インタビューサイト・ユーフォニアム

札幌で人文社会系のインタビュー活動をしています。自由と社会を軸に考えつつ、時々、道外にも取材に行っています。マガジンも充実中。 「インタビューサイト・ユーフォニアム」運営。サイトURL https://www.kenjisugimoto.net/

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    マガジン

    • NPO読書会 プレゼン資料

      北海道NPOサポートセンターのzoom読書会発表用の資料です。

    • インタビューシリーズ 2022

      運営しているロングインタビューサイト、「インタビューサイト・ユーフォニアム」の本年掲載のインタビューです。主に人文学、社会学を中心にした問題意識で深掘りした話をうかがっています。

    • 北海道大学准教授・川田学准教授インタビュー(乳幼児研究)

      新しい時代の乳幼児研究の先駆者と見てもよい北海道大学の川田学先生へのインタビューです。2016年のものですが、現在改めてじっくり読んでもらいたいものです。

    • 栗原康(アナキズム研究者)×勝山実(ひきこもり名人)対談編

      政治学者であり、独自な文体で新しい回路のアナキズム世界観を構築している栗原康さんと、ひきこもり名人として、飄々とひきこもり安心生活をユーモラスに啓蒙している勝山実さん。 おふたりのトリックスターによるジャンル横断、硬軟取り混ぜ鼎談です。

    最近の記事

    4月26日の日記

    4月26日 水  昨日は文字通り陽気な春の空で気温も上々だったのだが、今日は真逆で一日中雨模様。特に朝の風は強かった。まだ三寒四温の様相。体を労らなければ。労りという意味では、母が今月主に水曜日もデイサービスに通う週3日通いが3週続いてる中、よく頑張ってくれていると思う。  オークションというか、交換サイト、「メルカリ」を利用するようになって、けっこう安価な歴史の啓蒙書や、大学入試用の社会科科目の関連書を購入しまくっている。安い上に、概ね保存も良く、みんな良心的。かつてか

      • 「妖怪の孫」鑑賞

        4月2日 安倍晋三首相の政治時代を追ったドキュメンタリー、「妖怪の孫」を見る。 なんとも言えないモヤモヤが残る、というのが本音。 正直、作品としても編集をも含め雑然とし、ドキュメンタリー映画としてこちら側の気づきや思いが深まるところも、ワクワクや驚きもなかった。YouTubeで割と長めのジャーナル番組などを視聴している層であれば、新しい発見があるわけでもないだろう。じゃあ、そういうものに馴染まない層に向けての啓蒙効果があるかといえば、年齢層の高さを思えば自分もそうだが、安倍

        • 斎藤幸平 「人新世の資本論」 第五章6章 ノート

          • 「ドーナッツ経済」ケイト・ラワース著 第三章、第四章 読書会発表用まとめ

            ドーナッツ経済 第3、第4章 第3章 人間性を育む 「合理的経済人」ー陰影ある肖像画から粗雑な漫画へ。 ⚫︎アダム・スミスー市場は利己心で成り立つとしながらも、利己心と利他心が複雑な道徳感情を人間に呼び起こすので、人間の行動は予測できない、と考えていた。 ⚫︎ジョン・スチュアート・ミルー 人間の描写を削ぎ落とすことで、経済学の最初のカリカチュア画家となる。もっぱら富を欲するのが人間だと。人間の行動を単純化しつつ、科学的に考える道を開いた。 ⚫︎ベンサムー 効用概念の体

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          • 認知症母との日々
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            「民主主義とは何か」 宇野重規 序章、第一章 読書会発表用

            民主主義とは何か  宇野重規  ・はじめに 選挙のとき以外、国民にとって政治が遠いものならば、それは本当に民主主義なのか。 民主主義とは国の仕組みか、理念なのか。 国の仕組み派ー国民の意思を政治に反映させる仕組みが民主主義だ。 理念派ー平等な人々がともに生きる社会を作るための、終わらない過程が民主主義だ。 古代ギリシアの民主主義誕生から、現代まで。 考えたいのは、それは本当に「誕生」だったか、真に継承され、矛盾なく自由主義と結合され、最終的に、本当に現代で実現し

            坂野潤治 「日本近代史」 第一章、第二章 読書会報告用

            坂野潤治 「日本近代史」第一章、第二章 読書会用  日本近代史ー危機の時代1925−1937 (一、二)ー 第一次大戦後の1915年 日本による中国への二十一箇条要求ー内容のポイントは、第1号=山東省を日本の勢力範囲に置く四か条、第2号=満蒙の独占的支配を策する旅順(りょじゅん)と大連(だいれん)の租借権、満鉄権益期限の99か年への延長など七か条。 孫文の辛亥革命(1911年) アジア主義者と、山県有朋の中国革命不信。→その頃からの日本の対中政策の「まるで幽霊みたい

            大澤真幸 この世界の問い方 第一章

             今までの読書会で取り上げた本よりは、論証立てづらい筆者の直感的な考えも多いと思われるゆえに、説明しづらい本かもしれないが、逆に言えば、この本を軸にいろいろ各自が推論や想像、連想を膨らませるのには大変興味深いものではないかと思います。 (著者、大澤氏の直観的な考えも、ラディカルに本質をついていると思われた)。 よって、今回の自分の担当は、この本に沿いながら、他の本からの興味深い発見も多かった。この本を読む際に資料として使い、推論が多い本書を軸として、もうひとつ自分の推論を重

