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不登校からの卒業(10)

4)充実期

混乱期を過ぎてくると、お子さんも不登校になってから、かなり時間が経ち、お子さん自身が、少し落ち着いてきて、何もすることがなく、このままでは良くないと動き出す準備を始める頃です。中には動き出すお子さんもいます。

ここまでにどのくらいの時間がかかるかは、一人ひとりの状況によって異なります。


この時の状態は、学校にもう一度行きたいと思うお子さんもいるのですが、学校に行きたいと思う子どもは少ないです。

ただ、何もすることがない、時間をもてあましているのだけれど、勉強はしなくない、何かしたい、誰かと話したい、そんな状態です。


この頃になると、お母様はお子さんの将来のことに不安を感じながらも、学校になんか行けなくてもいい!」と本気で思えるようになってこられます。

不登校の原因は、結局のところ、「これが原因!」と一つだけを取り上げて話せることではないと私は考えています。

いくつかの要因が絡み合って、不登校になるのは間違いないと思います。


ところが、元気になる時には、まず第一に必要なのはご家族の絶対的な支えだと私は思っています。

よく、エネルギーが貯まる、とか、愛情をいっぱい受け取って安心する、というのも同じことです。

自分と同じように、ご家族が学校に行かない自分を認めてくれる、とお子さんが感じ始めるのがこの頃です。

そうすると、「不登校を経験したことで気がついたことがたくさんある。」「子どもには子どもの生き方があるのに、自分達の生き方を押し付けてきた。」とお母様が自らを反省しながら、しかも、子どもを心から応援しようとお母様が思い始める頃でもあるのです。


それでも、お母様が
「外に出られるようになったんだから、学校に行けるかもしれない」
「頑張って学校に行ったら、内申点をもらえて全日制高校に行けるかもしれない」
と、つい思ってしまい、反省したり、でも学校に行けるならやはり行ってほしいと、子どもが少し動き出そうとしたり、動き出した結果、親の「欲」が再び出て、それに気がついて落ち込んだり反省したりすることもある頃です。

こうなってくると、気持ちも少し前向きになって、お子さんにもご家族にも笑顔が出てくる頃です。


お子さんの中には、今までリビングで話をしていたのに、お父様が帰ってくると自分の部屋に入ってしまい、お父様と会話することがないことも、まだまだ多く、お父様との距離は縮まってはいきません。

フリースクールや次の進路のことを考え出すようになり、お母様とお子さんの間では外に向かっていく話が出てくるのを聞いて、俄然張り切るお父様もいますが、お父様が口を挟んだ途端に、外に出ていく話が家の中でできなくなることも多々あります。

このくらい、お父様とお母様の差は大きいことが多いのは、残念ながら、男性と女性の持っているものの差なのかもしれません。男性と女性というよりは、父性と母性という方があっているようにも思います。

まだ、この段階では母性の方がお子さんにとっては必要なのです。

あたたかく包み込むように守ってもらいながら、不安な気持ちと向き合って、少しずつ外に目を向けていくためには、母性が必要だということでしょう。


子ども気持ちが外を向いてきたことで、お父様自身でもいろいろ調べ、あそこはどうだ、こうしたらどうだ、とお母様に言い出すお父様もいるのですが、少し冷めた目で「まだすぐにはそこまでできないと思うよ」とお母様に言われて、ムッとしたり、凹んだりするお父様もいます。

その結果、何となく自分が除け者にされたように感じて、寂しくなったり疎外感を感じたりされるお父様もいて、お父様の気持ちがアップダウンすることにお母様が振り回されてしまい、お子さんが、せっかく外に向いた気持ちが、また、不安になって少しの間、動けなくなることもあります。

この頃になって、ようやくお父様がお子さんの不登校がきっかけで、お子さん達、お母様、ご自身を見つめて、悩み、内省することが始まります。

お父様が深く考えられるようになっていくのも時期です。


お子さんが、自分のことを認めてくれると感じるから、ご家族が学校にもう行かなくていいと思えるようになるのか、あるいは、ご家族が学校に行かなくていいと思えるようになってくるから、お子さんが自分のことを認めてくれると感じられるようになるのかは、両方だと思います。

相乗効果だと思うのです。

ですから、お母様、お父様が先にご自身の変化の過程を知り、不登校の子どもの気持ちを本気で理解をしてあげていただき、ご自身が精神的に真剣に考えることで、不登校と向き合っていくことができれば、お子さんが動き始めるまでの期間を少しでも短くできると、私はいつもお話させていただくのです。


お父様もお母様も、お子さんの不登校をきっかけに最もご自身の心を見つめる時です。そのために名前も精神的に「充実期」であると私は呼んでいるのです。



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