遠入のどか

言葉は、 人を喜ばせる。 人を怒らせる。 人を悲しませる。 人を楽しませる。 せっかく…

遠入のどか

言葉は、 人を喜ばせる。 人を怒らせる。 人を悲しませる。 人を楽しませる。 せっかく使うなら、正しく使わなきゃ。        そして敬語は和を導く生きる知恵。 敬語と電話応対の講師をやっています。

マガジン

  • 毎週水曜日はコールセンターの話

    コールセンターのオペレーターからリーダー、SV、企業向け電話応対研修講師へと叩き上げた経験から学んだことを書いていきます。電話応対に必要なこと、コールセンター運営に必要なこと、コールセンターあるあるなど。よろしければ、お読みください。 毎週水曜日に更新します。

  • 毎週金曜日は気になる敬語

    敬語は本来、敬意を伝えるツールであり、人間関係を見える化する便利なツール。そんな敬語の有用性を見直し、100%活用するために、ポイントや誤用例を紹介します。毎週金曜日に更新しています。

  • 遠入のどか の本棚

    私がこれまでに読んだ本の中から、お勧めの本をピックアップしてご紹介します。 古書が並ぶ本棚のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20160701195post-8400.html

  • のどか の銭湯日記

    近くの銭湯に行ったときの記録です。たまにはスパ銭なんかにも行ったら書きます。遠くの温泉に行けたら、もちろん書きます。銭湯好きな人に見てほしいです。(ヘッダー画像は、今はなき鴎外温泉)

  • あたらしい憲法

    憲法について、いろんな方の考えを拝読したいと思います。 よろしくお願いいたします。 https://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html

最近の記事

電話の向こうに垣間見えるものが辛い時

電話をかけてくる人のうちには、客の立場を利用して不当な利益を得ようとする人も、残念ながらいます。 フリーダイヤルをいいことに話し相手を求めるお年寄りならば、あまりむげにはできません。業務に支障が出ないくらいは話を聞いてあげて、なるべく傷つけないように話を切り上げます。それでも、この電話が実は喜ばれていないことを、かけてくる方も分かっているんだろうなと感じられる瞬間が、時にあります。そんなときは、それでも話し相手になってほしいと思って電話をかけてくるその人に心の中では「ごめん

    • 敬語は不平等か?

      以前、とある文章を読んで、「やっぱり、今認識されている敬語ってこういうことだよなぁ」と現実を突きつけられました。それが、作家である橘玲氏のこちらの文章です。 いや、私に言わせれば、「ビジネス敬語」には、「部長は平社員よりも人間として尊い」なんて含意はないし、どちらかというとあっては困るんだけど……。 ということで今回の記事をお届けします。 ご高覧くださいませ。 権力を抑制し個人の自由を最大化することを目指すリベラリズムには、万人が平等であり、誰もが等しく人権を持っている

      • コールセンターには黒と白とグレーがある

        「白黒はっきりつけようじゃねぇか!」 テレビで聞いたことがあるようなセリフですが、現実には白黒がはっきりしている事柄などそうそうあるものではありません。 しかし、仕事がそれでは困りますので、すべきこととやってはいけないことをはっきりさせるべくマニュアルを整備します。それは、コールセンターでも同じです。 ただし、人を相手にするコールセンターでは、どうしてもマニュアルどうりにいかないことがあります。それは入電者もそうですし、業務を依頼するクライアント企業の判断がマニュアル化でき

        • 敬語が世界を平和にする『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』〜読書感想文#41の④

          この本の著者は金谷武洋。カナダで25年日本語を教え続けた先生です。 先週は、他動詞のSVO構文を基本とする言語が二元論と支配につながるという著者の説を受けて、敬語はそれを否定すると述べました。 自己主張には自己主張を、敬語には共感をそれでは、英語では平和になれないのでしょうか。私はそんなことはないとも思っています。 もし、相手を単に支配することが目的なら、こちらが自己主張をし、相手は自己主張をしないのが最適です。しかし、英語圏では小さい頃から自分の意見を言う場が与えられ、デ

