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新たな産業革命が作り出すSociety 5.0は何の時代?

ぼくたちが生きているこの2020年も産業革命がおこっているといわれている。産業革命というのは定義が曖昧な面があるが、それでも人類の歴史において革命的なことがいま起きているということだ。

そんな革新的な変化がぼくたちの生活をどう豊かにしてくれるのか、どのような時代になっていくのか少し考えてみる。

■ぼくたちが体感しているのは第4次産業革命

産業革命というのは過去3回起きているといわれている。その4回目が今まさにぼくたちが経験している産業革命といえる。それぞれ何が革命的だったか簡単に振り返りたい。

■第一次産業革命を実現した水の管理テクノロジー

第一次産業革命は狩猟から農耕の時代への進化を表している。いままで狩猟を中心としてライフスタイルでは増え続ける人口に耐えられなくなったということが実は背景にある。人口が増えると安定した食料が必要になるが、狩猟に頼っていては動物をとれるかとれないかとても不安定だった。

こうした中、人類が農耕を実現することで、村や街が作られ、コミュニティー(社会)が形成されるきっかけとなったことを考えると、第一次産業革命はまさに最初の産業革命にふさわしい変化といえる。

社会の形成に加えて農耕には「マネジメント」がとても重要なファクターである。作物を育てるにはいつ作物を植えて、どんな栄養を与えて管理するかという1年間の経営計画が必要になる。作物のマネジメントには数学や天文学、測量などの技術が不可欠であり、社会の形成とともにこういった学問の分野も一気に人類のレベルを押し上げた。

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こういったことが可能になったのはとても重要なテクノロジーがった。それが水を管理するというテクノロジーだ。このテクノロジーがなかったら社会も形成されていないし、様々な農業を通じて得られる技術について人類が体得することはなかったかもしれない。

初期の農耕は完全に自然任せで雨が降って水がたまる場所や川のそばでしか農業は行えていなかった。紀元前3000年ごろの話といわれている。これでは安定した農業が実現できないということで古代エジプトのファラオがはじめて人工的に水を管理するテクノロジーを生み出した。

流れ続ける川の水をオアシスに「貯水」するという干拓事業を成功させ、乾季にも農業ができるようになって年中農業ができるようにしたのだ。この事業のおかげで農業は安定性を得ることができたといわれている。

あとあと人類が受けた恩恵がいかに大きいかを考えると農耕の偉大さを感じずにはいられない。

■第二の産業革命の立役者は蒸気

第一次産業革命が起きたのがエジプトであれば、第二の産業革命はイギリスで起こった。その革命を実現したのは蒸気というテクノロジーで、それを生み出したのはジェームズ・ワット。1800年代前半のこと。

正確に言えばワットよりも前に蒸気を研究して生み出していた人は何人かいたが、ワットがそれを使えるものに仕上げたといわれている。蒸気の技術は蒸気機関を生み出し、蒸気機関は鉱山の採掘や排水用に実用化されはじめる。

この蒸気のテクノロジーはガスやガソリンを燃料にするエンジンや、それを動力に電気に変える発電の技術につながっていく。

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これらのテクノロジーが組み合わさることで自動車が世の中に出回るようになる。最初はゴットリープ・ダイムラーが世界で初めて二輪オートバイや四輪自動車を発明しカール・ベンツもこのころ四輪自動車を作っている。

ダイムラーやベンツの名前からわかるように彼らが現代の自動車産業を作り上げており、時期的には1900年前後のことだった。

こうして第二次産業革命が実現した社会は「工業の時代」といわれており、蒸気からガス、ガソリンを使ったエンジン、発電への流れがなければ実現しえなかった。

■第三の産業革命はコンピューターが実現した

それは1930年ごろのことだった。第三の産業革命はまさに情報の時代といわれていて、それを実現したのがもはや説明が不要なほど社会に浸透したコンピューターのテクノロジーだった。

最初に計算が自動化したことが社会の様々な活動をけん引したといわれている。

ぼくらがイメージするようなパソコンの姿ではなく巨大な装置ではあったが、コンピューターのおかげで数学や化学などの学問、物理工学や経済学に至るまで様々な学問が発達したといわれている。

■第四の産業革命はデジタルテクノロジーが支えている

第三の産業革命がコンピューターの登場であれば、その流れに続いているのがぼくらが今生きている第四の産業革命の時代を支えているのはデジタルテクノロジーだ。

コンピューターがうまれた1930年ごろからこの発想はあったものの、実際に爆発的に進化を遂げたのあデジタルテクノロジーとコンピューターの融合が実現したからに他ならない。

そのデジタルテクノロジーのもっとも根幹をなすのがインターネットの登場。オープンな仕組みとして"WWW=world wide web"が考案されたころから一気に技術的な進化も進んだ。

GoogleのCEOやAppleの役員を務めたシュミット氏はクラウド技術の生みの親とされているし、スマホをヒットさせたジョブスが最初に世に送り出したiphoneは2007年のことなので、そんなに昔の話でもない。

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そして現在、もっともホットな技術としてIoTやAIが研究されている。IoTのは実は日本の研究者が生みの親といわれていて、東大名誉教授の坂村健氏が提唱したといわれている。

AIの概念のほうは実は第三次産業革命のころから研究されている。最初にコンピュータを生み出した研究者たちは終戦後にすでにAIの研究をはじめていて、機械が自己増殖できることを研究していたり、コンピューターと脳に係る研究もされていた。

そのAIの技術はさらに進化を遂げ、次のぼくらの生活をどう変える存在なのかまだ全貌がわかっていない中、研究が進んでいる。

■第四次産業革命は「~の時代」を作ったといえるだろう

第0次産業革命(道具)が狩猟の時代を作ったーSociety 1.0

第一次産業革命(水の管理)が農耕の時代を作った。ーSociety 2.0

第二次産業革命(蒸気)が工業の時代を作ったーSociety 3.0

第三次産業革命(コンピューター)が情報の時代を作ったーSociety 4.0

第四次産業革命(デジタルテクノロジー)は"何の時代"?ーSociety 5.0

Society 5.0という言葉が独り歩きしていて、実は中身が決まっていない。あとから振り返ったときにぼくらの時代というのは何の時代だといえるだろう。

Society 5.0の社会がどういった社会か?というのは一応日本政府の文書の中で以下のように定義されている。

「必要なもの・サービスを必要な人に必要な時に必要な量だけ提供し、社会の様々ななニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢・性別・地域・言語といった様々な違いを乗り越え、生き生きと快適に過ごすことができる社会」

これは何の時代だといえるだろうか。次のテクノロジーが出てきた時点でぼくらが今生きている時代は過去の時代として「XXの時代」といわれるのかもしれない。

次のテクノロジーは何だろう。第五次産業革命はいつどんな形で起きるのだろうか。そのころぼくらは幸せなのだろうか。

子どもたちにとって、きっと幸せな社会が来ていると信じたい。

keiky.



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