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転職活動は実はじっくりやってもいいのではないかと思った一年だった

今年は初めて転職活動をした貴重な一年だった。

慎重派なぼくが転職活動を実際にしてみるというのは僕にとってかなり大ごとだったのでそこにいたるまでの振り返りをしつつ、「長い期間をかけて転職活動をしてはならない」という通説について思ったことを今日は書いてみる。

■腰の重いぼくが行動に移すまで

今まで何度も会社のことで悩み苦しみもう限界だと思ったことも3度ほどあった。肉体的につらい仕事ではないが、会社や自分へのやるせなさや、いろいろ考えすぎて精神的にもう無理だと思ったときに社内で救いとなるような出会いや、話を聞いてくれた人がおかげで今に至っている。

もともと自己肯定感が低いこともあって人一倍努力をして穴埋めをしてきたつもりだが、よくいえば責任感があるという人もいるし、悪く言えば過度に自分を責めてしまうこともあり転職する自信ももてなかった(本当はそんな深刻なことではないのに)。

会社があまりにも良くない状況になったり、ぼくがやる気を失って凹んでいるのをみると、いつもあいつがやめてしまうのではないかとか、どこいっても成功するのに何でうちみたいな会社にいるの?というようなことを言われたりしたが恩義もあるし何とか良い会社にしたいという思いがあったので今までやってきた。

—— 〻 ——

そしていよいよ昨年くらいからいろいろと「この会社もうだめかもしれない」と思うことの率が上がってきたこと、自分の魂を込めた提案やもっと良い会社にしていこうという気持ちが伝わらず、先送りとぶら下がり思考が強まったと感じてはじめて転職を2社検討した。結果1社は辞退し1社は落ちたわけだが後悔はしておらず縁がなかったという終わり方をした。

ぼくにとっては大きな一歩だった。30後半に入ったくらいでのはじめての一歩、遅すぎる一歩だが活動をしてみたことが僕にとっては大きかった。

正直恵まれた環境にはいる。上場会社で数名しかいない経営企画のポジションで経営とも近く企画や戦略、M&A、海外展開などいろいろやれる立場にはある。陰ながら努力をずーっと入社以来陰ながら毎日独学で続けてきたこと、見向きもされなかったり自分の提案が無下にされても何度も手を変え品を変え提案してきた結果ともいえるが、のこり9割は運だとも考えている。

それでもやり切ったと思えることを去年から今年にかけていくつかやったこと、それでも会社は変わらずむしろ悪い方へ向かったり、良い会社にしていこうという士気が経営層含めて上がらないことなどがっかりすることが多かったので転職活動に踏み切ったのだった。

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スタートを切るのに半年かかった。

徹底して自分を振り返ったり内省したり、企業分析を徹底して掘り下げてしまうためとにかく研究しまくった。転職本は何十冊読み、自分を棚卸する系のこともいろいろな本を読みながらやった。いろいろな経験者と食事をしたりヒアリングをした。

そして職務経歴書を作成し履歴書も作りエージェントにも登録。エージェントに会うのも背信行為だと感じドキドキだったが会社を色々と紹介してもらった時点で視野が広がったというか気持ちが楽になった気がした。

必死に沈んでいく船を持ち上げ、浮上させる努力をしてきたが、他にもこんなに選択肢がぼくの年齢でもあるんだと感じた。

一方でこの日本という環境では転職するデメリットもたくさんある。時代は変わりつつあるが、まだまだ年功序列、中途は新卒に劣後する、人間関係がゼロになるなど、そういったものを背負ってまで転職したいのかということもよく考えた。

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すでに早々と会社を見極めやめていった後輩や先輩と違ってぼくは性格的に「とりあえず適当に受けまくってみる」ということはできない。受かれば行くか、断らなければならなくなる。

第一会社をどうしてもえり好みしてしまう。仕事柄、企業戦略とか中期、長期の経営計画を作ったり、M&Aで企業価値評価や経営者のスピーチを代理で作成したりしていると、他の企業研究をしていてもだいたいの経営課題はわかってしまうし、わかってしまうからこそ「他もたいして変わらない」と思ってしまう面もあるし、「そもそも今の会社でもできることではないか」とかウネウネ考えてしまうとなかなか動けないものだ。

最初の「応募ボタン」を押すのもかなり勇気をもって押した。かなり緊張して覚悟を決めて初めての面接にいったわけだが案外普通にこなすことができて帰りの足取りは軽かった。ぼくは僕の道を進もう。そう思えた瞬間だった。

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2社受けたあとは受けていない。自分の会社でもう一回チャレンジしていろいろ提案していこうという気持ちになれたこと、来年以降、会社の体制がガラっと変わる可能性があること、本気を出せばどこかには入れるであろうことなどを総合して考えてとりあえず焦って会社を辞める必要はないという結論を付けた。

