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育成年代でありがちなトレーニングの落とし穴!練習で努力を重ねても上手くならない理由!

 今日は、「試合に勝つために練習するんだろ?」というテーマでお話させていただきます。よくある「それって間違ってませんか?」ということをお話しします。

 「それってトレーニングでしかできないプレーじゃない?」という話です。例えば、ロングパスのトレーニングをしているときに、コーチから「試合を想定したロングパスのトレーニングをしよう!」と言われていたとします。この場合、「相手がいないけれど、ある程度のスピード感で、ボールを動かしたり、ボールを置く位置を変えたり、キックの球種を変えたりしながらトレーニングする」というのが正解だと思います。
 「何のためにトレーニングをするのか」を考えることが、とても大切です。「なんとなく」トレーニングをしていても上手くはなりません。ここでは、トレーニングを考えているコーチの言葉を意識する必要があります。

 「試合を想定したロングパスのトレーニング」と言われたにもかかわらず、「蹴られたロングパスをトラップして…ボールを蹴りやすい位置まで前に出して…ゆったりと余裕をもって…ロングパスを蹴り返す!」これは本当に意味があるトレーニングになっているのでしょうか。間違いなく、これは「トレーニングでしかできないプレー」になっています。実際の試合では、ディフェンダーがプレスをかけてきます。ほとんど、余裕もありません。前にボールを出してから蹴っていては、ボールを奪われてしまうのです。
 試合を想定するのであれば、来たボールをトラップする前に首を振り、周りを確認します。トラップをするときは、自分の足元にボールを置きます。トラップした後は、素早く蹴る動作に移るのです。これが、試合を想定したトレーニングですよね。

 同じように、ミニゲームをやるとよく起こる「トレーニングでしかできないこと」があります。ミニゲームの種類にもよりますが、守備の時にプレスに行かずにゴール前で守備をしようとする選手がいます。当然ですが、ゴール前を固めてしまえば、ゴールを決められる回数は減ります。負ける確率は減ります。ゴールを決められる回数が減り、守備が成功しているように錯覚します。ですが、実際は「ミニゲームなのでゴールが小さい」「相手も攻撃のトレーニングをしているのでむやみにミドルシュートをしない」などの理由で、守備が上手くいったように感じるだけです。プレスに行かずにゴール前を固めてしまうのは、何のトレーニングにもなっていないのです。
 ミニゲームでコートが狭いときに、ディフェンスラインを横一列に作ってオフサイドを取りに行く守備をする選手も多いです。これまで何十回も見てきましたが、裏のスペースもないコートの狭いミニゲームなので、ディフェンスラインを作ってしまえば、裏に抜け出される心配がなくなります。スルーパスを通す隙間も狭くなるので、相手の攻撃を封じられる確率が高くなります。これは「守備が成功してボールを奪えた」のではなく、攻撃が難しいというだけです。この状況を「守備に成功した!」と勘違いしている選手がいるのです。

 コートの狭いミニゲームでディフェンスラインをつくる守備が練習になりにくい理由は、ほとんど「オフサイドを狙いに行く守備」に頼ってしまうところです。断言しますが、こうやってオフサイドをすぐに取りに行く選手は「走りたくない足の遅い選手」もしくは「体力が極めて乏しい選手」のどちらかです。下がって裏のスペースを守ろうとかそのようなことは考えていません。走らなくて良い方法を考えているのです。時には「走らない守備」が大切です。ですが、実際の試合では、裏のスペースはミニゲームよりも広いです。もしミニゲームと同じようにプレーしようと考えると、ゴール前のペナルティーエリア付近までディフェンスラインを下げなければ同じ状況にはなりません。この場合、攻撃側はミニゲームの時とは違いミドルシュートを放ってきます。また、間延びした中盤のスペースを使われてしまい、90分間というミニゲームとは違う長い時間のほとんどを「守備」に割かなくてはいけない状況になります。ミッドフィルダーの選手が酸欠になってしまうと思います。
 試合を想定するのであれば、プレスをかけて守備をしなければなりません。裏に出されたボールに対してもカバーに走らなければなりません。ボールを奪ってからは、攻撃につなげていかないといけません。でなければ、本当の意味で「試合を想定したトレーニング」にはならないと思います。

 話をまとめます。試合のためにトレーニングがあるので「トレーニングでしかできないプレー」をしてしまっていたら、絶対試合では活躍できません。大切なのは、常に試合を想定してプレーすることです。
 試合を想定するには、サッカーをたくさん見ることです。プロの選手たちが「どのような状況で、どのようなプレーを選択しているのか」を覚えてください。それをイメージしながらトレーニングすることが大切です。
 今日は「試合に勝つために練習するんだろ?」というテーマでお話させていただきました。
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