末に『多様性の科学』(マシュー・サイド著)を読みました。 事例豊富で大変読みやすい本でした。いくつか気付きを得たので、この本を読み進めながら取ったメモを振り返りながら、備忘録的に気付きを整理しておきたいと思います。 ☆★☆ マシュー・サイド著『多様性の科学』を読んで ■「反逆者のアイデア」が集団の創造力を高める 大事なことは異なる見方をしている、建設的な批判があってこそ、集団は創造力を発揮するのだ。 ■個人の力よりも集団のつながりから生まれる「集合知」が重要

      • 【図解版】               人的資本経営をB/S視点で考える

         先週「人的資本経営をB/S視点で考えてみる」を投稿しました。 まだ抜け漏れしている要素があって完全版とは言い難いですが、『人材版伊藤レポート2.0』で取り上げられている3P5Fがどこでどのように作用してくるのか、週末に図示化してみようと描いてみました。  人的資本が自己資本として会社に参画してくれるためにエンゲージメント向上への取組みは欠かせません。  さらに、その人的資本が人的資産として事業活動に連結する(有効化する)ために様々な人事施策を実施する必要があります。それら

        • 人的資本経営をB/S視点で考えてみる

          人材を資源としてでなく、資本として捉えようとする人的資本経営。 資本と考えるならば、それは貸借対照表でも説明できるはずだと思って考えてみました。 以前にも投稿したように、人的資本は会社が所有しているものではなく、ヒトが所有しているものと考えます。 会社は必要とする資本(人的資本)をヒトから出資してもらうことで、その資本を活用できるようになる。これが「雇用」という関係になる。 さて、この「人材(ヒト)」はただ雇用契約しただけで、自動的に自己資本になるわけではありません。契約

        多様性な自分に気づくとき

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        • 組織を考える
          2本

        記事

          学習コンテンツのSoRとSoE

           以前から、HRソリューションにはSoRとSoEの2つの種類(目的)があるとこちらでも発信してきました。SoRはSystem of Recordの略で、シンプルに言ってしまうと「管理のためのシステム」で、SoEはSystem of Engagementの略でこちらは「支援するためのシステム」と私はいつも説明しています。学びを社員の成長と貢献の機会につなげていくならば、そもそもの学習コンテンツにはSoRとSoEという性質の違いがあること、そしてそのデリバリーの方法も異なるという

          学習コンテンツのSoRとSoE

          仕事の意義が語られるから、組織は魅力的になっていく

           興味深い論文が紹介されていました。論文を紹介してくださったのは紀藤 康行さん(カレッジ)です。これを読んで考えたことを、自分自身が忘れないために、記しておきたいと思います。  採用面接では「長年力を入れてきたこと」を応募者に自身のエピソードとして話してもらうのは定番の質問かなと思いますが、なぜ定番なのか、それをこの論文が説明してくれたと思いました。  堅実に粘り強く取り組む力、継続的に取り組み続ける力。それが「仕事の成果」につながっていくということを直感的に私たちは理解し

          仕事の意義が語られるから、組織は魅力的になっていく

          「正解主義問題」と「チームが機能する」

           為末さんのこちらの記事を読んで、「チームが機能する」※という視点からも考えてみました。 ※「チームが機能するとはどういうことか」エイミー・C・エドモンドソン著(2014)  組織の文化やチームメンバーの行動が正解主義に陥るとどのようなネガティブインパクトが生じてくるでしょうか。例えば、 ・とにかく答探しから始まる(Howにフォーカスが強まる) ・正解がないと前に進めない、動けない(指示待ちになる) ・何が正解か、で議論が白熱してしまって意見の衝突を活かせない というような

          「正解主義問題」と「チームが機能する」

          対話とリフレーミングについて理解する

           大学院の授業で、「チームが機能するとはどういうことか」(エイミー・C・エドモンドソン著)を読みました。  エドモンドソンは、この著書の第3章で「フレーミングの力」を取り上げています。その中で「リーダーは、状況をフレーミングあるいはリフレーミングすることで、その状況に対する人々の対応の仕方やかかわり方に強力な影響をもたらせる」と述べています。そして、第3章のまとめでもあるLessons & Actionsの冒頭で ■フレームとは解釈であり、これを使って人は環境を感じて理解す

          対話とリフレーミングについて理解する

          学び方改革と学ばせ方改革の違いとは?LMSの導入における留意点

          LMS導入の目的は、学ばせ方改革、それとも、学び方改革? LMS(ラーニングマネジメントシステム)を導入するとき、その狙いは2つの方向があると理解しています。 一つは、学びの教材(コンテンツ)をデリバリーする業務プロセスを効率化するために新たにシステムを導入すること。もう一つは、学び方を変えるために新しいソリューションを導入すること。 この両者の違いを区別するために、前者はシステム、後者はソリューションと言葉を使い分けたいと思います。 前者は学習コンテンツを用意して受講さ

