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サービス開発の基礎〜クックパッドのデザイナーサマーインターンシップ2022(講師編)〜

クックパッドでデザイナーをしているkenjow @kchil です。

クックパッドでは今年もデザイナー向けのサマーインターンシップを開催しました!

一昨年と去年はオンラインで開催しましたが、今年は感染症対策を行った上でオフィスで開催しました🎉

今回のインターンシップでは、私は講師を務めました。普段、サービス開発の現場で実践していることを、講義とワークショップを通して参加者のみなさんに学んでいただきました。

この記事では、講義の内容を簡略化して公開します。

内容は基礎的なことですが、自分でも講義を通して改めて基本に立ち返ることができ、よかったと感じます。日頃のデザイン活動の中で講義内容を思い出して姿勢を正すことも多いです。

また、参加者のみなさんの様子や反応についてはまた後日、別の記事で紹介する予定です!
(後日追記)こちらの記事が公開されました!

サービス開発の前提

突然ですが、身の回りの人へプレゼントを贈る際に、何をあげれば良いか悩んだ経験はないでしょうか。

相手が何を欲しいのか、何をもらったら喜ぶのか、限られた情報を頼りに考えることは、案外難しく感じると思います。

サービス開発の難しさはこれに似ていると思います。

相手にどのようなものをプレゼントしたら喜ぶだろうか…と考えるように、ユーザーにどのようなサービスを提供したら喜ぶだろうか…と考える必要があります。

さらに難しいところは、本人は欲しいものをうまく言葉にすることができないという点です。

「欲しい物ある?」と直接聞いてみても、「なんでもいいよ」と返ってきたことはないでしょうか。

何をあげれば喜ぶか。これは正直、あげてみなければ分かりません!

例えば身近な誰かに、ちょっとしたプレゼントをしてみる。文房具でもコンビニのお菓子でも、相手が喜びそうだと思うものなら何でもいいのです。そうすると、その物に対する相手の反応を見ることができます。その反応をヒントに、今度は別の物をあげてみる。これを繰り返していくと、相手を喜ばせるために必要な情報が増えていくイメージが持てると思います。

これはまさしくサービス開発の現場で実践されているプロセスです。仮説を立て、実行し、検証する。これをすばやくたくさん繰り返すことで、ユーザーが喜ぶサービスを届けることができると私たちは考えています。

それでは、仮説、実行、検証の各プロセスについて説明をしていきます。

仮説

相手にプレゼントを渡すためには、まず相手がどんな人か、どんなことを求めているのか知る必要がありますよね。

サービス開発においても、まずは対象となるユーザーへの理解を深める必要があります。ユーザーがどのような欲求・課題を持っているか知ることが、サービスの発想へとつながるのです。

ユーザー理解の手法は色々ありますが、今回のインターンシップでは参加者の皆さんにユーザーインタビューを実践してもらいました。

ユーザーインタビュー

ユーザーインタビューは、対象のユーザーと対面し、インタビューすることを通してニーズや課題を深堀りする定性調査です。

ここで思い出すべきことは、「本人は欲しいものをうまく言葉にすることができない」ということです。

人は、自分が欲しいものだけでなく、自分の感情や、自分に起きたことを正しく説明することができないものなのです。

ですから、ユーザーインタビューにおいては、ユーザーの発言をそのまま受け取るのではなく、その発言の背景にある実際の体験や感情を分析することが必要になります。

そのためには、あらゆる角度から質問を行い、話を深く掘り下げることで、多くの情報を引き出すことが必要になります。インターンシップでは、具体的なテクニックも交えてインタビューの手法について説明をしました。

また、普段のインタビューで実際に聞いてみて良かったことについて以前書いた記事もあるので、ご参考ください。

価値仮説シート

さて、ユーザーインタビューでユーザー理解を深められたら、サービス開発のためにユーザーの欲求と課題を言語化する必要があります。

私達が対象にしているのはどのようなユーザーで、どのような欲求・課題を持っているのか。それに対してどのような価値を提供すれば良いのか。

とても重要なフェーズですが、ユーザーの欲求と課題を正しく捉えることと、説得力ある仮説に落とし込むことの両方にハードルがあり、難しい作業です!