かといって会社が完全に良くなるとは到底思えないので、転職活動は長い期間をかけてずっと探していこうと思った。エージェントは案件をさばかれている感じがすごくして数か月でサービスを打ち切られるので良い思いはしなかったしこちらが言っていることを理解しようとせず急かされるので僕は今は利用しないことにした。

とりあえず検索して自分で探すか、良いと思える会社があったら直接ホームページをみて募集しているかどうかというチェックをしていくという活動を地道にしていこうと思っている。企業研究はもはや趣味のレベルなので別に募集をしていなくてもタイミングの問題なので気にせず、気楽に「自分がより成長できそうな良い会社がないかな」という気持ちを今は保てている。

ところが、だいたい転職本などを読んだりすると長期の転職活動は弊害があるのでお勧めしないというアドバイスがかなり多くことがわかる。

■ 転職活動を長期にやるデメリット

それはだいたい2つあって「エージェントの優先度が下がる」ということと、「今の仕事への影響」とという指摘をしているものが多い。

どちらも基本的に当たっている。エージェントの優先度は数か月たった当たりから一気に下がる。まるでこちらが本気じゃないようなことを言われたり、態度で示されたりするし、あと数日で紹介企業の優先度が下がるというような案内も受ける。

彼らのビジネスモデルを考えるとある意味当然のこと。とにかく求人をとってきてさばく。数を売りまくり、転職活動をしたばかりで熱い気持ちがある人から優先的にさばくというのは効率が良く、彼らのKPIは明確だ。こちらとしては熱い思いがないわけではないがじっくり考えるようなヤツを相手にしている方が成約率を考える非効率なので問答無用に優先度を落としてくる。

だからといって自分の価値が低いわけではないし、彼らのビジネスモデルにはまらないだけであるという風に考えれば特に傷つく必要もない。自分には自分のやり方で仕事を決める。そう思えばいいのだ。

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もう1点の「今の仕事への影響」。これは多くの人があると思う。元リクルートの森本千賀子さんの本にも同様の記載があり、長期でやると今の仕事に本気になれなかったり、モチベーションが下がる可能性があるということが書いてあった。

確かに転職活動初期は転職活動で頭がいっぱいになったり、仕事が終わってから面接にいくことなど疲れる作業なので本業に集中できない場合がある。また、転職活動をすることで、会社への忠誠心が失われてやる気を失ってしまう人も多いということを考えると、この指摘は適格だと感じる。

ところが腰が重く、慎重でめちゃくちゃ考える性格の僕はまったく真逆のことを転職活動をしてみたことで感じることができた。

■長期に活動するメリットもあるかもしれないと思った点

一歩を踏み出してきたこと、結果として今の仕事を頑張りながら縁が見つかるまでじっくり構えて転職のチャンスをうかがおうという今の思いに至ったのにはこんな理由が自分なりに見つかったからだ。

・タイミングをつかむチャンスを得られる

→求人を募集している会社も常に募集していない。穴埋め的な求人が多いし経営企画系の求人はそもそも少ない。そう考えると通年で探している方が案件にあたる確率があがる。

・焦らないでいられる

→じっくり構えることで焦る必要がなくなる。焦って自分の要求や、実現したいことの我慢する割合を増やして無理して自分をその求人にあてはめようとする必要がなくなる。「会ってみたら違ってた」と思ったときに我慢して無理な転職をせず断ることもしやすくなる。

・仕事に良いスタンスで取り組める

→これは意外な発見だったが、冷静に仕事に取組めるようになった。またプロとしての自覚が芽生え、仕事では一流のパフォーマンスを出していこうと客観的に会社と向き合えるようになった。結果として良いスタンスで仕事に向かうことができている。

・人間関係にドライになれる

→今の会社がすべてと思わなくなるので、本当に許せない人や人格的に許容できない人に対しても普通にドライに必要最低限の接し方ができるようになり過度に感情的にはならなくなった。ビビることも減った。この人に嫌われたら会社人生終わりだと思う人は何人かいるが、いざとなったら他人として避ければよい、たまたま同じ会社でみんな仲良くなれるわけではないと思えたのは大きかった。

・いつでも職務経歴書を出せる状態でいれる

→本当に緊急的に辞めたいと思えることがあった場合や、一気に転職熱があがるようなことがあった場合に、いつでも出せる職務経歴書を日付をかえて出せる状態というのは精神的にも良い。もし「これだ!」とおもえる求人があったときにも即座に対応できるし、自分の棚卸は済んでいる。そう思えると待ち構え戦法というか、ルアーを垂らして待っていられる状態なのでスタートダッシュを切れる状態でいれるというのは精神的にも良い効果があるようだ。

—— 〻 ——

仕事が早いと会社では言われることが多い(自慢ではありません)が、自分のことになると超絶慎重でスローになってしまう。

そんなカメのぼくに合った転職活動のやり方でいいんではないかと思った一年だった。

来年、「もし」いい出会いがあれば移れたらいい。「もし」いい出会いがなくても今の会社をよくする努力を日々続けていこう。

今はそんな思い。

keiky.

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