見出し画像

地域共生のまちづくりに欠かせない、医療・介護・福祉をごちゃまぜにする総合診療医。

ひと言で「まちづくり」といっても、いろんな切り口があって、なにが正解かは、対象となる自治体が抱える課題の優先順位によりますよね。

ただ、都農町のような1万人の町、かつ高齢化40%の過疎地にとっては、医療・介護・福祉がまちづくりの最重要課題なのではないでしょうか。

とはいえ、一般の住民や、ぼくらまちづくりのプレイヤーにとって、この領域が一番手をだしにくく、敷居の高い聖域。そもそもわからない。。

1.地域共生社会とは

世の中的には、地域医療・地域包括ケアシステム・地域共生社会と、地域と名のつく理想の姿はよく言われているところではありますが、わかりやすい実践例が少ないからか、まだよくわかりません。

たとえばこんな図

地域包括ケアシステムはこんな感じ。

少しでもわかりやすく、という趣旨で、宮崎大学医学部さんから委託をいただき、ローカルけんこうメディア「つのまる」を制作しました。

イラストや漫画を多用して、少しは理解に近づけるのでは!という期待を込めて。自分の理解は少し深まりました。

民間や若者がもっとまちづくりに関わるきっかけをつくりたい「つの未来会議」で、この「地域共生社会」や「総合診療医」をもっと身近に感じてもらえるよう、宮崎大学医学部の吉村学教授をゲストにお招きしました。

こんな感じでサプライズ登場

2.地域医療とは

都農町は2019年、ふるさと納税で全国から集めた寄付金を原資に、町長曰く”究極の返礼品”として、宮崎大学医学部に寄附講座「地域包括ケア・総合診療医学」を開設、全国の過疎地や医師不足に悩む自治体の参考モデルづくりをはじめています。

吉村教授と町長からはじまった話です。


いま現在、都農町立病院には、宮崎大学の総合診療医が4名常勤し、医学生たちも12週間の連続滞在をして、地域実習を優先した独自のプログラムを実践されている全国でも稀有な事例です。

宮崎大学医学部の学生さん6名が当日参加

地域医療とは?

医療人、住民と行政が三位一体になって、担当する地域の限られた医療資源を最大限、有効に活用し、継続的に包括的な医療を展開するプロセス

吉村先生いわく、「Dr.コトー」ががんばればいいっちゃが、ではないと。

3.総合診療医とは

総合診療科とは?

とにかくなんでもみる、かかりつけ医
日常的によく起こる身体の問題に対して、病気の種類は問わず。
禁煙外来などの生活習慣改善やワクチン接種などの予防医療の相談も

わかりやすく一言で言うと

THE DOCTOR WHO SPECIALIZED TO YOU
総合診療医(家庭医)はあなたの専門医です。

先生の専門はなんですか?
心臓とか目とか、膝とか、、、痛風があったり、うつ病があったり、ストレスがあったりするけど、なんとか地区出身でラグビーやってて、みたいなことも全部知ってて。
死ぬ時までずっと付き添います。
イギリスをはじめ欧米ではそういう医者が3人に2人、3人に1人が専門医
日本は100人に1人程度しかいない

総合診療医の成果のひとつとして、自宅看取りの割合があるそうです。
都農町は、なんと県内第2位!
8割近い県民が自宅での看取りを希望しながら1割しか実現していないところ、都農町では1割5分、実現しています。

4.ごちゃまぜ師

もうひとつ、吉村先生が推進しているのが「ごちゃまぜ師養成講座」

文部科学省の事業として2年、宮崎県の事業として3年講座を実施し、100人、一番多いのは都農町なんです!

5.介護から見た地域共生社会

続いて、元警察官から一転、宮崎県三股町で有料老人ホーム「たでいけ至福の園」を経営するハラケアシステム原秀直社長に介護からみた地域共生社会について話していただきました。

資格は「ごちゃまぜ師」だけ、とおっしゃる原社長。経験・資格がないからこそできる既成概念にとらわれない人事・マネジメントで、12人で創業した会社がいまや95人!

