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【心理学】人はコンプレックスを克服できるのか

コンプレックスとは

形は違えど、きっと誰しもがコンプレックスを抱えて生きています。(もちろん私も。)どんな人でも、自分の好きな部分と嫌いな部分の両方を持っています。この厄介なコンプレックスという存在と、人はどう向き合っていけばよいのでしょうか。

本来、「コンプレックス」という言葉は「複合の」や「合成の」という意味に当たります。日本では、アドラーが人の持つ劣等感のことを「劣等コンプレックス」という言葉で表現した事にかなり影響を受けており、コンプレックス=劣等感というような意味のイメージを持つようになりました。

人は、他人と比べて自分が「劣っている」という気持ちが強くなりすぎると、自分を責めてしまったり、時にはその気持ちをごまかすために相手を攻撃したり嫉妬したりしてしまいます。(やたらと嫌味を言う人や、マウンティングしたがる人も、きっとこの類なんでしょう。)

そのような複雑な心の中の働きを「劣等コンプレックス」と呼びます。

劣等コンプレックスと優越コンプレックス

コンプレックスについて調べていたら、アドラー心理学にたどり着いたので、こちらではアドラー心理学の考え方を中心にお話しします。

アドラー心理学では、「劣等コンプレックス」の他に「優越コンプレックス」についても述べられています。そして、どちらも同じ「劣等感」からくるものとしています。

劣等コンプレックス:
自分が人より劣っているという劣等感を感じ、落ち込んでしまっている状態のこと。(自己否定、自己嫌悪、嫉妬など)
優越コンプレックス:
自分は人より優れているという優越感に浸り、自分の中に隠れている劣等感を誤魔化している状態のこと。

「劣等感が、自己成長するための心の原動力になるなら、劣等感はむしろ持っていたほうがいい」とアドラーは述べています。
自分の劣等感(コンプレックス)と向き合い、それをどう原動力に変えられるのかというところが、実はとても重要なのかもしれませんね。

アドラー心理学に学ぶ

19世紀生まれのユダヤ系オーストリア人心理学者、アルフレッド・アドラー。アドラー心理学の特徴は、「すべての悩みは対人関係の悩みである」とした上で、フロイト的な原因論を根底から覆す「目的論」の立場をとるところにあります。

たとえば、「子どものころに虐待を受けたから、社会でうまくやっていけない」と考えるのがフロイト的な原因論であるのに対し、アドラー的な目的論では「社会に出て他者と関係を築きたくないから、子どものころに虐待を受けた記憶を持ち出す」と考えます。
つまりアドラーによれば、人は過去の「原因」によって突き動かされるのではなく、いまの「目的」に沿って生きているということなのです。

こうしてトラウマを否定するアドラーは、人生(生き方)とはいつでも選択可能なものであり、過去にどんなつらいことがあったとしても、これからどう生きるかには関係がない、と唱えました。
人は変われないのではなく、ただ「変わらない」という決心を下しているに過ぎない。いま幸せを実感できない人に足りないのは、能力でもないし、お金でもないし、恵まれた環境でもない。変わること(幸せになること)に伴う「勇気」が足りないのだ。それがアドラーの主張でした。

そのシンプルにして深淵な思想は「勇気の心理学」とも呼ばれ、デール・カーネギーら自己啓発のメンターたちにも多大な影響を与えました。ちなみに「劣等感」という言葉を、今日われわれが使うような意味で最初に用いたのはアドラーです。

劣等感を持ちやすい人の特徴

・完璧主義
少しの失敗やズレを許せない。何やっても完璧でない自分に気づき、その自分に耐えられなくなる。真面目な人であればあるほど、劣等感に陥りやすいのかも。

・理想が高い
自分が理想としているものと現実の差分になかなか向き合えず、自己肯定感が低くなる。自分はやればできると思いつつ、できない自分をリスクに感じ踏み出せない。

・他人と比較する
周りの人と自分を必要以上に比べて安心したり、不安を感じたり、そして落ち込んだりする。自分の劣っているところばかりに目が行きがちになる。

劣等感の解消方法

・できない自分を受け入れる
まず己を知り、それをただただ受け入れる。

・自分と物事を分けて考える
必ずしも自分と出来事の間に因果関係があるものではない。原因ばかりに目を向けるのをやめる。

・人と比べない
比べることで安心感は得られない。「よそはよそ、うちはうち。」くらいの気持ちで構える。

・失敗の理由でなく、どうやったらできるかを考える
「失敗」を「失敗」と思うから失敗なんだと。どこかで成功できたらそれは失敗でもなんでもなくなる。失敗の理由を考えるよりも、どうやったらできるかを考える。

まとめ

他人と比べても、失敗の理由を探しても、自分のコンプレックスが拭えることはない。人は過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定しています。人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです。
つまり、比べるより、失敗の理由探すより、まず自分が何をしたいか。そして自分がその起こった出来事や経験をコンプレックスと思うのか否かで、その経験や出来事の意味が変わるということです。

どんな人生を歩みたいか。その上でいま目の前に起こった出来事をどう捉えるか。それが重要な気がします。



参考書籍:
嫌われる勇気(📚:https://a.r10.to/hlsU1E)
アドラー心理学入門(📚:https://a.r10.to/hI2SnY)
アドラーに学ぶよく生きるために働くということ(📚:https://a.r10.to/hI2SnY)


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