インターンシップでは、参加者の皆さんに以下のようなフレームワークを使って、これらの情報を言語化してもらいました。

まず欲求と課題を言語化し、それに対するソリューションのアイデア発想を行います。

アイデア発想は、デザインスプリントでも採用されているcrazy8sという手法で行いました。これは8分間で8つのアイデアを出し切るというやり方なのですが、短時間である程度のバリエーションを出し切ることができるという点がポイントです。

ユーザーストーリー

仮説を立て、ソリューションのアイデアが決まったら、さらにサービスの解像度を高めていきます。

ユーザーストーリーとは、ユーザーがサービスを利用する具体的なシチュエーションを表したものです。

ユーザーがどのような状況で何を求め、どのようにサービスを利用するのかを明確にすることができます。

インターンシップの参加者の皆さんには、ストーリーボードで表現してもらいました。

実行

実行フェーズでは、仮説を検証するためのプロトタイプを制作します。

手段は様々ですが、今回はスマートフォンアプリの提案をしてもらう必要があったので、Figmaを使用して動作するプロトタイプを制作してもらいました。

また、このフェーズで最も大切なことは、早々と検証へ移るために、最小コストで制作を行うということです。

高速にプロトタイピングをする必要があるときは、どの画面から作っていくかの選択がとても大事です。

そのためには、そもそもどのような画面があれば仮説を検証することができるのかを洗い出す必要があります。

前のフェーズでユーザーストーリーを書いておくことで、必要な画面を明確にできているはずなので、迷ったときはユーザーストーリーを読み返してみましょう。

検証

仮説を検証することができるプロトタイプができたら、いよいよ検証に移ります。

ユーザーにプロトタイプを実際に使ってもらうことで、仮説があっているかどうかを検証します。

手段は様々ですが、今回は参加者の皆さんにユーザーテストを実践してもらいました。

このフェーズで大事なことは、サービスのどこに問題があるのかを探ることです。直接ユーザーの反応を見られるのだから単純明快に思えますが、やってみると案外難しいものです。

なぜなら、ユーザーテストでは様々なレイヤーの問題が見つかるためです。仮説が誤っているのか、ソリューションの方向性が誤っているのか、UIが適切に設計されていないのか。このような問題の切り分けがとても重要です。

ここでサービスにとって最も重要な問題点を見極められるかが、ユーザーを喜ばせるサービスになれるかどうかの分かれ道とも言えると思います。

検証が終わったら…

検証が終わったら、仮説を立て直したり、ソリューションのアイデアを再度検討し直したり、UIを修正したりと、サービスの改善を行います。

参加者の皆さんには、3日間という短い期間で、仮説、実行、検証、そしてその改善というプロセスを通してサービスの提案を行ってもらいました。

実際にやってみるととてもタイトなスケジュールなのでなかなかハードだったと思いますが、負けじと手を動かし続ける参加者の皆さんの熱意と勢いには社員も圧倒されるほどでした。

どのような過程でどのようにサービスの提案が行われたかは、今後公開予定の別の記事で紹介できると思います。お楽しみに!
(後日追記)こちらの記事が公開されました!


まとめ

  • サービス開発では、「考えて確かめる」こと、つまり仮説、実行、検証のプロセスをすばやくたくさん繰り返すことが大事

    • 失敗して当然なので、くじけずにどんどん前へ進んでいく潔さも大事!

  • 開発プロセスをまわすポイント

    • ユーザーを深く理解し、欲求・課題とサービスの価値を言語化する

    • 最小コストで仮説を検証できるものをつくる

    • 仮説が合っていたかを検証し、次の改善につなげる

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