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主張しない力

自身の職能や立場を主張せず、相手に敬意を払う。そのような立ち振る舞いができれば、とても素敵だなと思います。




1. 職種職能を主張しない

事業会社内では、デザインを主張しないほうが良いと思うのです。しかしデザイナーはそれをやろうとします。「デザイン思考」がまさにその例です。これは機能ではなく、名称の問題であるといえます。

逆の立場で考えてみると明確になります。例えば、営業の方が「他職種も営業思考を活用していきましょう」と言ってきたらどうでしょうか。ハレーションは容易に生まれると思います。

デザイン思考を全社的に推進されたら、多くの人が困惑してしまうでしょう。組織のなかで、特定の職種・職能を主張することは危険です。


2. デザインのブランディング活動

「デザインが大切だ」と直接伝えるのではなく、「デザインって大切なのかも」と感じてもらうためにどうするか。そのアプローチ手法を考えます。これは、デザインという概念をブランディングしていく活動です。

何か商品を買ってほしいとき。販売元の担当者が「良い商品だから買ってください」と訴えるよりも、第三者の「良い商品らしい」という声(VOC)のほうが説得力と効果が大きくなる事と同義です。

デザイナーは前者のように訴えています。つくり手のプライドが邪魔をしてしまい、自己ブランディングの観点が疎かになっているのです。


3. 相手を主体とする投げ掛け

よくデザイナーが口にする「デザインの力を信じている」という言葉。勿論私も信じています。しかし「あなたを信じている」というメッセージのほうが、相手の心を動かすでしょう。

ある案件で、他部署の方から「デザイナーさんに活躍していただきたい案件があります」と言われた事がありました。我々チームメンバーは全員歓喜し、嬉しい気持ちと多幸感が溢れていました。

まさに、それこそが他者とのコミュニケーションにおける正解の一つです。我々も同様に「他者が主体となる投げ掛けをするべきだ」と感じた出来事でした。言葉で相手の懐に入り込みます。


4. 他者に敬意を払う

自分の価値を主張することに力が入り過ぎると、良い状況を生み出せません。客観的に見て、そのような自分は盲目的であり協調性に欠けています。今一度、落ち着いて考えてみます。

他者と協業するとはどういうことか。それは他者に敬意を払うこと。感謝すること。そのような人になりたい。そのような人と働きたい。であれば、そのような行動をするべきだと思うのです。

その行動は巡り巡って、自己ブランディングの理想へと導いてくれるでしょう。自己を主張せず、他者に敬意を払い、相手が求めているものを理解し、伴走することです。


まとめ

誰もが「自分を認めてほしい」と思っています。しかし、それをそのまま言動に移しても良い結果は生まれません。なぜなら、相手も同じことを願っているからです。

主張しない力。主張しないためには力が必要です。認めてほしい焦燥感を一旦閉じ込め、耐える力です。だからこそ難しいのだと思います。

まずは与える。相手が存在してこその自分。この精神性が、強く魅力的な自己を創り上げていくのだと信じています。




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