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ラジオが垣根を越えるのは、愛であり夢だ

あるニュース記事を見て、後追いながら即ラジオを聴いた。

ニッポン放送『ナイツ ザ・ラジオショー』(以下ラジオショー)と、TOKYO FM『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(以下だれはな)。同じ時間帯で放送している、いわゆる「裏カブり」の番組。2つの番組のパーソナリティであるナイツ(+パートナーの安藤なつさん)と山崎怜奈さんが、放送時間中に電話をつなぎ、トークをしていたのだ。

発端は、TOKYO FMとJFN系列の音声配信プラットフォーム『AuDee』での山崎さんの発言に遡るらしい。AuDee内のコンテンツで、ラジオショーのこと、ナイツのことを、山崎さんが熱弁。それを受け、ナイツからのお礼も兼ねて今回のトークに至ったようなのだ。

今は本当にいい時代で、リアルタイムで逃しても振り返って聴くことができる。そして、本当なら2局どちらかの放送しか聴けないのだけど、クロストークについてラジオショーとだれはな、両方の様子を聴ける。
本当なら関東ローカルの放送すら聴けなかった時代からすると、radikoさまさま、radiko最強という思いに尽きる。

トークの内容は、特別な感じではなく至って普通。
なぜかクロちゃんのモノマネをして話しかけたナイツに、何も知らされておらずついていけない山崎さん。状況が分かった後も、「大竹まことさんにもかけよう」「(だれはなは)野球・相撲中心のトークでね・・・・・・」とボケるナイツ。山崎さんは笑いながら、落ち着いて話を受け、返していく。
「毎日大変でしょ?話すネタがなくなってくるでしょ?」「会えたらいいですね、コラボしたいですね」という内容で、時間にして7~8分のトークを終えた。

ラジオショーの方で聴くと、だれはなに電話をする前に、お笑いコンビ「三日月マンハッタン」の仲嶺巧さんに電話するひとボケ(前週にも仲嶺さんとトークをしていて、2週連続お話をされているよう)
「真裏の番組に電話?怖い怖い」と言いながら、オープニングトークに出てきたクロちゃんや「レバーカラーの服」の話を織り交ぜていて、とても面白かった。

一方だれはなの方では、流れていた「世界にひとつだけの花」を途中で切って、突然電話をつないだ形。「すごい人から電話がかかってきているようです」と、山崎さんが本当に不思議そうな様子が伝わってくる。
トークが終わって、「本当にびっくりした・・・・・・この後の進行が分からなくなった」との感想。でも、「ナイツとコラボしたい」という、ラジオ好きな一面が存分に感じられた。

時間にして10分もないトーク、内容としてもすごく特別というわけではない。でも、リスナーからすると、ラジオ局の垣根を越えて時間を共有するというのは、ものすごく特別で、テンションが上がるのだ。
もしかすると、過去にもずっとあったのかもしれない。けれど、最近は特にこんなクロストーク、メディアクロスが定期的に見られるようになった。

『JUNKおぎやはぎのメガネびいき』と『ナインティナインのオールナイトニッポン』で、電話をつないでトークをした話題は、ニュースになっている。この2番組もお互いの番組同士が「真裏」だ。
最近では、在京ラジオ5局がオンラインで一堂に会した、『ラジオ5局オンライン飲み会』というイベントも開催された。

完全な裏カブりになる前の話で言えば、『Skyrocket Company』のゲストに、当時は放送開始直前の『アフター6ジャンクション』の宇多丸さんが来てトークをしていたこともある。
大好きなラジオで、大好きな人たちがトークをする。この時も「裏カブりしてますけど、番組同士でつながっていきたいです」と話をしている。とにかく高揚してばかりの時間だったことを、今も覚えている。

ラジオ局同士でのライバル関係はもちろんある。今も聴取率は番組・ラジオ局の人気をはかる目安。レーティングの週になると、各ラジオ局が「スペシャルウィーク」と銘打って、リスナーへ豪華プレゼントをしたり、特別なゲストを呼んだりする。
だからこそラジオ局の垣根を越えて、特に同じ時間帯で放送する「裏カブり」の番組でのトークは、本当に特別なのだ。

ただ、関係性としてはテレビよりもラジオは緩いイメージが勝手にある。テレビでは他局のことを頻繁に言うイメージが無く、真裏の番組同士でやりとりするなど、ラジオ以上にないだろう。ラジオが柔軟に他局とやり取りできるのは、それ自体がラジオの魅力のひとつだと思う。

広告費が主な収入源で、スポンサーをより獲得していかなければならない。聴取率が良いラジオ局、人気の番組ほど、スポンサーがつき、広告収入も増えていく。ここに競争が生まれて、特に同じ地域を放送エリアとしていればライバル関係になるのは当然だ。

それを踏まえて、ライバル局同士がつながって、一緒にコンテンツを生み出したり、盛り上げたりしていくのは、ラジオ愛に他ならないと思う。
そのコンテンツや、つながりを見聴きして、リスナーである自分たちは夢のような心地になるのだ。

好きなラジオ局があって、よく聴くラジオ番組がある。各ラジオ局は、それぞれの番組を盛り上げ、面白くしようと試行錯誤する。リスナー・ラジオ局それぞれの活動の中に、頻繁ではなくてもいい、それぞれ同士が混ざり合う瞬間が、今後も都度あってほしい。
今日のようなことを大きな楽しみの1つに、自分はこれからもいろんなラジオを聴いていく。


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