          学び方改革と学ばせ方改革の違いとは?LMSの導入における留意点

          進化を生む社会関係資本が発達する組織

          『マーケットを自国外に拡大、「ゲームチェンジャーの視点」を学ぶ 「HR Technology Conference & Exhibition 2023」現地リポート(後編)』 こちらの記事は河野 英太郎さん(アイデミーExecutive Advisor、グロービス経営大学院客員准教授、Eight Arrows代表取締役)が今年10月に米国ラスベガスで開催された「HR Technology Conference & Exhibition 2023」に参加されて書かれたもので、H

          進化を生む社会関係資本が発達する組織

          「創造する」大人の学びモデル

           これは、リクルートワークス研究所が2018年9月に発行したレポートのタイトルです。このレポートのあとも、同研究所からは学びに関して興味深い調査研究レポートが続いていますが、約5年前に発行されたこちらのレポートを改めて読んでみて、果たして企業のラーニングシステム、いや学習と成長の支援の施策は、このレポートが2018年に示唆したポイントをどれだけ実現しているでしょうか。 https://www.works-i.com/research/works-report/item/lea

          「創造する」大人の学びモデル

          チェンジ・マネジメントは普及してますか?

          自然体で変革や変化をうまくリードできる人々も世の中には数多くいらっしゃる。そして、組織をうまくリードできるリーダーは、大抵チェンジ・マネジメントとか学ばずともそれが当たり前のように出来てしまう。だからこそ、VUCAの時代のリーダーになっているんだと思うのです。 ただ、それでも変革はリーダーの力だけでは進まないのも事実ではないでしょうか。少なくともチーム、組織、会社全体が「変革とはどのように進むものなのか?」を知っているかいないかで、変革のプロセスの進行スピードとその過程で生

          チェンジ・マネジメントは普及してますか?

          適材適所と適所適材

          適材適所は社員から見たときの言い方、組織から見たときの言い方は適所適材。 言い方はそれぞれですが、それを実現する軸は専門知識、スキル、スタンス、価値観などのフィッティング。 そして、適材適所と適所適材を結びつけるデジタル・ソリューションこそがマーケットプレイス。 適材適所と適所適材を実現するためにはマーケットプレイスのソリューションを会社だけが利用するためではなく、社員にも開放することが必要です。 もちろん、個人情報保護や情報セキュリティ規則を遵守することは必須だし、自身の情

          適材適所と適所適材

          人的資源経営と人的資産経営に人的資本経営

          『人的資源経営、人的資産経営、人的資本経営』 この3つの間の関係や相違点について、皆さんはどのようにお考えでしょうか? 人的資源経営は「ヒト」を資源としてみている、P/L上の費用として把握している考え方。なので、フローで調達して使い切ってしまったら、もう在庫はありません。再び調達しなければならなくなります。 人手が余っている状況ならいざ知らず、少子高齢化が進む日本においては、使い切っておしまいとするような人材マネジメントは最早通用しない時代であることは明らかでしょう。 次

          人的資源経営と人的資産経営に人的資本経営

          チェンジマネジメントのナレッジがマネジャーの役割を強化する

           事業環境が変化すれば、それに適応すべく企業も変化していきます。この変化のプロセスには様々な乗り越えなければならない壁が待ち受けています。  ところで、組織文化には、大きく外的適応の機能と内的統合の機能の2つがあると言われています(Schein, 1985)。企業が事業環境の変化に適応するとき、その適応プロセスに組織文化もスコープに入れる、いや、含めなければならない理由は組織文化が持つこの2つの機能があるからなのだと思います。  組織が成功を重ねていくことはありたい姿でしょう

          チェンジマネジメントのナレッジがマネジャーの役割を強化する

          「人的資本経営」とは「人に投資される企業になる」ということ

          「人的資本経営」の文脈で、これからは人材をコスト(資源)としてではなく、投資対象としてとらえて「人に投資する」ことが大事だと言われます。 自分はこの表現にとこか違和感を感じていました。 それが大学院の授業で、「資本とは何か」を改めて学び、考えるうちにこの自分の違和感がどこから来ているものなのか、少し見えてきました。 いまさらのように「人に投資する」と言われますが、「人への投資」なんてずっと以前から企業は取り組んできたことだと思うのです。 例えば、それが一律的な教育プログラム

          「人的資本経営」とは「人に投資される企業になる」ということ