望月賢一

DE&I、チェンジマネジメントなど、これまでの職務を通じた経験に学術領域の知見を加えた…

望月賢一

DE&I、チェンジマネジメントなど、これまでの職務を通じた経験に学術領域の知見を加えた実践知を追求しています。様々な方々から頂いたインスピレーションを元に、日々感じ考えていることを徒然に書き残しています。 社会構想大学院大学 コミュニケーションデザイン研究科(在学中)

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最近の記事

人材データの民主化とは

先日投稿した「オープンバッジの可能性を考えてみた」の記事を、LinkedInにも投稿した際、LinkedIn側で書き足した所を転載します。 会社はその業務オペレーション(もっとも分かりやすいのは勤務管理や給与計算業務)のために社員から様々なデータを回収し、会社の人事システムに蓄積し管理しています。 そうして長年蓄積してきたデータのうち、組織人事情報管理、給与計算、勤務管理などの情報はひとつのシステムの中で体系的に管理されている一方、学習履歴、職務経験に関する履歴、さらには職

    • オープンバッジの可能性を考えてみた

      先週8月8日(木)、一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク(※)主催のセミナー、「大学におけるオープンバッジ活用セミナー 〜成城大学〜」を聴講しました。 ※https://www.openbadge.or.jp/index.html セミナー冒頭で、オープンバッジ・ネットワークの現在の会員数の紹介がありました。学校が116、企業が107でその他もあわせて300超になっているそうです。また、 財団はOpen Badges v2.0でサービスを提供しているとのことです。

      • 「冷静と情熱のあいだ」ならぬ「外発と内発の間」

         前回書いた「中動態のモチベーション」の中で、外発的動機付けからモチベーションが始まることがあってもいいのではないかということや、外発的動機付けから内発的動機が生まれてくることもあると書きました。外発的動機付けと内発的動機の間はグラデーションなんだろうと思っています。  そのあと、noteでも記事を探していたら、2022年3月に書かれたこちらの記事を見つけました。 この投稿の中で、外発的動機付けと内発的動機はどちらか一方ということではなくてグラデーションであるということが語

        • 中動態のモチベーション

          昨年の大学院の授業で『中動態』という考え方を知りました。 能動態でもなく受動態でもなく、何かに突き動かされて動き出す時が私たちにはあると思います。そんな状態が中動態なのかなと今は理解しています。 こちらの記事を読んだとき、中動態の概念を思い出しまた。 中動態についてはしっかり文献、書籍を読み、消化したわけではないので、突っ込みをたくさんもらいそうですが、それでもここで書かせていただくのは、私たちの日常は案外「何かに突き動かされたとき」に、まるで自分の意志がそこで生まれたかの

        人材データの民主化とは

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        • 組織を考える
          3本

        記事

          人的資本・人的資産・人的資源

           人的〇〇。  似たような表現でなかなか違いを説明するのが難しいと感じています。皆さんなら、どのように説明しますか。  MS Copilotを少し使って理解したことを書きます。 ・資源は加工するもの。資源(原材料)は加工されるですから、人的資源とは人材を加工すべき対象として見る考え方。製品であったりサービスを提供するための原材料として人材を位置づける考え方。 ・資本はちょっと難しい。自分でもうまく言語化できないもどかしさがあります。資本は事業活動の元手となるもの。その蓄積を

          人的資本・人的資産・人的資源

          ラーニングマネジメントシステムのSoRとSoEを考える

          システムの捉え方に、SoR、SoE、さらにはSoIといった捉え方があります。今回は、ラーニングマネジメントシステム(LMS Learning Management System)をこの観点から考えてみました。 まず最初に、Microsoft Copilotに「SoR, SoE, SoI とは?」と質問したら、次のように答えてくれました。 <MS CopilotによるSoR, SoE, SoIの説明> もちろんです!「SoR」「SoE」「SoI」とは、情報システムを区分す

          ラーニングマネジメントシステムのSoRとSoEを考える

          心理的安全性×コミュニティ×多様性のリーダーシップ

           最近、昨年末からこの春にかけて読んだ3冊の本があります。 ・「チームが機能するとはどういうことなのか」  (A.C.エドモンドソン著) ・「コミュニティ・オブ・プラクティス」  (E.ウェンガー, R.マクダーモット, W.M.スナイダー著) ・「多様性の科学」  (M.サイド著) いずれも、組織がその目的の実現に向けて事業を実行するチームとしていかにパフォームしていくことができるのか、そしてそのために学習する組織であるためにどのような行動やリーダーシップが求められるのか、

          心理的安全性×コミュニティ×多様性のリーダーシップ

          多様性な自分に気づくとき

           社会の仕組みは、マジョリティという社会全体に宿っている認知バイアスを前提にして構成されているのではないか、最近考えています。  そして、そのマジョリティの属性を意識して、そこに自分を重ねて暮らしていると、世の中の不便さや自分にとっての不都合さを意識せずに暮らしていける。さらに、自分がマジョリティ側に属しているという自己認知を持っている場合、そうした社会の仕組みを是として受け入れ(しかも割と無条件に…かもしれません)、自分自身の価値観や行動を適応させていこうとする、いや適応さ

