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【脳科学】なぜ人は変われないのか


いきなりですが、
人の脳には「現状維持バイアス」という性質があるのをご存じでしょうか。


「バイアス」とは、「偏り」の事で、
心理学では「偏見」「先入観」「思い込み」などと定義されています。
人の脳には、現状維持を好む性質があるということです。



さらに人の脳には「危機回避性」という性質もあります。
現状を変えることによって生じる利益があっても、生じる不利益のほうに目が行って、前に踏み出すことができないのです。

つまり、変わろうとしても、「強力な動機が無いと現状を変えない」「物事がうまく回っていたら、新しい方法を試そうとは思わない」のです。


例として、以下の二つの質問について考えてみます。

【質問1】
あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
 A:100万円が無条件で手に入る。
 B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。

【質問2】
あなたは200万円の負債を抱えているものとする。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
 A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
 B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。

質問1は、どちらの選択肢も手に入る金額の期待値は100万円と同額である。にもかかわらず、一般的には、堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多いとされている。
質問2も両者の期待値は-100万円と同額である。安易に考えれば、質問1で「選択肢A」を選んだ人ならば、質問2でも堅実的な「選択肢A」を選ぶだろうと推測される。
しかし、質問1で「選択肢A」を選んだほぼすべての者が、質問2ではギャンブル性の高い「選択肢B」を選ぶことが実証されている。

この一連の結果が意味することは、人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向(損失回避性)があるということである。

質問1の場合は、「50%の確率で何も手に入らない」というリスクを回避し、「100%の確率で確実に100万円を手に入れよう」としていると考えられる。
また、質問2の場合は、「100%の確率で確実に100万円を支払う」という損失を回避し、「50%の確率で支払いを免除されよう」としていると考えられる。


人の脳は、損失を利益より過大に見積もってしまう。
残念ながら、「人の脳は変化を好まない」のです。



さらに、変われない人の一連の流れを身近な例で考えてみます。

「年末年始で飲み会が続き、5キロ太ってしまった…元の体重に戻すためにダイエットしたい!」
という方がいたとします。

この方の心理状況および脳がどう働くのかというと…

「痩せたいけど、面倒くさいなぁ…夜は飲み会も多いし、いちいちカロリー気にするのも面倒だなぁ…(脳:現状維持したい)
「痩せていた方がモテるだろうけど、飲み会の回数が減って出会いが減るのも嫌だなぁ…(脳:危機回避したい)


きっとこういう方は痩せない。(変わらない)


そして、ここで例えば、ずっと片想いしていた異性と1か月後デートの約束に漕ぎつけたとします。(強力な動機)


こうなると、おそらくほとんどの方が一時的に痩せます。
その後リバウンドする可能性は大いにありますが…(笑)

後半の例は雑すぎましたが、これらの例からお伝えしたかったことは、
人は、強力な動機がないと、「現状維持バイアス」「リスク回避性」などの脳の機能により、変わりたいと思っていても、なかなか変われないということです。


私は、2015年から働き方改革をテーマに
人事や総務、経営者向けのコンサルティングをしてきました。

5年前に比べると、世の中の改革も、特に都市部や大手企業をはじめとし
随分と変わってきたように思います。

実際に私も国や自治体、大手から中小まで様々な企業様をご支援させたいただきましたし、企業の仕組みの部分(制度やIT環境、業務の仕組み改善など)はここ数年で本当に大きく変わったと思います。

一方で、まだまだ課題が残るのが、そこで働く人の「意識」、そして「行動」の部分です。

上記の例でお伝えした通り、人を変えるのは結構難しい。
「強力な動機」をどう見つけ、自分事として落とし込み、そして意識を変え行動を促していけるか。
これから考え、取り組んでいかなければいけないところです。



ふぁいと、私。



参考文献📚:
予想どおりに不合理(https://a.r10.to/hbG8M6)
ファスト&スロー上(https://a.r10.to/hI8VR6)
ファスト&スロー下(https://a.r10.to/hIIHYb)
ヤセないのは脳のせい

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