メッセージボトル_2

最高の上司 -メッセージボトル #2

世の中、上司の悪口で溢れている。

会議室、飲み会の席、SNSでも、上司とはだいたい愚痴と文句の標的だ。
実際、良きリーダーに恵まれず、日々のコミュニケーションに悩み、
ストレスを抱えている人は多いのだろう。

一方 わたしは、
とても上司に恵まれて生きてきた。

これは、ただただ運が良かっただけなのか、
勤めた会社の文化なのか、
本当にありがたいことに、歴代の上司は「最高」だった。

今日はその中でも、特にわたしの仕事感、そして人生観に大きな影響を与えてくださった、
3人の「最高の上司」について書きたいと思う。

個人名は伏せさせて頂くが、3人ともリクルートのご出身。
個性豊かでキャラクターは全く異なるが、あえて共通点を上げさせて頂くとするなら、
何かを手取り足取り教えてくれた、というより、ひたすらチャンスを与え続けてくださった方たちだ。

最高の上司の「ピンポン!」

お一人目は、太陽のように明るい営業本部長だ。
亀仙人を250歳くらい若くした、私の師匠。
その人がいるだけで、場の雰囲気が明るくなる。
ちょっとワキが甘いけど(笑)、誰からも愛されるキャラクター。
昨年、定年退職を迎えられたが現役バリバリで、
今は人材系のコンサルとして起業されている。

わたしは、この上司がわたしのプレゼンに対して言ってくださる「ピンポン!」が大好きだった。

「こんなことをしてみたい!」
「この課題に対して手を打つべきです」
「先日の会議の残課題ですが、
   こんな風にまとめてみたのですが」

わたしの提案に上司はいつも「ピンポン!」と笑顔で応えてくれた。
さらに良い提案には「スーパーピンポン!」が返ってきた。

もちろん、ダメ出しもあった。
ただ、ほんの2〜3分の会話の中で改善点をさくっと洗い出し、
わたしがそれにうなづくと「ピンポン!」で締めくくる。

good!とvery good!それだけで上司と部下の関係が成り立つ。
いい加減なようで、実はものすごく高度なマネジメントだということに気づいたのは、
自分がマネージャーになり、メンバーが10人を超えたあたりだろうか。

方針・方向性が明確。
こんがらがった複雑な課題をシンプル化する。
これ!と決めたら即実行、そして最後の責任は自分がとる覚悟。
これらがないと「ピンポン!」でコトが進む組織は出来ない。

最高の上司の「生きるように、働く」

お二人目は、とにかくクレバー。
ちょっとした愚痴や悩みごとから、全社戦略の大方針まで、
何か頭の中を整理したい時、必ず相談しに行く相手である経営企画のボス。

職場に「相談したくなる上司」がいることは幸せだと思う。

大抵の上司とは、相談よりも報告を求めてくるメンドクサイ生き物だ。
自分が知らないことがあると「なんで報告しなかったんだ」と言う上司、
それはその上司がメンバーにとって良き相談相手ではないからに過ぎない。

良い上司とは、良き壁打ち相手なんだと思う。
持論を押し付けるわけでもなく、
かといって意志がないわけでもない。
相手の頭の中のモヤモヤが、整理されるまでとことん付き合ってくれる良き相談相手。

この上司の言葉で、わたしのお気に入りが「生きるように、働く」

お腹が空いたらご飯を食べて、眠くなったら寝るように、
働きたい時は気が済むまで働いて、サボりたい時はサボればいい。
無理するなよ、といつも私が苦しい時に手を差し伸べてくださる最高の上司だ。

最高の上司の「どう責任とるんだよ!」

三人目、最後の最高の上司は、
先に上げさせて頂いたお二人と異なり、とにかく怖い人だった。
正直、怒られた記憶しかない(笑)

いつも、コテンパンにダメ出しされていたなぁ。通らなかった提案、作り直した企画書の数は山ほどあったが、
振り返るとそこには上司の「哲学」、
わたしより遥かに高い視座で、本質を捉えた「決断」があったのだと、今なら分かる。

2008年、リーマンショックの頃。
求人業界全体が大きく揺らぐほど、厳しい時期があった。

「お前のせいで社員にボーナス払えなかったら
   どう責任とるんだよ!」


当時、わたしは商品企画のマネージャーに成り立ての頃。
一応、課長と名のつく役職だったものの、どこかで、まだまだ30手前の若手だと甘えがあった。

詳細は伏せるが、会社として苦渋の決断を、何度も何度もしなければいけなかったあの頃。

会社を守らなければならない。
大切なものを捨てる覚悟が出来なかった当時のわたしに、
上司は「責任をとれ」と迫った。

リーダーは孤独で、大きな荷物を背負い、常に葛藤し続けている。
責任という言葉の重みを、あれほど感じた日はなかった。

上司の背中に孤独と葛藤を感じる。
そんな経験を若いうちからさせてもらえたことに感謝しかない。

さて、3人の最高の上司については以上です。
まだまだ書き足りないので、またいつか続きを。

Twitterもやっています。こちらでも、最高の上司の思い出をつぶやくかもしれません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?