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「まちは自ら変えられる」、1人じゃ無理だけど他者と一緒に、問い続けるまちづくり。

今年読んだ本の中で、いま自分が取り組んでることに最も重なった『冒険の書』。著者である孫泰蔵さんが、新渡戸文化学園にきて平岩理事長と対談。

新渡戸文化学園とは、高校スタディツアーで提携。すでに都農町へ高校生が2度来訪、今年も11月に予定。

いま、ぼくらの新たな企画として、孫泰蔵さんが創ったVIVI STOP都農高校跡地につくることを考えています。

VIVI STOP『冒険の書』でたてられている問いに対するアクションのひとつ。対談が新渡戸文化学園内に設置されているVIVI STOP NITOBEということで、これは直接行くしかない!と宮崎県都農町から出張。

1.100年に1度、10年ですべて変わる

最初に泰蔵さんから、なぜ『冒険の書』を書くに至ったかの背景についてお話しがありました。

1900年のニューヨークの大通り。馬車が走る中に自動車が1台だけ。1913年に同じアングルの写真を見ると、ほぼすべて自動車が走るようになっていて、馬車が1台だけ。わずか13年の間に、これだけの変化が起きたんです。
この変化の裏では、馬車法から道路交通法へ新たな法規の制定、車検制度、信号機の設置、ガソリンスタンドの普及など100年に1度、たった10年ですべてが変わるコトが起きたのです。
そしていま、その10年がはじまる予感、すでに起き始めているのです。

なぜ、いまなのかというと、今年の3月に、ついにアメリカで自動運転の車が公道を走ったから。

自動運転が普及することで、移動が無料に、車を所有する時代は終わりを迎えます。サンフランシスクの土地の30%は駐車場と言われますが、いらなくなる可能性が高いですよね。駅から徒歩何分という価値もなくなるとすると、住宅の家賃も変わるはずです。

泰蔵さんから、
・いよいよ時代はガラっと変わる
常識を疑わなければなりません
と力強いメッセージ。

もう一つの事実として、ケラー・リナウドさんが開発したZiplineの紹介。ドローンを使えばモノがどこでも無料で届けられるしくみ。これにより、冷蔵庫がいらなくなる可能性があります。

10年ほど前に、泰蔵さんのところに投資の相談があったとき、まだMITの研究者だったケラー・リナウドさん。当時、実現する気はまったくしなかったけど面白そうだから投資したそうですが、今年の秋からスタート。

これにより、トラックより安く運ぶことができるため、トラックがいらなくなり、道路渋滞も減る可能性があります。
20代の若者がなぜこのような起業ができるかというと、AIが後ろにいて発見してくれるからです。

2.世界は自ら変えられる

国内でも、いち早くAIに出会い、投資を中心に接点を多く持つ泰蔵さんから、AI時代の教育のあり方について問題提起がありました。

【必要とされる能力の推移】
19世紀は「馬車」を操作する能力
20世紀は「自動車」を操作する能力
21世紀は「AI」を操作する能力

【公教育に置き換えると】
19世紀は「読み書き算盤」
20世紀は「知識」の正確な習得
21世紀は「問い」をずらす

20世紀まで教育がしてきたことは、AIの方が得意な領域となり教育の必要性が薄れていく。じゃあ何を教育すればよいのか、という問いが21世紀

個人的に、この日一番、印象に残った泰蔵さんからの問い

もし明日死ぬとして、一言だけ、自分の子に遺言するとしたらどんな言葉を遺しますか?

