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発達障がいの子どもの不登校(5)

学校復帰を目指すのか?

発達障がいの子どもや、それに近い特性を持つ子ども達が不登校になった場合、学校復帰を目指すのか、別の道を考えるのかということですが、これもケース・バイ・ケースだと思います。

私は一般的に不登校になった子ども達が学校復帰を目指すのがいいのか、別の道を目指すのがいいのかは、その子ども達の状況によって方向を決めています。

ただ、個人的な考えとしては、原則として学校復帰は目指さない、としています。

なぜなら、子ども達が感じ取ってきた学校に対する思いを考えた時に、そこに戻るようにすることは、子ども達の心を傷つけてしまう可能性があります。

ですから、相当、その子どもが戻りたいと言わない限りは、原則としては、学校に戻さないようにしてきました。

では、発達障がいの子どもや、同じような特性を持つ子ども達が不登校になった場合はどうかということですが、ケース・バイ・ケースではありますが、私の考えとしては学校に戻したいと考えているのです。

なぜなら、コミュニケーションをとることが苦手だからこそ、練習をしなければいけないからなのです。

特性があり、苦手なことがあるから、その苦手なことに対して、周りの人と同じようにはできないけれど、何か手段を考え、方法を考え、ある程度まではできるようにしていくことは必要だと考えています。

それは、多くの発達障がいや同じような特性の子ども達が、頭ごなしにできない、と決めつけられ、だから、無理しなくていいよ、やらなくていいよ、ということを言われて、しないようにされているのです。

そのことは、子どもの可能性をはっきりと否定していることだと、私は思うのです。


ここでよく勘違いをされることなのですが、特性があるからできないのに、なぜ無理をさせるのか、と言われることがあるのです。

特性があれば、本当にできないのですか?
それはできなくてもいいのですか?
みんなと同じように働けなくてもいいのですか?
自立せず一生、ご家族が面倒を見ていかれるのですか?

それが、ご本人にとってプラスとは私には思えないのです。


もちろん、どうしてもできないこともあると思うのです。
しかし、そのできない、苦手なことがあっても努力をしている子どももいるのです。


発達障がいを持つ方が就職できなくて、就労移行支援事業所に通い、いろいろなスキルを身につけ、再び就職活動をして、就職できるようにと頑張っています。

株式会社エンカレッジ 就労移行支援事業所 エンカレッジ大阪
https://en-c.jp/wts/about/

 
社会福祉法人北摂杉の子会 ジョブジョイントおおさか
https://jobjoint-osaka.com/

弊社はこの2つの就労移行支援事業所の実習生(インターン生)を受け入れています。

この2つの事業所で学んでいらっしゃる発達障害の方でも、苦手なことがたくさんあります。

例えば、

口頭で指示されたことは理解しにくい
もともと長時間、集中して仕事をするのが苦手
にぎやかなところでは、集中できない
わからないところがあると、不安になりすぐ聞きたくなる
仕事の進め方の見通しが立たないと、不安で仕事ができない

関西の有名私立大学を卒業されても、就職できず、この就労移行支援事業所にお世話になって、実習に来られた方が、先日、弊社に実習にいらっしゃいました。

その方は、口頭での指示はほとんど理解できないということで、指示書を作って読んでもらうようにしていました。

これなどは、子どもの時から、学校の授業では、できるだけ板書してもらう、プリントにしてもらうなどをしてもらっていれば、もっと理解できるようになったと思うのです。

そこから、言われていることはわからなくても、とりあえず聞いたことをできるだけメモを取るようにし、メモを見て、指示されていることを理解する。

あるいは、指示される前に、自分から聞き漏らすといけないので、紙に書いてもらうか、ゆっくり話してほしいと伝えるようにしておくと、自分で指示の内容を理解できるようになるのです。

こういうことを、できるだけで自分で行うことで、日常生活が随分と楽になります。

また、学校での授業の受け方も工夫でき、わからないことを減らすことができるのです。

この方には、そういうことをお伝えし、自分で工夫してもらえるように、わざと口頭で指示をしたり、指示をした内容を元に、自分で簡単な業務マニュアルを作ってもらったりしていました。

これが実践的な学びであり、支援であると思うのです。

同じようなことを学校で配慮・支援してもらうことが必要なのです。

ところが、学校の先生方でも、保護者の方でも、
「もともとできないんだし、無理しなくていいよ、いいよ。」
と言っていることが、呆れるほど多いのです。

それは、紙に書く、できなければ、ゆっくり話してメモをとらせて、それを理解してもらう。

たったそれだけで、わからなかったことが、わかることがいっぱいあるのです。できることがあるのです!

これを、子どもの可能性を潰している、と言わずになんと言うのですか?


Growth Support Centerの代表の藤庭まや先生が、

「こんな時どうしたらいい?」

というシリーズをアップしてくださっています。
ぜひ、これをお読みいただきたいと思います。

その中で、子ども達は、こんなことを考えていたのか?こうしたらよかったのか!ということがお分かりいただけると思います。


発達障がいや、同じような特性を持つ子ども達には、こういう理解と支援が必要ですし、それがあれば、学校に通うことができる子どもが、かなりの数にのぼると思うのです。

そのことは、子ども達に大きな可能性を見つけることになり、子ども達の未来が変わるのです。


ところが、問題は、学校の支援のあり方だったり、配慮をできるかどうかだったりするのです。

支援のあり方や、周りの子ども達の協力なども含め、学校生活を送りやすくする環境を整えてあげることは、どうしても必要なのです。

これは国としてやらなければならないと、法律でも合理的配慮をするように規定されているのです。

ところが、学校は、これをなかなかできないことも問題なのです。
その結果、不登校になっているとも言えるのです。

だから、不登校でも仕方がない、問題はないと言ってはいけないのです。


そこは、お母様が、まず、考え方を変えないといけないのです。

先ほどの藤庭まや先生がセミナーを明日からされます。

子ども達が社会を生きるために必要なスキルに加え、その子ども達を支えるお母さんに知っておいて欲しい力についてもお話してくださいます。

私も参加する日程があります。
こちらから詳細をご確認ください。

まだ、空席はあるようです。1回の人数を少なくされているようですので、ぜひ、藤庭先生のお考えも聞いてみてください。

お母様の考え方も随分変わると思いますし、そのことで、我が子の可能性がどんどん広がるなら、それは、素晴らしいことだと思うのです。


(つづく)

谷 圭祐 https://ktani.info

Instagram https://www.instagram.com/p/CppGJIKvp-3/?hl=ja


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