            関西学院大学准教授 貴戸理恵さんインタビュー・6

            概念の研究と、手触りのある仕事との間をどう考えるか 杉本:ちょっと話がずれてしまうのですが、「北海道NPOサポートセンター」という北海道のNPOをサポートするところでNPO基金の代表をやっている方が大学で政治学を教えていた先生で、読書会というのを有志でやっているんですよ。その会は年配の人が多いんです。70代前半のいわゆる学生運動世代の人などが中心でごく少数でやっている場にお邪魔しているんですけど、この前そこに参加しているかたが話してたのは、小学校4年の時に児童憲章を読んだ

            関西学院大学准教授 貴戸理恵さんインタビュー・5

            ある時期まで、公教育充実論に嫌悪感を持っていた 貴戸:ただ、実は私は「公教育を充実させるべき」という議論に、ある時期まですごく嫌悪感を持っていたんですよね。 杉本:そうなんですか。 貴戸:ええ。私が大学院に入ったのは2000年代前半は、教育格差に関する議論が活発になり始めた頃でした。教育社会学者の*苅谷剛彦さんが、「意欲格差」という言葉を使って、ゆとり教育の名のもとに学校週5日制や教科書内容三割削減を実施するなどしたら、家庭による格差が開いた、という議論をしていました。

            関西学院大学准教授 貴戸理恵さんインタビュー・4

            不登校の不思議さに立ち返りにくい時代 貴戸:不登校の不思議さは、「貧困や病気など合理的な理由がないにもかかわらず子どもが学校に行かない」というところにあります。子どもにとって学校というものが、生まれ落ちた家族のあとに初めて出会う「社会」だとすれば、学校に行かない子どもは「個人は理由なく社会とつながらなくなりうる」という現実を突き付けてくると思うんですよね。長期欠席・不就学の歴史は長いですが、そのほとんどが貧困や親の教育力の無さによるものです。それが戦後日本社会が近代化して

            関西学院大学准教授 貴戸理恵さんインタビュー・3

            自分を見るような形で参加する場所 杉本:なるほど。そのように貴戸さん自身支援的立ち位置ではなくても「づら研」というものに求めているところがあるんじゃないかなと思います。それはどこかで貴戸さんの中でここに集ってくるメンバーと共有できる当事者性みたいなものを自分に感じるところがあったりもするのかなと思いましたが。 貴戸:私自身がかなり、スムーズに行かないものを常に抱えているような気がするんですね。ただそれはいまは表面上は何事もないように仕事をしたり、子供を育てたりしていると

            関西学院大学准教授 貴戸理恵さんインタビュー・2

            コミュニケーションのキャッチボールモデルからの脱却 杉本:それはかつてからですか? 貴戸:はい、本のタイトルも編集者と相談してキャッチ―なものに決めただけでした。というのも、コミュニケーションというと主体同士があらかじめ持っている意図を交換し合うというモデルが基盤にあると思うんです。私があなたに私の主張を伝えて、あなたがそれを受け取り、再びあなたが何か返してくる。それを私が受け取る、というキャッチボールモデルみたいなものが想定されてしまう。でも、私が考えているのは、「私

            関西学院大学准教授・貴戸理恵さんインタビュー ・ 新しい時代の生きづらさを訊く

            今回インタビューをさせていただいた貴戸理恵さんは小学校のほとんどを不登校で過ごしたのち、大学院へ進んで研究者の道に入られたかたです。貴戸さんが小学校に通わなかった時代は、「不登校は病理である」という医学者側の見立てに反対した不登校当事者の親御さんたちや有識者などにより、学校の管理教育などを批判する運動やフリースクールが創設された黎明期でした。貴戸さんは自分の不登校経験を当事者として深く受け止め、大人たちの不登校に対する両極に立った言葉には依存せず、自分の思考の過程の中から社会

            斎藤幸平 「人新世の資本論」 第5章6章 ノート

            人新世の資本論、第五章、第六章   第五章 加速主義という現実逃避   これまでの議論(第4章まで)で明らかにしたように気候危機の時代には、 コミュニズムこそ「人新世の時代」に選択すべきもの。  しかし、コミュニズムといっても、いろいろな考え方がある。 本書では晩年のマルクスの到達点に沿って、「脱成長のコミュニズム」に立脚する。  だがそれに対して経済成長をますます増大させることによってコミュニズムを達成しようと考える「加速主義」というものがある。   ●加速主義とは?

            笹木陽一さん(中学校教師・こどもの姿を語る会事務局)インタビュー・7

            家族とは、再び 杉本:ですから、やっぱりプロセスなんだと思うんですよね。人生の中のひとつの。だからここで終わるとはおそらく先生自身も思ってないでしょうし。 笹木:まわりまわって、いま娘が言葉を獲得し、これから本当にまっさらな目でね。悪いけどこんなクソッタレな時代に産んじゃってごめんなさいというのが本当にあるんだけども、それでも彼女の眼には明日への喜び、遊びの中で本当に即興のわらべ歌で育てたのがもう今の彼女に生きていて。親馬鹿なのはわかるんですけど、一節歌ったらすぐに返すし

            笹木陽一さん(中学校教諭・こどもの姿を語る会事務局)インタビュー・6

            臨床教育学とは? 杉本:そうなんですね。ところで、臨床教育学というのはどういう学問なのですか? 笹木:臨床教育学というのが日本で初めて出たのは、京都大学に河合隼雄さんが臨床教育学部を立ち上げる。要するに臨床心理学の心理士資格をとれる大学院を作るというそういう動きができた時期に作られ始めたんですね。そのあたりの経過が小林先生という方の「日本の臨床教育学はいかに形成されたか」という論文にあります。 杉本:雑駁(ざっぱく)に整理すると、どういう学問なのですか? 笹木:河合隼