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上海生まれの娘と僕は三角関係⑧

僕の娘は上海生まれ。

小児科病院で神の子と叫ばれた話。

僕と上海人で妻の劉さんの間に生まれた娘
漢の皇帝、劉邦の血が1%はあるかもしれない子

そんな二人は初めての子育てを経験している

小さい子供とは満足に会話が
成り立つわけではない。

子は我慢する事なく体調の変化があると
泣いてアピールしてくる。

母は敏感で抱っこするだけでも
体温を微妙に感じ体調の変化を気にしている。
母性ってすごいなと思う。

小さい子は熱を出すが汗をかいて熱を
発散する能力が低い。
その為、熱があると心配になるものだ。

直ぐに病院に行く必要があるか 
必要がないか
判断も迷う。

もしもの事があってはいけないから
直ぐに病院に行きたくなるのが親の心境

しかし上海では日本のように小さい医院が
近くにある訳じゃないので
大きな小児科病院へ連れて行く事になる。

大きい病院だけあって設備も施設も
近代的で広く立派な病院だけど人が多い。

ある日、
昼間から熱があり様子をみていたけど
夜中になり熱が下がらず高い熱をだして
辛そうな表情をしてる娘。

夜中に劉さんは病院に行くと言い出し
慌てて用意して深夜12時を過ぎた頃、
僕らは小児科病院へ向かった。

劉さんは幸い小児科病院に数名の知人が
働いていて、何やら連絡していた。
病院に着き受付に行き症状を告げ番号札を取り
待つことになる。

そこで僕が目にした光景は広いロビーに
夜中なのに人の山。
こんな夜中に誰もいないと思っていた病院で
昼間のように人が溢れていた。

こんなに患者がいるの?と驚く。

番号札を見ても、この人の数を見ても、
僕らの番が回ってくるのは
朝なるのではという印象だった。

暫く座る場所もないロビーの端で
壁にもたれ妻が受付から戻るのを僕は
娘を抱いて待っていた

劉さんが誰かを引き連れやって来る。
白衣を着た男性は、劉さんの知り合いらしく、
付いてきてと言われて僕らは白衣を着た人に
着いていく。

何個かある診察室の一つのドアを開けて
中に入った。中には診察してる子供がいて
僕らは、一緒に話を聞くような感じで
後ろに立ち順番を待つようになる。

案内してくれた白衣の男性は
次診察してもらって!と
僕らを割り込ませてくれた。

広いロビーには沢山の人が順番を
数時間も待っているので、申し訳ない気持ちが
出たけど娘の事や夜中の時間帯で
明日の仕事の事とか考えると
先に見てもらえるので安心していた。

僕は言われるがままに付いてきたけど、
部屋に入る時に僕らを不審に思った
次の順番の家族が診察室に乗り込んできた。

順番を抜かしたのか!と怒鳴つてきた
僕はヤバイ!そりゃ怒るよな~と
内心思ったけど、今更引けない。

叔母さんはめちゃクチャ大声で叫んで
激怒してる!

案内してくてた男性は叔母ちゃんを部屋の外に
連れ出し何やら言い合いが始まる。

診察してる先生がドアを閉めて!
と言うので僕は思わずドアを閉めに言った。
鍵がないので開けられないように
体で抑えながらドアノブを握り閉めた。

ドンドンと叩く音がする。

案内してくれた男性と叔母ちゃんが何やら
喧嘩してる様子だ。
そして中の先生は僕の娘の診察を
進めてくれていた。

診察を終えた患者も
僕がドアを閉めてるので
外に出れない!

僕は少し待ってねと
得意のニコニコ顔で誤魔化す。
外は大騒ぎしている。

大きな声で

お前の子は神の子か!と聞こえてくる

僕は 
メチャメチャ怒ってるじゃん!
外に出るの怖いよ~

診察を先に終えたお母さんは笑ってる。

劉さんは娘を抱いて先生にみてもらい
何やら冷静に必死でドアを押さえてる僕に
構わず先生と会話してた。

僕は早く終わらないかな〜
明日仕事いけるかな〜と
絶対にこの外に出たくないや!と
思ってる

結果、解熱剤を貰うだけだったけど、
先生に診てもらい安心した。

そして娘を抱いて、殴られる覚悟で
僕らは扉を開けた。

白衣の男性は、まだ喧嘩している。
僕らを見て早く逃げて!
という素振りで追い払う。
なんだか悪いな~と思いつつ
その場を逃げるは恥だが…なんとやらだ!

遠くで お前の子は神の子か!と
また叫んでる。

怖い怖いと思いながら薬を貰いに
行きタクシーで家に戻って来た。

でもすごかったね。
凄い叫んでたよ。
怖くて顔見れなかったよ
いろんなもんの投げられるか
心配したよ

劉さんは
本当に緊急なら先生も、
その子を先にみるわよ。
受付で症状見て識別されてるからね。と

でもあの人の多さみたら僕もゾッとしたよ。
朝まで帰れないなと思ったよ

まさかのプレミアパス発動とは、
知り合いいてよかったね

中国では人間関係が大事なの!
普段からいい関係を築けてるからよ

そうだよね~中国は人間関係でかなり
状況が変わるからね。
コネの社会というか、仲のいい人には
本当によくしてくれるからね。

でもちょつと罪悪感でたよ。

じゃ朝まで待ちますか?

いや・・・プレミアムパス使いたい派です(笑)

深夜にあの列並びたくないよ・・・

僕は罪悪感を感じつつ 
でも中国での社会で最も重要な人間関係の
部分を垣間見た気がした。

いざ自分の身に降り注ぐとコネを使えるなら
使うのが中国人でもある。
この国に平等という綺麗ごとは建前だけと
皆知っている。
そんな国でもある。
確かにそうだ。
ある程度は公平性を維持しつつも
抜け道は沢山存在してる国でもある。
そんな奥深い中国の社会を感じた
出来事だった。

僕は叔母さんが叫んでいた
お前の子は神の子か!という悲鳴が
脳裏から離れない!

でも思っていた。僕の子は劉邦の血を引き継ぐ子かもしれないから神の子じゃん!って(笑)

小児科病院で神の子と叫ばれた話。

上海生まれの娘は、
そんな言葉を叫ばれた事も知らず
オデコに熱冷シートを貼ってスヤスヤ寝てる。

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娘が生まれる前の話はこちら↓↓↓↓↓↓↓↓

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