泰蔵さんが考えたことは

世界は自ら変えられる
We can change the world

こう聞くと、少し壮大で夢のような話に聞こえがちだではありますが、考え抜いた末の一言がこれだったと泰蔵さん。

自分の人生をいきいきと生きてほしい
希望をもって未来を自分で切り拓いていける子になってほしい
世界は自ら変えられる」と思えないとそういう生き方にならない

未来を自分で切り拓いていけるためには、当然ながら自分で考える力をつけていかなければならない。

ちなみに、孫家の教えとして、お父様から「他人に習うな」と、言われて育ったそうです。

趣旨としては「学校の先生といえども、人の言うことをうのみにせず、常に自分の頭で考える習慣をつけなさい」であったと、泰蔵さんも大人になってから理解したそうです。

自分で考えるとともに、もう一つ大事なこととして、本の中ではガンジーのことば「自分を変える」が紹介されています。

世界にあるすべての傾向は自分自身の中にある。自分を変えることができれば世界も変わる。自分の性根を変えた人間には世界も態度を改める。これこそが教えの極意だよ。こんな素晴らしいことはない。幸せはここからはじまる。

このような背景から、誰からも習わず、自分がやりたいもの、思ったものを自由につくれる環境を提供するVIVITAがうまれたのです。

3.答えようとするな、むしろ問え

世界を変えるためには、自分で考えて、自分を変える。
昔に比べて、人と違う道、自分が思った道に進むと応援されやすくなってきたと泰蔵さん。

1人じゃ無理、だからみんなでつくる。
集まって、「それいける!いける!」と言えば実現できるのでは。
自立には、頼る人を増やすことが必要です。

これまでは、問題→解決策、問題→解決策の繰り返し
これからは、問い→行動→新しい問い→新しい行動

本質的な問いを続け、そこから誘発される行動をとるうちに、結果として解決することがあると、泰蔵さんは話します。

先が見通せない難問だらけのこれからの時代において大事なのは、論理的に解決策を出そうとすることではなく、「良い問いを立てる」こと

VIVI STOPの一つの意義だとも共感しているのですが、小さな「問い」に始まり、「つくる」ことを通じて「わかる」ようになる。同時に「わからない」こともたくさん生まれ、そこからさらなる「問い」が生まれる。それらを繰り返していくうちに、なにか「形になったもの」が生まれるという流れ。

都農高校跡地に、VIVI STOPをつくりたい理由のひとつが、過疎地で「ないものは、つくる」という習慣。そして、その前提が子どもたちの自由で小さな問いであってほしいなということ。

4.子どもがまちづくりに関わる権利

『冒険の書』の中で、これまでの教育を振り返りながら、なぜ、子ども扱いされるようになったかの記述があります。

「子どもは純粋で愛すべき存在だから、理性的で立派な大人に育てあげるための教育が必要だ」というのは、「子どもは未熟で劣っているので、大人が教育を施して導いてやる必要がある」と見下しているとも言えます。

こうして子どもあつかいされるようになった結果、「児童労働はいけない」という大義名分のもと、子どもは大人になるまでほとんど社会に関わることができなくなりました。

たとえば、
・子どもが学校の運営に意見を言い、変える権利があるか?
・子どもがまちづくりなど行政に関わる権利はあるか?
と聞かれて「はい」と言い切れるところは、どこにもありません。

まずは、「守られるべき存在」というレッテルを取り外し、子どもが望むこともきちんと社会に反映されるようにするべき。

いま、ぼくが都農町で一番やりたいことが、「こども参画まちづくり」
理想論と聞こえるかもしれませんが、人口減少、少子高齢化が加速する過疎地においては、こどもがおとなと同じスタンスでまちづくりに関われるようにすることが、もっとも現実的な解決策だと考えています。

5.ライフロング・プレイグラウンド

そのきっかけとして、VIVI STOPで、地域課題をも解決するイノベーションが子どもたちから生まれることが、すべての解決につながるのではないでしょうか。

VIVI STOP設置を予定している都農高校跡地のイメージと、本文で書かれていた「ライフロング・プレイグラウンド」が僕の中では重なっています。

なにかの意図をもって通うのではなく、ともかくそこへ行って、それからなにをして遊ぶかを決められる特別な場所。

なにが起きるかがあらかじめわからないからこそ、新しい遊び、すなわち、新しい探究の種が生まれる場所

ライフロング・プレイグラウンドをつくる旅に出かけよう!

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