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【中編】アイデア整理にきくレバレッジポイント −フレームワークとして−

前回の簡単な復習

・システム思考で使うシステムへの介入ポイントは12個ある。

・そのポイントをレバレッジポイントという。

・レバレッジはてこという意味・数字が小さくなるほどインパクトが大きい

・システムのダイナミクス(動き・挙動)をストックとフローで表す

・システムは動的に変化している。

・システムのダイナミクスは、インフローがあり、ストックする場所があり、アウトフローするという流れがある。

・システムのダイナミクスを左右する力学には、バランスを取ろうとするバランス型のフィードバックと正にも負にも強化し続ける強化型のフィードバックがある。

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それでは12個あるレバレッジポイントをひとつひとつ説明していきます。ソースはもちろん「世界はシステムで動く」です。中編・後編は文字多めです。ご容赦ください。


レバレッジポイント 12 - 7
12.数字:補助金、税金、基準などの定数やパラメータ


まずは一番インパクトが小さいポイント「数字」です。このポイントは、かなり簡単な介入です。事例からいった方がわかりやすいです。


例えば、ストックを自分自身の銀行口座だとしたら、フローは預入と出金です。このシステムに介入したいなぁって思い「数字」を使ったとしたら、、、


手数料の上下
ってことや金利などを上下するっていうことなんですね。数字をいじることでダイナミクスに介入する。銀行口座を持つ人の意識を、数字で左右するということですね。手数料が高ければ出金・アウトフローを制限するかもしれませんし、金利が高ければ入金・インフローの動機になるかもしれません。


移住政策、空き家改修など補助金が出たりしますが、お金のインセンティブに関してシステムに介入するポイントが「数字」なんですね。よくよく考えれば一番使ってる手法かもしれませんが、一番インパクトが小さいと考えられてます!


11.バッファ:フローと比較したときの安定化させるストックのサイズ


インフロー、アウトフローに対して大きなストックを用意する。大きなストックは、小さなストックに比べて安定している。その分、バッファ(余裕)がでるということ。


例えば、車でも、製品でもいいですが、在庫をストックとして考えると、理解しやすいです。お客さんの注文(アウトフロー)があったときに、在庫があるとすぐ対応ができたり、多くの注文も受けることができますよね。ストックを大きくすることで対応力が増すということです。余裕があるということなんです。


ただ、バッファーの容量を大きくしてシステムの安定化を引き換えに、融通が効かなくなることもあります。ストックを維持するのにもコストがかかります。


10. ストックとフロー構造:物理的システムとその結節点


ストックとフローの構造そのものをちゃんと設計時にちゃんと設計しましょうね、考えましょうねというポイント。

かつてハンガリーでは国の片側から反対側へ行くすべての交通がブダペスト中心部を通らなくてはならない道路システムになっていました。当時の大気汚染や通勤の遅延は、その道路システムによって決定づけられており、汚染制御装置や信号、速度制限などでは簡単に解消できないものでした。


もし間違ったシステムがあれば、その構造そのものを構築しなすことが考えられるが、大きなシステムほど、再構築が難しくなったり、コストがかかるので、設計の段階がやっぱり肝となる。


僕的にはドネラさんに、もしこの介入ポイントに一言付け加えるなら、「破壊」。もし間違ったシステムの再構築を考えてコストをかけるより、破壊して一から考えたほうがキレイなものができるんじゃないかなって感じています。


9. 時間的遅れ:システム変化の速度に対する時間の長さ


時間的遅れは、システムに関するフィードバックの時間的な遅さを示します。このポイントは、介入ポイントというよりシステムを設計時にちゃんと考えましょうねっていう10の見方と一緒かもしれない。


例えば、車の事例でいくと、自分たちの目標(売り上げ)を達成するために車の在庫(ストック)を調整しようとしているのに、ストックに関する情報が遅れて入ってきたとしたら、目標に影響を与えます。(今の社会で在庫が確認できないなんてことはないと思いますが、、、)


本の中では、電気の需要量の供給量の事例が出てきます。発電所を建てようと思っても建設に数年かかったりします。その数年が時間的遅れってわけです。その間に新しい技術が開発されたりすると、ストックの調整に変化が出たりする。


都市部で、保育園に入れる園児が溢れてるいからといって、保育園をバンバン立てると10年後、20年後の需要がわからないように、変化の速度に大して、時間的な遅れを鑑みてシステム設計やインフロー、ストック、アウトフローに注力しましょうっていうこと。


まちづくりの文脈において、地域の重鎮が物事を決めたり、影響力を強めたりすることが多いと思うのですが、本当に必要なのって10年後、20年後に需要ストライクになる子どもだったり、若者だったりするわけなんですよね。


まちづくりの文脈では、時間的遅れを勘案して、若い人たちが決定権を持つっていうことも、このポイントから読み解けるかもしれませんね。


8. バランスをとったフィードバック ループ:是正しようとする影響に関連したフィードバックの強さ


バランス型のフィードバックの例で一番わかりやすいのは、サーモスタットかもしれません。要は、温度を一定に保とうとする機能のことです。

サーモスタットの目的は、「室温」と呼ばれるシステム内のストックを望ましいレベルの近くでほぼ一定に保つことです。


バランスのフィードバックはいろんな社会システムの中で見れると思います。三権分立もいいバランス型のフィードバックかもしれません。権力分散をしたり、お互いにケアし続けることによって大きな権力の暴走をふせぐ。

バランス型のフィードバックループの強さ、つまり、「指定されたストックを、その目標またはその近くに保つ力」は、すべてのパラメーターとつながりのの組み合わせによって決まってきます。モニタリングは正確か、迅速か、対応はすばやいか、力強いか、修正フローは直接的か、その大きさは、といったことです。


ドネラがいわんとしていることは、ストックのバランスを保つときに、つながりを持つパラメーターが適切に機能してるかっていうこと。例えば、前回の記事で「体重」をストックとしてあげましたが、適切な食事というインフロー、適切な運動というアウトフローがあって、適度に「体重」というストックがバランスを保てるはずなのです。

何かうまくいっていないときには、バランスを取ろうとする力学の何かが強かったり、弱かったりするのかもしれません。

7. 強化したフィードバック ループ:ループを動かす強さ


自己強化型フィードバックループはシステムにおける成長・爆発・侵食・崩壊を引き起こします。

自己強化型のフィードバックは、システムを正の方向にも、負の方向にもドライブさせます。ただ、遅かれ早かれバランス型のループが作動します。例えば、世界では人口が増え続けていますが、110億人でピークを向けるといわれています。日本も人口のピークをむかえ、人口が減り始めています。

幾何学的に成長し続けることはほとんどないので、どこかでバランス型のフィードバックがききはじめるのですが、力のある人たちが強化するフィードバックをし続けるシステムには注意が必要。例えば、成功者はさらに成功する強化構造が強まると、「累進課税」「相続税」「誰もが受けれる質の高い公共教育」などのバランス型フィードバックが弱まってしまい、パワーのある人が有利な世界になってしまう、とドネラは書いています。


フレームとして


一個一個のレバレッジが現実世界において何と何に当たるかなと考えだすとむずかしい。けど、厳密に当てはめるより、フレームとして使ってみると、やはり違う視点が得れると思う。


時間的遅れがあったら、どうなるか、とか。事象においてバランスをとっているもの、正・負の力学を働いてるものは何か、とか。


文字多めで申し訳なかったです。今後時間が確保できれば、図解を挿入していきたいです。


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