マネージャーの役割とは?
欧米とよくひとくくりにされるのを見る。
しかし、ヨーロッパにいると、アメリカとは全く違う価値観だと思う。
アメリカ出身の方の話を聞く機会があって改めてそう思った。
マネジメントとは
ここではマネジメントという観点から考えたい。
そして独自路線を走っている日本はこの先どの方向性を行くのがより良いのか考えたい。
ITが普及するまでは欧米で差はあまりなかった。
アメリカで、マネージャーは「感情」のマネジメントを重視していた。
マネージャーは部下のやる気をいかに引き出すか、仕事をどう割り振るか、個々の能力に合わせて考えていた。
しかし、ITが普及するともともと競争社会であるアメリカでは、とくにシリコンバレーを中心としたテック企業が「見える化」でマネジメントをし始めた。これまで把握しきれてなかった(そこまでマネージャーが把握しなくてよかった)部下の成果がデータで表れる。否応なしに情報が社内で共有されてしまう。
もともと成果主義の社会で把握しきれなかったことができるようになったため、データをもとに簡単に解雇(レイオフ)する仕組みができた。
2つのマネージャーの例を見てみよう。
1.もともと”現場”でエースとして活躍してきたマネージャーは、部下の「感情」なんてわからない、結果が出ていないのは自己研鑽が足りないと言っていた。しかし、この仕組みにより、責任追及が容易となったため自身についてこれるメンバーを集めて社内でトップの成績をとった。
2.従来の方法、部下の「感情」をコントロールすることでマネジメントしてきたマネージャーにとっては、成果が上がらない部下に対して強く言えずにそのチームは解散してしまった。さらに自身は過去、成績で昇進したタイプではないためあまり効果的な改善案の提案もできなかった。
さて、ヨーロッパではどうだろうか。
1.は競争社会のアメリカでは通用するかもしれないが、ヨーロッパでは難しいと思われる。少し語弊を恐れずに言うと、ヨーロッパの多くの企業では、ある程度ルーチンワークが回るほどのマネジメントをしていればいい。成果を上げるためのマネジメントはあまり求められない。むしろ、部下の「感情」を気遣ってあげるのが重要だ。
ある件で顧客が問い合わせてきた。
マネージャーは時間を見た。担当の部下の終業時刻が迫っている。よし、明日に任せよう。
顧客を待たせればいい。
ヨーロッパでこうした状況になった背景の一つは「労働」を美徳としていないことにあろう。それを裏付けるのは労働者が強く守られている法律である。解雇規制、残業規制や有給休暇などあらゆる面で保護されている。
また、転職が当たり前で、業界についてそこまで詳しく知らない者がマネージャーになることもある。ルーチンワークさえ回っていれば、顧客側もマネージャーが変わってどんな人かわからないし、とりあえず関係づくりをして少し様子を見るかとなる。これはある意味作戦で、なにか問題があれば、そのいきさつを知らないマネージャーを変えることで全関係者の問題への意識が薄れる効果がある。顧客も一から説明するのは面倒だし、まあいいかとなればしめたもの。
だいたい、できることなんか限られているのだから、カネか時間か、解決できることなどそんなもんだ。
どうするよ、日本
話を結論に持っていきたい。さて、日本はどう進むべきか。
独自路線の日本では1.に近い。プロパー社員と呼ばれ、生え抜きのエースがその企業でマネージャーとなることがいまだに多い。
アメリカと違うのは、日本では建前上は部下の「感情」も多くの場合で気にかけなければいけないのに把握できていない点だ。
部下が辞める時、上司に本当の退職理由を言わないのはよく聞く。
なのに、上層部はなぜ辞めたのか、それはマネージャーの責任だとする。
日本ではマネージャーに求められることが多すぎるというわけだ。
チームの「成果」をあげつつ、部下の「感情」も管理する。
どうだろう、日本でも
部下
「すみません、この依頼、いましないとマズいですよね?」
マネージャー
「そんなの明日でいいって。」
「えっ?お客さん? そんなの待たせとけばいいよ。」