#16 ミネラルについて
皆さんこんにちは、パーソナルトレーナーの古寺健吾です。
北海道札幌市で
「フィットネスで人生を豊かに」をモットーに、多くの方の健康に寄り添うお仕事をさせて頂いております。
このnoteマガジンでは、主に「健康」や「身体」に関する内容の記事を毎週アップしていきます。
第16回目となる今回のテーマは
「ミネラル」
について。
▼ミネラル概論
ミネラルは、一般的な有機物に含まれる4元素(炭素、水素、窒素、酸素)以外の必須元素です。
タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミンと並んで5大栄養素の1つとして数えられています。
日本では13元素(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リン)が健康増進法に基づく食事摂取基準の対象として厚生労働省により定められています。
また、これに塩素、硫黄、コバルトを加えた16種類が必須ミネラルとなり、多量ミネラルと微量ミネラルに分けられます。
この3つは厚生労働省が作成した食事摂取基準に摂取量の基準が定められていません。
これは塩素は主にナトリウムと結合した形(食塩)で摂取される事が多いなど、他の栄養素と一緒に補給できるので、単独での基準量が必要ないからです。
全ての要素は適度な量を摂る事がよく、欠乏症だけでなく過剰摂取も病気の原因になります。
また、ミネラルはヒトの体内で作ることが出来ない為、毎日食事から摂る必要があります。
▼ミネラルの役割
① 身体の成分になる
骨や歯の材料になるカルシウムをはじめ、ミネラルの中には身体の構成成分として利用されるものがあります。
例えば、鉄は赤血球のヘモグロビンの材料になります。
② 神経や筋肉を正常に保つ
ミネラルには神経の伝達がスムーズに行われるようにしたり、筋肉の収縮が正常に行われるようにする働きがあります。
熱中症でミネラルが失われると筋肉の痙攣が起こったり、不足すると神経や筋肉の働きに異常が現れたりします。
③ 代謝促進
ミネラルは3大栄養素からエネルギーを作り出すとき、古くなった細胞を新しく作り直す時などに必要不可欠な栄養素となります。
④ 身体の恒常性を維持する
人は体内を一定の良い状態に保つ性質(恒常性)を持っており、ミネラルは重要な役割を果たします。
例えば、体内の水分量を調節して血圧をコントロールしたり、体液をアルカリ性に保ったりする働きがあります。
▼ミネラルの種類
《多量ミネラル》
体内に存在する量が比較的多いものの事で、主要ミネラルとも言います。
◎ナトリウム
・細胞の浸透圧を維持→水分量の調整が行われる
・筋肉の正常な収縮に働く→ナトリウムとカリウムが互いに移動し筋収縮に作用
・血液の性質を正常に保つ
※過剰摂取⇒むくみ、高血圧(動脈硬化、腎機能低下)
※欠乏⇒通常の食事では心配なし、大量に汗をかくなど急激に不足すると血圧低下や疲労感、倦怠感など
◎カリウム
・細胞の浸透圧を維持→ナトリウムとともに作用。どちらかが不足すると細胞は機能しない
・ナトリウムの排泄促進→腎臓で尿へのナトリウム排泄を促進(高血圧予防)
・心臓機能、筋肉機能の調節→筋肉の収縮を調整
※過剰摂取⇒尿中に排泄。腎機能が低下していると上手く排泄できず不整脈や胃腸障害を起こす事も
※欠乏⇒通常の食事では心配なし。ナトリウムの排泄困難による高血圧、筋力低下
◎カルシウム
・丈夫な骨や歯を作る→骨にカルシウムを貯蔵
・神経の情報を伝達→細胞内外で神経伝達物質などを運び様々な情報を伝達
・筋肉の動きを調整→筋肉の収縮と弛緩に必要
※過剰摂取⇒通常の食事では心配なし。
※欠乏⇒成長期では骨や歯の発育に支障。加齢による骨粗鬆症の引き金にもなる。
◎マグネシウム
・骨の形成に関わる→カルシウム同様に骨や歯の生成を助ける。
・血圧調整→カルシウムと拮抗して血圧を調整。動脈の弛緩と血圧を下げる役割。
※過剰摂取⇒尿や汗として排泄される為健康障害の心配が少ない。
※欠乏⇒欠乏症は起きにくいが慢性的に不足すると虚血性心疾患の危険性
◎リン
・骨や歯の材料→全ての細胞に存在し体内の約80%は骨や歯の材料に使われる
・エネルギー発生に関与→エネルギー代謝に不可欠なATPの構成成分として働く
※過剰摂取⇒副甲状腺機能異常、カルシウム吸収障害による骨量減少
※欠乏⇒通常の食事では心配なし
◎塩素
・体液の浸透圧や性質を保護→細胞外液を構成する主成分として細胞内外を行き来する
・消化促進→体内で塩酸に変化し、胃酸の構成成分となり食べ物の消化を促進
◎硫黄
・皮膚、爪、髪などの成分になる→含硫アミノ酸の成分として組織のタンパク質を構成
・糖質、脂質の代謝サポート→ビタミンB1やビオチンなどの成分となる
《微量ミネラル》