          多様性な自分に気づくとき

          『多様性の科学』からの学び

          先週末に『多様性の科学』(マシュー・サイド著)を読みました。 事例豊富で大変読みやすい本でした。いくつか気付きを得たので、この本を読み進めながら取ったメモを振り返りながら、備忘録的に気付きを整理しておきたいと思います。 ☆★☆ マシュー・サイド著『多様性の科学』を読んで ■「反逆者のアイデア」が集団の創造力を高める 大事なことは異なる見方をしている、建設的な批判があってこそ、集団は創造力を発揮するのだ。 ■個人の力よりも集団のつながりから生まれる「集合知」が重要

          『多様性の科学』からの学び

          【図解版】               人的資本経営をB/S視点で考える

           先週「人的資本経営をB/S視点で考えてみる」を投稿しました。 まだ抜け漏れしている要素があって完全版とは言い難いですが、『人材版伊藤レポート2.0』で取り上げられている3P5Fがどこでどのように作用してくるのか、週末に図示化してみようと描いてみました。  人的資本が自己資本として会社に参画してくれるためにエンゲージメント向上への取組みは欠かせません。  さらに、その人的資本が人的資産として事業活動に連結する(有効化する)ために様々な人事施策を実施する必要があります。それら

          【図解版】               人的資本経営をB/S視点で考える

          人的資本経営をB/S視点で考えてみる

          人材を資源としてでなく、資本として捉えようとする人的資本経営。 資本と考えるならば、それは貸借対照表でも説明できるはずだと思って考えてみました。 以前にも投稿したように、人的資本は会社が所有しているものではなく、ヒトが所有しているものと考えます。 会社は必要とする資本(人的資本)をヒトから出資してもらうことで、その資本を活用できるようになる。これが「雇用」という関係になる。 さて、この「人材(ヒト)」はただ雇用契約しただけで、自動的に自己資本になるわけではありません。契約

          人的資本経営をB/S視点で考えてみる

          学習コンテンツのSoRとSoE

           以前から、HRソリューションにはSoRとSoEの2つの種類(目的)があるとこちらでも発信してきました。SoRはSystem of Recordの略で、シンプルに言ってしまうと「管理のためのシステム」で、SoEはSystem of Engagementの略でこちらは「支援するためのシステム」と私はいつも説明しています。学びを社員の成長と貢献の機会につなげていくならば、そもそもの学習コンテンツにはSoRとSoEという性質の違いがあること、そしてそのデリバリーの方法も異なるという

          学習コンテンツのSoRとSoE

          仕事の意義が語られるから、組織は魅力的になっていく

           興味深い論文が紹介されていました。論文を紹介してくださったのは紀藤 康行さん(カレッジ)です。これを読んで考えたことを、自分自身が忘れないために、記しておきたいと思います。  採用面接では「長年力を入れてきたこと」を応募者に自身のエピソードとして話してもらうのは定番の質問かなと思いますが、なぜ定番なのか、それをこの論文が説明してくれたと思いました。  堅実に粘り強く取り組む力、継続的に取り組み続ける力。それが「仕事の成果」につながっていくということを直感的に私たちは理解し

          仕事の意義が語られるから、組織は魅力的になっていく

          「正解主義問題」と「チームが機能する」

           為末さんのこちらの記事を読んで、「チームが機能する」※という視点からも考えてみました。 ※「チームが機能するとはどういうことか」エイミー・C・エドモンドソン著(2014)  組織の文化やチームメンバーの行動が正解主義に陥るとどのようなネガティブインパクトが生じてくるでしょうか。例えば、 ・とにかく答探しから始まる(Howにフォーカスが強まる) ・正解がないと前に進めない、動けない(指示待ちになる) ・何が正解か、で議論が白熱してしまって意見の衝突を活かせない というような

          「正解主義問題」と「チームが機能する」

          対話とリフレーミングについて理解する

           大学院の授業で、「チームが機能するとはどういうことか」(エイミー・C・エドモンドソン著)を読みました。  エドモンドソンは、この著書の第3章で「フレーミングの力」を取り上げています。その中で「リーダーは、状況をフレーミングあるいはリフレーミングすることで、その状況に対する人々の対応の仕方やかかわり方に強力な影響をもたらせる」と述べています。そして、第3章のまとめでもあるLessons & Actionsの冒頭で ■フレームとは解釈であり、これを使って人は環境を感じて理解す

          対話とリフレーミングについて理解する

          学び方改革と学ばせ方改革の違いとは?LMSの導入における留意点

          LMS導入の目的は、学ばせ方改革、それとも、学び方改革? LMS(ラーニングマネジメントシステム)を導入するとき、その狙いは2つの方向があると理解しています。 一つは、学びの教材(コンテンツ)をデリバリーする業務プロセスを効率化するために新たにシステムを導入すること。もう一つは、学び方を変えるために新しいソリューションを導入すること。 この両者の違いを区別するために、前者はシステム、後者はソリューションと言葉を使い分けたいと思います。 前者は学習コンテンツを用意して受講さ

          学び方改革と学ばせ方改革の違いとは?LMSの導入における留意点