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不登校と中学受験(9)


学校でこんなことが起こっていませんか?

在塾派閥!

どこの塾に在籍しているかということで、学校の中で派閥のようなものがあるのです。


バカバカしいと思うのですが、これ、意外とよくあることなんです。


誰がどこの塾に通っているのか、というのをすごく気にする子どももいるくらいなのです。



そのことに、どれくらいの意味があるのか、と思うこともあるのですが、子ども達にとってはそれなりに思い入れもあるのです。

そのことは別段何の問題でもないのです。



問題があるとすると、学力が意外と低い子ども達なのです。
成績が上位クラスに行けず低迷している子ども達の中に、「◯学園に行ってる」「○学園で習った」と言いたが子どもがいるのです。

クラスで”知ってる自慢”をするのは、大体、塾でも下の方から中位クラスに在籍している子ども達です。

上位クラスでこれをする子どももいるのですが、こういう子どもは、何となく周りからは距離をおかれています。
できる子どもが、「こんなん知ってるわ」と偉そうに言った時に、周りがいい顔をしないのは大人の世界も、子どもの世界も同じなのです。


ところが、中位クラスから下のクラスの子ども達が言っていることは、ある意味で問題なのです。


なぜなら、まるで、その塾に通っていることが自分のステータスになっているからなのです。

できない自分をわかっていて、それをなんとかカバーしたい、自分をアピールしたい、という子供心なのですが、これをやりだすと、だいたいもう伸びません。


それに、こういうことを子どもが言っているのは、ご家族が同じようなことを思い、ご家族から、もっと頑張りなさい、ということを言われているからなのです。


だからこそ、自分の成績が良くないから、塾のブランド名に逃げてしまうのです。


こういう状態になっているときは、すぐに子ども達の学習や問題の理解度を確認する必要があります。

その時に、ご家族が躍起になって、やらせようとか、もっと頑張らせようとすることは、はっきりと逆効果です。


大人でもそうです。


できない、厳しいなと思っている時に、一見、優しそうにしながら、それについて、手伝うこともなく、具体的な方法論を提示して、こうすればいい、こんな方法もある、こんな考え方もできる、と言われても、やる気になんかなりません。

共感してもらえない相手には、誰も心を開かないですし、方法論を教えてもらえても、やりません。
それでやる時は、もうよほど切羽詰まっている時なのです。


子ども達はもっとそうなのです。


だからと言って逃げられるわけではなく、ご家族に言われているのですから、やるしかないのです。

大人だと、切羽詰まっていないのに、やらされる、そんな感じなのです。


わからなくなっている、苦手意識がすごくあって嫌だと思っているようなところで、ご家族に躍起になって、勉強しろ、こうやったらいい、わからなかったら教えてやる、とか言われても、もうやりたくもないのです。


前回のSくん、自分ではどこの塾に行っていたか、などということは言うことはありませんでした。

ところが、「俺、Sと同じ塾に行っていた」「Sと同じクラスだったことがある」と言う子どもがいたのです。中学校でもそんなことがあったと聞いています。


Sくんと同じくらい自分はできた、だから、自分はすごいんだ、と周りに思ってほしいのです。


どうして子ども達が、通っていた塾、しかも、その在籍クラスを周りに言うのか。


それは、少しでも自分はできるんだ、すごいんだ、と思いたい。
たとえ現実が伴っていなくても、いや、伴っていないほど、そう思いたい。

そのくらい子ども達の心には、「できない自分」「負けている自分」というものがあり、そのことが、自分の評価になっていると感じているのです。


長い間、塾講師として、現場に立ってきて、「できない」「だめだ」「負けている」と思っている子ども達の学力を伸ばすことは、とてもたいへんなのです。

まず、この「できない」「負けている」と思っている、その気持ち、感情を取り除いてあげないと、勉強することができないのです。


しかも、わからなくなっているところがあることを認めて、そこに向き合っていかないといけないのです。


そのためには、遡行学習をして、わからないところまで遡って、そこをできるようにしていくことがいるのですが、クラス授業の中学受験の塾では、そんなことはカリキュラム上も実態的にもできるわけはないのです。

どんどん進むカリキュラムの中で、とにかく消化していかないといけない。

でも、はっきり未消化になって、「わからない」を積み重ねていくことになるのです。


これが、子ども達を勉強に対する嫌悪感を育ててしまい、難関大学への道を閉ざしていくのです。


この負の感情を育てているのは、何でしょうか。


辛いですが、この多くは、ご家族が負の感情を持たせてしまっているのです。

しかも多くの場合、全く無意識にです。


そんなことはない!とお叱りを受けるかもしれません。

でも、もし本当にそんなことはない!とおっしゃるのであれば、わからないところまで遡ることができない大手進学塾だけに頼っていても解決できない問題ですから、中学受験を知り尽くしたベテランの塾長がされている個人塾にお世話になることができますか?


そう言われた時に、それは・・・とおっしゃるということは、ご家族にも、「塾ブランド」を頼っている、信じ込んでいる、そういうところがあると思うのです。


しかも、お子さんが通っていく塾が、子どもに本当にあっているか、検証していますか?


小4の子どもが、塾を嫌だ、勉強が嫌だ、となれば、もうそこから先は、何を教えても、どう教えても身にはつきません。
こうさせてしまうのは、ご家族であり塾なのです。


塾が子どもにあっていれば、どんどん成績も上がり、子ども達も塾自慢、クラス自慢をすることはあまり多くないはずなのです。

しかも、どこの塾に行っていても関係ないのです。合格できるための学力をどのように身につけるか、というだけのことなのです。


でも、ご家族が子どもにあっていない塾で、無理に頑張らせると、しかも、小学生の低学年からやればやるほど、うまくいかないことがあると知っておいてほしいのです。


勉強に対する嫌悪感を持たせず、学ぶことの楽しさを感じられた時、どんどん子ども達は知識を吸収し、成績を上げていくのです。


Sくんが高校受験直前に、やっと心を開いてくれて話してくれた一言が、私の心に今も重くのしかかっています。


「小さい時から勉強、勉強って言われた。ちょっとやればできてしまったことが、僕の最大の失敗だった。中学受験したいなんて思ったこともなかった。親に嫌だと言えなかった。小学生の時の塾の先生にはもっと言えなかった。子どもに嫌だなんて言える権利はないんです。子どもの気持ちなんて、親は考えてもなかった。塾の先生は成績だけだった。高校受験でようやく人になった気持ちです。」


このSくんは中学校に行き続けました。
なぜなら、家にいたくなかったからです。


家にいてもいいと思えたら、間違いなく不登校になっていたと、Sくんは自分で言っていたのです。


フリースクール・パーソナルアカデミー カウンセラー、講師

進学塾TMC池田 講師(算数・理系数学・理科担当)



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