体内の含有量が多量ミネラルよりも少ないミネラル。
◎鉄
・全身に酸素を運ぶ→赤血球中のヘモグロビンの材料になり酸素と結びつきやすくなる
・エネルギー産生に関わる→体内の細胞には鉄を含有した酵素がありエネルギーを産生する
※過剰摂取⇒吸収率が低く体内で必要以上に吸収されない為過剰摂取の心配なし
※欠乏⇒鉄欠乏性貧血、疲労感、頭痛、食欲不振など
※成長期、月経不順、子宮筋腫など出血症状がある場合は不足しやすい
◎亜鉛
・細胞の生成など代謝をサポート→様々な酵素の補酵素として細胞分裂が正常に行われるように働く
・味覚を正常に保つ→味覚を感じる部分の新陳代謝には必要不可欠
・免疫力維持→免疫機能に関わる細胞の働きに作用する
※過剰摂取⇒通常の食事では心配なし。
※欠乏⇒免疫機能低下、成長障害、味覚障害、集中力欠如など
◎銅
・貧血予防→ヘモグロビンの生成には銅の力が必要となる
・活性酸素分解
・酵素の材料として代謝サポート→骨や血管壁を作るコラーゲンの生成などに関わる
※過剰摂取⇒便と一緒に排泄される為過剰症の心配なし
※欠乏⇒通常の食事では心配なし
◎マンガン
・骨や糖質などの代謝に関与→不足すると骨代謝、糖質や脂質の代謝が正常に行えなくなる
・酵素の構成成分→抗酸化作用に働く酵素の構成成分に
※過剰摂取⇒通常の食事では心配なし
※欠乏⇒通常の食事では心配なし
◎ヨウ素
・甲状腺ホルモンの材料→摂取されると胃と腸で吸収され多くが血液から甲状腺に取り込まれる
・基礎代謝を促し成長促進→構成成分となる甲状腺ホルモンはエネルギー代謝に関わる
※過剰摂取⇒甲状腺腫や甲状機能低下
※欠乏⇒甲状腺腫や甲状機能低下、成長期では成長障害や精神遅滞など
◎セレン
・活性酸素の分解を助ける→活性酸素によって不飽和脂肪酸が酸化してできる過酸化脂質の増加を防ぎ細胞の老化を予防
・甲状腺ホルモンの代謝に関与→酵素の成分として甲状腺ホルモンの代謝、ビタミンCの代謝などに関与
※過剰摂取⇒脱毛、爪がもろくなる、神経障害、胃腸障害など
※欠乏⇒通常はほぼ見られないが、下肢の筋肉痛、皮膚の乾燥など
◎クロム
・インスリンの働きを助ける→インスリンの働きを助け糖代謝を正常に行えるようにする
・糖質や脂質の代謝促進→生活習慣病予防効果
※過剰摂取⇒通常の食事では心配ないが、胃腸障害、腎臓、肝臓障害など
※欠乏⇒通常の食事では心配なし
◎モリブデン
・尿酸の産生を助ける
・身体の様々な代謝に関与→酵素の成分となり鉄の代謝に関与、糖質や脂質の代謝を間接的に助ける
◎コバルト
・赤血球の生成に不可欠→体内での働きはほぼビタミンB12によるもの。貧血予防に役立つ。
・神経機能の働きに関わる→不足すると神経過敏や集中力、記憶力低下などに繋がる事も
▼ミネラルの代謝
ミネラルの多くは小腸で吸収されますが、亜鉛の一部は胃で、ナトリウムの一部は大腸で吸収されます。
カルシウムの吸収率は、小腸にビタミンDや乳糖、タンパク質などがあると増加します。
鉄はビタミンCがあると吸収率が増加します。
吸収後は肝臓へ送られ、血液によって各組織に運ばれて利用され、毎日一定量の尿や汗などに含まれて排泄されます。
ミネラルの大部分は骨や歯にあります。
骨や歯には、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムとして存在し、強さや硬さ、弾力、耐性を与えています。
ミネラルには、血液中や細胞内外の体液中でプラスやマイナスの電気を帯びてイオンになるものがあります。
細胞内外のイオン濃度のバランスは一定に保たれていますが、身体が何らかの刺激を受けると一時的に変化します。
それが神経などを介して脳に伝わり、脳が変化に対する適切な指令を出すと、イオン濃度は元に戻ります。
このようにミネラルは身体のバランスを保つもとになっています。
例えば、塩分を摂り過ぎているとのどが渇くと感じるのはなぜか。
それは塩の成分のナトリウムが原因です。
細胞の内外ではナトリウムイオンが一定の割合で存在していますが、そこへ塩のナトリウムイオンがやってくると、細胞外のナトリウムイオン濃度が通常より高くなり、細胞内液が外へ出て濃度のバランスを取ろうとします。
その変化が脳の視床下部へ伝わると、脳は細胞内外の状態を元に戻すために「水分補給」をするよう指令を出します。
そのため、のどが渇きます。
このバランスが崩れると、むくみを生じたり、高血圧症を引き起こします。
このようにビタミン同様、ミネラルも身体の調子を整えてくれる重要な役割を担っているのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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