介護士、看護師から理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、さらにはカメラマンまで、全国から若い人たちが集まる魅力的な職場。

「重度の要介護者を断らない」ブレない経営方針のもと、暮らす人、利用する人、働く人、みんながしあわせになれる場づくりを実践されています。

そんな原社長が、最後まで苦労したのが病院との連携。
その点において、都農町は吉村先生を筆頭に、都農町立病院の院長も総合診療医の桐ヶ谷先生など、圧倒的に有利。うらやましいと。

原さんが考える地域共生社会とは、「困っている人を見捨てない」

6.まちづくりと総合診療医

後半は、町長に加わっていただき、参加者からの質問に答えながら、地域共生社会について話し合いを続けます。

質問|在宅医療が不足している課題はなんですか?

在宅医療の存在を医学生や看護学生、住民たちが知らないことが一番の課題
こういう死に方ができる、葬式に時々出てみて、「家で最期を迎えられたんだよ」みたいなエピソードも増やしていきたいですね。

吉村教授

質問|総合診療医が多職種連携していくための課題は?

チームになるときのはじめましての壁がありますね。
医師と看護師、看護師と介護福祉士の壁。
壁を取り払って、仲間づくりをしっかりとしていくことを厭わない
いま働いている人たちは医師が上という考えがあるので、医師だから上じゃないという意識改革も必要です。
医学生のうちからフラットなチームであることを学んでもらえるよう実践中です。

吉村教授

質問|どういうことを連携?

直接会うことが大事ですね。
亡くなったあとに、関係者で「あんな連携できればよかった」「ああしておけばよかった」など、決してお互いを非難しない、責めない、という約束のもと、お互いにリスペクトして、讃えあいながら振り返ることは効果的です。

吉村教授

質問|地域共生社会のために住民ができること、特に20,30代の若者にできることは?

ありがとうね、というエールがもう少しあるといいと思います。
延岡市や小林市では既にやってますが、みんなでエールを送り合ったり、
ご苦労さんシールをはる。わかりやすくて効果的です。
あなたラーメンをつくる人、私食べる人、じゃなくて、みんなが一緒にやることが大事です。

吉村教授


150名卒業する、県内就職が100名ぐらい、そのうち介護を目指す人、介護の学科もある高校で1人、衝撃的。先生が介護職をやめとけ、と言う
大変やし、給料も安いし、もう少しいいところあるよ。親もそう言う
子どもが入りたいのを阻止する大人たちがいるのは事実。
住民のみなさんが、介護や医療を大変な仕事とリスペクトしてエールを送ることが大事

原社長

質問|町に求めることは?

感染対応で休止していた公民館まわりを再開したい。
若い人や事業所、PTA、いろんなチャネルの人たちと会って話したい。
役場の人とのコラボも大事ですね、ぶっちゃけて話し合いたい

吉村教授


会場からいただいた質問ポストイットの中に、

都農で働きたいと思った。
人や地域に密着した医療をしてみたいです。

とあり、一同、盛り上がりました!

7.地域共生社会で大切にしたいこと

最後は、参加者からの未来への提案
「都農町の地域共生社会で大切にしたいこと」

都農町で柔道整体師をする山内和彦さん
ハラケアシステム理学療法士の堀田一希さん
宮崎大学医学部、吉村教授の教え子さんたち

最後は、恒例となった町長から未来のバトンを託すコーナー

お約束のリレー前の屈伸運動

宮崎大学医学部、宮崎県小林市出身で地元をこよなく愛する川畑さんへ。


地域共生社会は、対象とする範囲が広く、それぞれの専門性も深いため、なかなか全容をつかむのは困難だと、改めて思いました。

いま企画を担当させていただいている、都農高校跡地の活用についても、地域共生社会の体現の場となるよう、引き続き、たくさんの関係者の方々の話を聞きながら、「ごちゃまぜ」にしていきたいなと。

個人的にもっとも心に響いたフレーズは
吉村教授「あなたの専門医
原社長 「困った人を見捨てない

いますぐできることは「ありがとう」と言う。が最大の学びでした。

貴重な3ショット


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?