        電話の向こうに垣間見えるものが辛い時

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        記事

          コールセンターで一番敬語が上手かったのは

          コールセンターで働いている方、コールセンターでなくとも接客だったり社外の人と話す機会がある方なら、大概は敬語を使うことがあるでしょう。 この敬語が曲者で、私の経験上、どこのコールセンターに行っても過剰敬語や間違った敬語が飛び交います。 そんな中、とてもきれいな敬語を話すオペレーターが一人いました。 その人は韓国人留学生でした。 大学生は若くて物覚えもよく、また自分で学費を稼がなければならないような苦学生は、勤務態度も非常にまじめです。彼女もそんな一人でした。 ただ、日

          コールセンターで一番敬語が上手かったのは

          支配は力と正義を欲する『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』〜読書感想文#41の③

          この本の著者は金谷武洋。カナダで25年日本語を教え続けた先生です。 先週は、母語の重要性についてご案内しました。 日本語が世界を平和にする理由今回取り上げたいのは、以下の言葉です。 この文章を読んで心が震えました。 私が敬語を広めたい理由が、まさに書かれていたからです。 別に英語であるに限らず、たとえ日本語であっても、SVO構文は「支配」と「力」と「正義」を伴いやすくなります。そして、「支配」や「力」や「正義」と相性がいいのは「物事はこうあるべき」という決めつけで、「愛

          支配は力と正義を欲する『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』〜読書感想文#41の③

          二次対応は必要以上に行わない

          コールセンターにはクレームが付き物です。 一次対応者の手に負えなければ、二次対応者が引き継ぎます。 このとき、本来二次対応者が引き継ぐ必要のないものまで対応してはいないでしょうか。 例えば、返品を希望する客に対し、それはできないと回答してクレームになったなら、二次対応者に代わり納得してもらった時点で通話も終わります。 一方で、本人確認に協力したくないとのクレームで上司に代われと言われたなら、上司は本人確認が情報提供に先立ち必要なものであり、どうしてもご協力願わねばならないと

          二次対応は必要以上に行わない

          日本語で考えるために日本語を知る『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』〜読書感想文#41の②

          この本の著者は金谷武洋。カナダで25年日本語を教え続けた先生です。 先週は、日本語に主語はいらないという主張をご紹介しました。 思考は言語に影響されるさて、サピア=ウォーフ仮説なるものをご存知でしょうか。 母語によって、その話者の思考や概念のあり方が影響を受けるという仮説のことです。 人は、母語によってものごとを考え、母語によって世界を把握します。だから、母国外で子どもを産み、自分たちの母語ではない外国語で子育てをしてしまうと、しっかり考えたり感じ取ったりする力が養われな

          日本語で考えるために日本語を知る『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』〜読書感想文#41の②

          電話に出ると緊張します。どうしたらいいですか?

          誰でも、初めてもことは緊張するものです。 まして、今は一人一台スマホの時代。級友に電話するのに家に架けて、電話に出たご家族に取り次いでもらうなんて経験をせずに大人になった人たちが、初めて見ず知らずの他人に電話したり、誰か分からない人から電話を受けるのですから、おっかなびっくりでも当然です。 そんな、コールセンター勤務が初めての人によくあるのが、緊張して頭が真っ白になってしまうことです。 ロープレでもできて、紙のテストでも難なく答えられたことが、電話になると答えられなくなっ

          電話に出ると緊張します。どうしたらいいですか?

          過ちを繰り返さない『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』〜読書感想文#41の①

          この本の著者は金谷武洋。カナダで25年日本語を教え続けた先生です。 私はよく、敬語を使うことで上下関係が明確になり主語を省くことができます、と説明していますが、著者によると、「日本語に主語はいらない(p.143)」のだそうです。 省くことができるというのは、本来必要ということですが、それは英文法を基本に考えるからそういう発想になるのであって、本来の日本語に主語は不要なのであり、主語がないと意味が通りづらいときなど、必要に応じて付けることができるというのです。 このように書く

          過ちを繰り返さない『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』〜読書感想文#41の①

          上達の近道~上手い人から学ぶ

          先週まで、いろいろと分かりやすい説明のためのノウハウをお伝えしてきましたが、やはり電話はうまい人の応対を聞いてそれを真似てみるというのが一番です。百聞は一見に如かずと言う通り、「漢字よりも和語のほうが伝わりやすい」ということを情報として知るのと、実際にそうしている人の応対を見聞きし、相手の反応の違いを目の当たりにしたほうが、納得もできますし、真似もしやすいでしょう。 とあるコールセンターに、とても対応の上手い人がいました。 謝罪するにしても、相手が怒っているポイントにズバッ

          上達の近道~上手い人から学ぶ

          『お白洲から見る江戸時代』~読書感想文#40の⑤ 「仕来り」から現代へ

          表題の本をご紹介しながら、敬語と共通する考え方、現在にも通じる組織運営の在り方を考察しています。 先週は、治者が自らを厳しく裁く自浄作用が、民の信頼を生んでいたであろうこと、治者の目が民を向いていたように思われることなどを書きました。 今回はその最終回です。 「仕来り」とは「仕来り」というと、古めかしく役に立たないもの、打破すべきものと捉えられがちですが、江戸時代は「仕来り」を大事にした時代でした。では、その「仕来り」とはどういったものでしょうか。 今、受け継ぐべき本質を

          『お白洲から見る江戸時代』~読書感想文#40の⑤ 「仕来り」から現代へ

          分かりやすく説明する12/12~笑顔で話す

          笑顔で話せばさぁ、いよいよ最終回です。 最後は、笑顔です。 分かりやすく説明するのと笑顔と、何の関係があるのでしょうか。 もちろん、ありますとも。 辛気臭い話と楽しい話なら、どちらが聞きたいですか? 自分のことを嫌っている人と、自分と話すのを楽しんでくれている人と、どちらの人の話を理解したいですか? 後者ですよね。 もちろん、遊びに行くような楽しい話ではないかもしれませんが、それでも、なるべく笑顔が伝わるように話せば、多少の言い間違いも許してやろうという気持ちにもなり、も

          分かりやすく説明する12/12~笑顔で話す

          『お白洲から見る江戸時代』~読書感想文#40の④ 組織の自浄作用

          表題の本をご紹介しながら、敬語と共通する考え方、現在にも通じる組織運営の在り方を考察しています。 先週は、身分の上下に応じて席を決めるが、それは責任の重さをも表し、罰は重くなるという話をしました。ふさわしくない行動をしたとお裁きがくだされた治者は高いところから文字通り引きずり降ろされ、そして、それによって被治者である民は納得したろうと書きました。 今回はその4回目です。 本書は私に、新たな江戸時代のイメージを与えてくれました。そして265年もの間、平和に統治ができた理由を垣

          『お白洲から見る江戸時代』~読書感想文#40の④ 組織の自浄作用

          分かりやすく説明する11/12~ポジティブに話す

          ネガティブな話し方とは誰もわざわざネガティブに話そうとは思っていませんよね。 だから、ネガティブな話し方とはどんな話し方か確認しておきましょう。 「契約していない人は使えません。」 「赤なら在庫がありますが、白はありません。」 施設を利用しようと出かけていったのに、「使えません」と言われ、 白が欲しかったのに「ありません」と言われたら、なんだか世の中で自分一人が嫌われているような、不運な星の下に生まれついたかのような気がします。 そして、そんな人の話は聞きたくなくなりま

          分かりやすく説明する11/12~ポジティブに話す

          『お白洲から見る江戸時代』~読書感想文#40の③ 引きずり降ろされる為政者 

          表題の本をご紹介しながら、敬語と共通する考え方、現在にも通じる組織運営の在り方を考察しています。 先週は、上下関係を正しく可視化してお白州に表現することで、天皇や神仏の権威に頼ることなく現実の秩序を守ろうとしたと書きました。 今回はその3回目です。 権威に頼らずとは言っても、斬り捨て御免の武士においそれとは逆らえないし、江戸時代は非常に罰が厳しくて、すぐに死罪や流刑になったとも聞きますから、やはり民衆は怖くて逆らえなかっただけなのではないでしょうか。本心は虐げられて不満が溢

          『お白洲から見る江戸時代』~読書感想文#40の③ 引きずり降ろされる為政者